~張飛、関羽と仲違いするのこと~
どうも!
まずは遅れて申し訳ありません!何かと忙しかったもので…
5月の後半からはちょっと余裕ができるかもしれません。ですから、頑張って書きますので、応援よろしくお願いいたします。
では、どうぞ!
青い空の下、一刀達は森の中を進んでいた。
「こら鈴々。一人で先に行くな。はぐれても知らんぞ」
「そういえば、霧の中ではぐれてしまったお仲間の方、確か名前は…」
「趙雲だ」
「そう、その趙雲さんとは結局はぐれたままで、ちょっと心配ですね…」
「まあ、確かにな」
「けど、あやつも子供ではない。きっとどこかの空の下で元気にしているさ」
愛紗ははぐれてしまった仲間の事を思いながら、青空を見上げた。
そのまま歩いていると、道が二手に別れていた。
「ん?別れ道か」
「どっちへ行きます?」
「う〜ん、そうだな…」
「こんな時は鈴々にお任せなのだ」
鈴々は陀矛を真っ直ぐに立てると、お願いする様に手を合わせた。すると、陀矛は右へと倒れた。
「あっちなのだ」
「うむ、それでは行くのはこっちだな」
愛紗は鈴々の占いとは逆の方を指さした。
「なんでそうなるのだ!」
「当たり前だ。この前、お前の占い通りにしたら霧が出るわ、崖から足を滑らせるわで散々だったではないか」
「それは…」
愛紗に色々と指摘され、口ごもる鈴々。
「けど、占いではあっちって」
「だーかーらー!その占いが信用できないと言ってるんだ!」
愛紗と鈴々はお互いに睨み合う。
その横で、一刀と瑠華は顔を合わせてため息を吐く。すると、孔明が話に入ってきた。
「関羽さん。確かに鈴々ちゃんの占いには根拠がないと思います。でも、それなら占い通りにしたからって必ず悪いことが起きるとは限らないはず。だから、鈴々ちゃんの言う方へ行ってみてもいいと思うんです」
「孔明殿がそう言うなら…」
「それじゃ」
「余計なことしなくていいのだ!」
孔明が愛紗を説得していると、鈴々が腕を組んで頬を膨らませていた。
「これは、鈴々と愛紗の問題なのだ!お前は関係ないから黙ってるのだ!」
「あぅ…」
孔明に助けられたのが気にくわなかったのか、口をはさむなと言ってきた。
孔明はしょんぼりと顔を俯かせる。
「鈴々、そんな言い方…」
「鈴々!何てこと言うんだ!」
瑠華の声を消すかの様に愛紗は鈴々に怒鳴った。
「孔明殿はお前の為を思って」
「それが余計なことなのだ!」
「鈴々!」
鈴々は地面に倒れている陀矛を掴み、肩に担いだ。
「とにかく鈴々は占い通りに行くのだ!」
「っ!勝手にしろ!」
「勝手にするのだ!」
「お、おい!待てって鈴々!」
鈴々の後を一刀は急いで追いかける。
その場には、愛紗、瑠華、孔明の三人となった。
「いいの?愛紗。一人で行かせて…」
「構わんさ。一刀がついているし、どうせ後になって「やっぱりみんなのところがいいのだ〜」とか言って追いかけるさ」
愛紗は鈴々の物まねをしながらそう言った。
「でも…」
「さ、我々も行こう」
愛紗が先に行くと、瑠華と孔明は一刀と鈴々が行った道を振り返る。そして、愛紗の後を歩いていく。
「鈴々、そんなに拗ねるなよ」
「拗ねてなんかないのだ!」
一刀の言葉に鈴々は否定する。
「(愛紗、孔明の味方ばっかり…)」
口では否定するも、心の中ではやっぱり拗ねていた。
しばらくして森を抜けると、町が見えた。
「あっ!町なのだ!鈴々の占いは正しかったのだ〜♪」
「おい、待てって鈴々!」
上機嫌の鈴々は町に向かって走っていく。一刀も止める暇もなく、ついていく。
町へとついた二人だったが、着いて早々困ったことになった。
グゥ〜〜…
「お腹空いたのだ…」
「はぁ…路銀は愛紗が持っているからな〜…」
空腹に困っていると、二人は人混みを見つけた。人々の前には看板が置いてあった。
「う〜ん、読めなくもないけど難しくて読めないのだ」
「え〜っと…お……うんやっぱ読めねぇ」
「大食い大会本日開催!飛び入り歓迎!優勝者には賞金と豪華副賞あり!」
二人が読めずにいると、後ろから声がした。振り替えると、そこには茶髪ポニーテールで十字型の槍[銀閃]を携えた一人の女の子がいた。
《馬超!?》
「よっ♪久し振りだな」
「どうしてこんなところにいるのだ?」
「西涼に帰ったんじゃないのか?」
「ああ、一度は西涼に戻ったさ。それでやることやってまた武者修行に出たんだが…」
「路銀が尽きてしまったと」
「…ああ」
一刀が答えると、馬超は後頭部を掻きながら恥ずかしそうに答えた。
「じゃあもしかして…」
「ああ!あれで優勝して賞金を頂こうって寸法さ!」
馬超は看板を指さし、堂々と答える。
「それなら鈴々もやってやるのだ!」
「そうか、ならば相手にとって不足はない!かかってこい!!張飛!!」
お互いに睨み合い、火花を散らせる二人。
「(なんか…すんげぇヒートアップしてない?)」
一刀は二人の炎の様な気迫にびびっていた。
「さあさあ毎年恒例の大食い大会も大詰め!!決勝戦まで残った三人の勇者をご紹介いたしましょう!」
司会者の陳林は大きな声を張り上げて大会の進行を行う。
「まずははるばる西涼からの参加!馬超選手!」
「よしっ!」
「虎の髪飾りは伊達じゃあない!猛虎もびっくりの食べっぷり!張飛選手!」
「がおー!がおがおーなのだー!」
「そして最後に、ちっちゃい体からは想像もできない驚異の食欲!許緒選手!」
「むぅ、ちっちゃいって言うな」
許緒と紹介されたピンク色の髪で上向きに二つに束ねている女の子はちっちゃいと言われ、頬を膨らませた。
「最終決戦は、甘すぎず、控えめなお味の十万斤[約60000Kg]饅頭を制限時間内にどれだけ食べられるかを競ってもらいます。」
鈴々、馬超、許緒の前に大量の饅頭が皿に乗っている。
「それでは勝負開始!!」
試合開始の合図と共に銅鑼が鳴り響いた。
三人は一斉に饅頭に手を伸ばす。馬超も食べて飲み込みを繰り返し、鈴々は口に積み込んでモゴモゴと食べている。
一方、許緒は余裕の表情を見せ、順調に食を進めている。
「(くっ!許緒って奴!!相変わらずすごい勢いなのだ!)」
「(誰よりも食べているはずなのにまだあんな底力が!?)」
「いや〜、よく食べるな〜あの子」
観客席にいる一刀も鈴々と馬超同様、許緒の食べっぷりに驚いていた。
因みに一刀は一回戦を勝ち抜き、二回戦で棄権したのである。
「(でも、鈴々も負けないのだ!!)」
「(急いで追い上げないと!!うっ!?)」
馬超は急に手を止めた。
「(ま、まずい…流石にそろそろ限界が…)」
顔色がどんどん悪くなっていき、脳裏には大会で食べた料理が横切る[餃子、焼売、麻婆豆腐等々]。ここまでかと饅頭を手にわなわなと震えている。
「だがたとえ!溝の中で野垂れ死にするとしても!あたしは前のめりに倒…れ…」
そこで意識が飛び、馬超は文字通り前のめりに倒れた。
「(馬超が倒れたのだ。残るはこいつだけ)」
鈴々は許緒の方へと目を向けた。皿には饅頭が三個残っており、許緒は下に俯いている。それを見た鈴々は好機と見んばかりに手を早める。
「(ここから追い上げれば逆転できるのだ!)」
鈴々は両手の饅頭を口に放り込む。ゴクンと飲み込み、ゼェ…ゼェ、と苦しそうに肩を上下に揺らして呼吸をする。
「(これを…これを…食べれば…)」
鈴々は残りひとつの饅頭にゆっくりと手を伸ばす。
すると、俯いていた筈の許緒がカッ!と目を見開き、皿を持ち上げて口の方へと傾けて残りの饅頭を運んでいく。
「ガーン!!なのだー!!」
「もぐもぐ、ニッ!おかわり!」
許緒はまだ食べ足りないのか、おかわりを要求し、鈴々は限界を越えたらしく、後ろへと倒れた。
大食い大会が終わり、夕焼けの下、三人はとぼとぼと歩いていた。
「うぅ…賞金もらえなかったのだ…」
「でも、とりあえず腹一杯食えたから良しとしようぜ」
「そういや、関羽と趙雲はどうしたんだ?また、どっかの店で働いているのか?」
「ああ、実は…」
不意に馬超がそう聞くと、一刀は気まずそうに今の状況を説明した。
「ええ!?関羽とは仲違いして、趙雲とは途中ではぐれた!?」
「ああ、そうなんだ」
「り、鈴々は悪くないのだ!愛紗がいじわるいうからそれで…」
鈴々は拗ねながらそう呟く。一刀と馬超は顔を見合わせ、どうしたものかと困った表情を浮かばせる。
「お〜い!」
「ん?」
急に大きな声が聞こえて、その方向を見てみると、大食い大会でとんでもない食欲で優勝した女の子がやって来た。
「君は確か…」
「僕の名前は【許緒】字は【仲貢】全国を回って大食い修行してるんだ」
「俺は、北郷 一刀だ」
「鈴々は張飛、字は翼徳なのだ」
「あたしは馬超、字は孟起。西涼の出だ」
その場にいる四人は自己紹介を済ませる。
「いや〜僕とあそこまで張り合えるなんて中々やるじゃん。二人みたいなの初めてだよ。そこの兄ちゃんは、そこそこだけど」
「はは…俺はあんなに食えないもんで…」
「鈴々もあんな化け物染みた大食いを見たのは初めてなのだ」
「いや〜それほどでも♪」
「別に褒めてないのだ…」
鈴々が感想を述べると許緒は、みんなもよく知っている五歳児の様な照れ笑いをする。
「なぁなぁ、こうやって知り合ったのも何かの縁。これから親睦を深めるために一緒に食べに行かない?もちろん、そこの兄ちゃんも一緒に」
「ってお前、まだ食べるつもりなのか…?」
「本当に底なしなのだ…」
「底なしどころかブラックホール級だな…」
三人は改めて許緒の限界を知らない胃袋に驚く。
「ああ、お金の事なら大丈夫。大食い大会の賞金でおごるから♪」
「いや、そうじゃなくて…」
〈何言ってんだよ!〉
「ん?」
突然、路地裏の方から声が聞こえた。
そこには、一人の少年がヒゲ、チビ、デブの三人組に言い返していた。
「借りた分はとっくに返したはずだろ!?」
「小僧、借金には利子ってもんがつくんだよ」
「ほれ、証文もこの通り」
「くっ!」
ヒゲの男が懐から見せびらかすように証文を取り出す。少年は睨み付けると、証文目掛けて走り出す。しかし、すぐにデブの男に捕まってしまった。
「うわっ!」
「おっとぉ、危ねぇ危ねぇ」
「おい!ちょっと痛い目見せてやれ!」
〈そこまでだ!〉
三人組が目をやると、その場に駆けつけた一刀達がいた。
「何だ、てめぇらは!」
「通りすがりの大食い修行者だ!」
「いや、それは君だけだから…」
許緒の台詞に一刀達は苦笑いを浮かべる。
「大食いだが蟻食いだが知らねぇが、下手に首突っ込むと痛い目見るぜ!」
「そうだ!とっとと失せろチビ共!」
「チビって誰のことなのだ!!」
チビの男にチビと言われ、反論する鈴々。
「誰ってそりゃあ、おめぇとおめぇと、後これ」
「俺は入れなくていいんだよ!!」
デブの男は鈴々、許緒、そしてチビの男の順番に指を指しながらそう答えた。
「やぁ〜い!墓穴を掘ったのだ〜!」
「うるせぇ!チビ!」
「…チビ…」
「ん?」
後ろを見ると、許緒が体を震わせながら何かを呟いている。
「またチビって言ったな…チビって…」
「い、言ったら、どうだってんだよ…」
何やら呟いている許緒にチビは怯んでいる。
「ぶっつぶす!!!」
すると許緒はどこに隠していたのか分からない、自分の倍の大きさはある鉄球を取りだし、一気に降り下ろす。
「とぉりゃあああ!!」
ドカァァァン!!
凄まじい轟音と共に、鉄球がぶつかった地面は大きく陥没していた。
許緒の体からは何やら黒い氣の様なものが流れており、三人組を獰猛な肉食動物のように唸りながら睨み付ける。
「ば、化け物だぁ〜!!」
三人組は尻尾をまいて逃げていった。
「明後日来やがれなのだ!」
《それを言うなら一昨日来やがれだろ?》
一刀と馬超は口を揃えて、鈴々の言葉を訂正した。
一刀達は助けた少年と一緒に道を歩きながら、話を聞いていた。
「あいつら本当にずるいんだ。借りた分はちゃんと返したはずなのに、いつのまにか変な証文作ってて、[まだ利子が残ってる。返さないなら姉ちゃんを借金のかたによこせ]って」
「そうだったのか」
「何て非道な!」
「くそ〜そうと分かったらマジでペシャンコにしたのに!」
「まったくなのだ!」
一刀達は話を聞いて怒りを募らせていた。
すると、夕焼けのある方向から外套を深く被り、赤い刃をした直槍を携えた武芸者らしき人物が歩いてきた。その武芸者はすれ違い様に一刀達の方を振り返った。口には藁しべをくわえており、赤い眼と水色の髪が見えていた。
「姉ちゃん、ただいま!」
「お帰りなさい。あら?」
少年の家に着くと、少年の姉らしき女性がいた。
「まあ、そうだったのですか…弟の危ない所を助けていただき、ありがとうございます」
事情を聞くと、姉はお辞儀をしてお礼を言った。
「姉ちゃん、この人達旅の途中なんだって。まだ宿は決まってないって言うから、お礼の代わりに家に泊まってもらおうよ」
「そうね。そういうことですので是非」
「どうもすみません」
「お世話になるのだ」
「じゃあ、宿代にこれ」
許緒が賞金が入った袋を出すと、姉が手で制した。
「いけません。そんなことをしてもらっては…」
「えぇ、何でだよ?これがあったら借金だっていくらか返せるのに」
「何言ってるのですか。この方達に泊まっていただくのは、あなたを助けていただいたお礼なのですよ?それなのにお金をもらっては意味がないでしょう」
姉は少年を叱り、少年は俯いている。
「そもそもあなたが軽はずみな行動をしなければ」
姉は続けて少年を叱る。
その様子をじっと見ていた鈴々の目には愛紗が重なって見えていた 。横で見ていた一刀が声をかける。
「…どうした?鈴々」
「っ!な、何でもないのだ!何でも…」
その頃、愛紗達三人は焚き火を中心に囲んで座っていた。そんな中で、愛紗は物思いに耽っていた。
「関羽さん…関羽さん!」
「っ!何だ?孔明殿」
孔明に呼ばれ、我に返り急いで返事を返す愛紗。
「…何を考えていたんですか?」
「い、いや、私は何も」
「鈴々の事考えてたんでしょ?」
側で座っていた瑠華も話に入ってきた。
「今から引き返すっていうのもあると思うんだけど?」
「確かに、夜通しで歩けば鈴々ちゃんに追いつけるかも」
「何を馬鹿なことを…」
「でも、このままじゃ!」
「孔明の言う通りだよ」
瑠華も孔明と同じように愛紗を説得する。
「喧嘩別れしたまま、二度と会えなくなるかもしれないんだよ?」
「おいおい、そんなことがあるわけ」
「あるんだよ。そんなことが…」
瑠華は愛紗の瞳をじっと見つめながら、そう答えた。瑠華の瞳はとても悲しい、哀愁の色に染まっていた。
「っ!と、とにかく…夜も更けた。もう寝た方がいい」
「関羽さん…」
「………」
話から逃げる様に愛紗は横になる。
(二度と会えなくなるかもしれないんだよ?)
その言葉が頭の中に残ったまま
「ふぅ、こんなもんでいいか?」
「ご苦労様です」
翌日、宿泊の礼として馬超は薪割りをしており、一刀は薪を取りに山の方へと行った。
「本当にすみません。こんなことまで手伝ってもらって…」
「いや〜何もしないでいると飯がまずくなりますから」
「まあ」
照れながら言う馬超に姉は微笑んだ。
すると、少年と許緒が帰ってきた。
「姉ちゃん!ただいま!」
「まあ、こんなにいっぱい!」
籠の中には、茸や山菜といった山で見つかるものが大量に入っていた。
「姉ちゃん、この人すっごいんだ!初めて入った山なのに茸とか山菜とか次々と見つけ出してさ!」
「山で食料を見つけるのは大食い修行の基本だからな♪」
「そ、そういうもんなのか?」
自慢気に言う許緒に馬超は苦笑いを浮かべる。
「所で張飛はどうした?お前達と一緒じゃなかったのか?」
「え?僕はてっきり馬超と一緒だと…」
〈お前ら何しに来たのだ!〉
鈴々の声が聞こえ、外へ出てみると、昨日の三人組の男達がいた。
「へっ!やっぱりここにいやがったか!」
「昨日は世話になったなぁ」
「何だ、またぶちのめされにきたのか?言っとくけど、今度は手加減しないぞ!」
「おっと、今日の相手は俺たちじゃねぇ。先生!おねげぇしやす!」
すると、三人組の後ろから酒瓶を片手に呑んでいる、濃い紫色の髪を簪で留め、さらしを巻いており、袴で下駄を履いている、いかにも姉御肌な雰囲気を出している女性が出てきた。
「ん?なんや、ごっつい強いやつらとやらしてくれるっちゅーから用心棒引き受けたのに、相手はガキかいな」
「ガキとは何なのだ!ガキとは!」
「そうだ!張飛はともかく僕はガキじゃないぞ!」
「ちょっと待つのだ!それはどういう意味なのだ!」
「おい、仲間割れしてる場合じゃないだろ」
「はっはっは!おもろい子らやな〜」
女性は酒瓶を一呑みする。
「これ預かっといて。まだ残ってるから落としなや」
「へ、へい」
酒瓶をデブに預けると、下駄をカランコロンと鳴らしながら前へ出た。
「ウチん名は【張遼】昨日は旅から旅までの風来坊で、今日は用心棒や。あんたらに恨みはないけど、これも仕事やさかい、ちょいと痛い目に合うてもらうで」
「痛い目に合うのはお前の方なのだ!」
鈴々、馬超、許緒の三人は武器を構える。
「そう、その活きや。それぐらいやないとおもろない」
張遼は武器である、愛紗の青龍偃月刀によく似た[飛龍偃月刀]を構える。
「一匹ずつ相手にすんのは面倒や!いっぺんにかかってきぃ!!」
「どぉりゃあああ!!」
先手を取ったのは許緒で、巨大な鉄球を降り下ろした。
「ど、どっからこないなもん出したんや…?」
張遼は苦笑いを浮かべる。
「うりゃりゃー!」
「おっと!」
次に鈴々が蛇矛を降り下ろす。張遼はその一撃を受け流す。
「はああ!!」
「ふん!」
次に馬超が槍で突撃してきた。張遼はそれを受け止め、お互いに押し返さんと武器をぶつけ合う。
「とりゃああ!」
「くっ!」
許緒はもう一度、張遼目掛けて鉄球を降り下ろす。それに気づいた張遼は馬超を押し返し、空中に飛び上がり、反転しながらかわす。
「危ない、危ない」
「うりゃりゃ〜!!」
安心したのも束の間。鈴々の蛇矛が張遼に向かっていた。しかし、蛇矛をいとも簡単に防ぎ、地面に叩き落とす。そのまま、張遼は偃月刀で鈴々に斬りかかる。
「っ!」
《張飛!》
馬超と許緒の叫びを他所に、張飛に刃が近づいていく。鈴々は迫り来る刃に備え、目を瞑る。
ガキィィン!!
しかし、その刃が鈴々に来ることはなかった。
鈴々がそっと目を開けると、そこには木刀で張遼の斬撃を防いでいる、青年がいた。
「鈴々!無事か?」
「お兄ちゃん!」
「北郷!」
「兄ちゃん!」
「なんや、他にも仲間がおったんか」
一刀は張遼を押し返すと、鈴々が無事なのを確認し、安堵する。
張遼は後ろに下がり、距離をとる。
「…ふ〜ん。あんた、中々やりそうやな」
「そいつはどうも。君は誰だ?」
「ウチん名は張遼。あんたは?」
「俺の名は北郷 一刀だ」
「なら、北郷!早速やけど、ウチの相手してもらうで!」
「できればあまり争いたくはないんだけど、仲間がやられてるのに黙っちゃおけないからな」
一呼吸置き、一刀は木刀を構える。
次の瞬間、二人は一斉に走り出し、お互いの武器をぶつける。張遼は偃月刀を大きく振り回し、大きな金属音と共に振るう。一刀も木刀で防ぎながら、隙をついて張遼の腹目掛けて薙ぎ払う。張遼は柄でそれを防ぐ。木刀と偃月刀がぶつかり合っている。
「くっ!」
「ええで!ええで!その調子や!」
まるで戦いを楽しむかの様に張遼はそう叫ぶ。二人はまたも己の武器をぶつけ合う。そして、二人は一緒に飛び退く。
「(このまま長引いても駄目だ。次で決める!)」
「(酒代目当てに引き受けた仕事やったけど、久しぶりに血ぃたぎってきよったわ)」
一斉に地を蹴り、距離を縮める。
「はああああ!!」
「でりゃああああ!!」
張遼は大きく振り上げ、一気に降り下ろす。一刀は走りながら体勢を低くし、偃月刀を受け止め、偃月刀の柄を沿う様に木刀を走らせ、空目掛けて振り上げた。偃月刀はヒュンヒュンと空を舞いながら、地面に突き刺さる。一刀は木刀を張遼に向ける。すると、張遼は両手を上げた。
「…降参してくれるかな?」
「はあ〜、参った。ウチの負けや」
その様子を鈴々達はじっと見ていた。
「す、すげぇ…」
「あの兄ちゃん、すっごく強いじゃん!」
「当たり前なのだ!兄ちゃんはすっっごく強いのだ!」
鈴々は自分の事の様に胸を張っていた。
「きゃあ!」
《っ!?》
悲鳴が聞こえた方を見ると、三人組が二人の姉弟を人質にとっていた。
「勝負あったな」
「くっ!卑怯な!」
「おい!武器を捨てろ!でねぇとこのガキの命はねぇぞ!」
チビはナイフを取りだし、刃先を少年の首に当てる。
「ちょお待ち!何のつもりや!?」
「悪ぃが先生よぉ。こっちにはこっちの都合があるんでな」
「ちっ!」
忌々しそうに、張遼は舌打ちをする。
一刀が動けずにいたその時、何処からか針が飛んできてチビの手に刺さった。チビが怯んでいると、突然外套を被った人物が現れ、デブを蹴り飛ばすと、姉弟を抱えて屋根に飛び上がった。
「な、何だぁ!?てめぇは!」
「顔を見せやがれ!」
ヒゲとチビが口を揃えて言う。
「乱世を正すため、地上に舞い降りた一匹の蝶」
その人物は外套を脱ぎ捨てた。
「美と正義の使者!華蝶仮面推参!!」
ジャジャーンという効果音がつきそうな登場をした、蝶を象った目元を隠す仮面を被った一刀達もよく知る女性が姿を現した。
「一刀、鈴々、馬超。久し振りだな」
「(あれって…星…だよな…?)」
一刀は何となく(いや確実に)華蝶仮面の正体に気づいていた。
「あいつ、兄ちゃん達の知り合いか?」
「いや、その〜」
「なんていうか…」
「あんな奴知らないのだ!」
《えっ?》
許緒の質問に苦笑いを浮かべる一刀と馬超。そんな二人とは違い、鈴々はきっぱりいい放った。
「おい!!どこで鈴々の名を知ったのか知んないけど、お前みたいな奴に知り合い面されたら迷惑なのだ!!」
「………」
《(お、怒ってる…あれは完全に怒ってる…)》
鈴々にきっぱりと言われ、華蝶仮面(星)は目で見ても分かるように、怒りのオーラを出していた。一刀と馬超は心の中で若干、そのオーラに引いていた。
「おい!華蝶だがガチョ〜ンだが知らねーが!降りてきやがれ!」
「降りてやってもいいが、そうするとお主らがますます不利になるが、いいのか?」
「ああ?」
すると、後ろからカランコロンと下駄の音が聞こえる。振り返ると、そこには怒りに燃えた張遼が偃月刀を両手に三人組を睨み付けていた。
「人質とるなんてど汚い真似してようもウチの楽しみを台無しにしてくれたな…!!」
《ひぃぃ!!》
「今度こそぺしゃんこにしてやる!」
許緒は鉄球を三人組に投げつける。しかし、張遼は偃月刀の石突きで突き、防いだ。
「何で邪魔するんだ!?」
「金で雇われた身とはいえ、一応ウチもこいつらの身内や。身内の始末は身内でけりつける」
彼女なりの考えなのだろう。張遼は偃月刀を肩に担ぐと、三人組に近づいていく。
「おい、借金の証文出しぃ」
「へ、へい…」
ヒゲは懐から証文をおそるおそる取り出した。
「しっかり持っときや」
次の瞬間、張遼は証文を八つ裂きにした。
「ええか?今後一切あの兄弟に近づくんやないで。分かったか!!」
《は、はいぃぃぃ!》
「ほんならとっとと行け!」
《し、失礼しました〜!!》
三人組はまたまた尻尾をまいて走っていった。
「ふぅ〜」
「めでたしめでたしなのだ」
「ほんならウチも消えるとするか」
「これからどうするつもりなんだ?」
「さぁて、風の向くまま気の向くまま。これまで通りの風来坊や。ほなな〜」
そう言うと、張遼は去っていった。
「なんか変わった奴なのだ」
「変わった奴といえば、あの妙な仮面野郎は」
振り返ってみると、そこには華蝶仮面の姿はなかった。
「う〜ん、最初から最後まで怪しい奴なのだ」
「張飛の奴、本当に気づいてないんだ…」
「…みたいだな…」
「…かっこいいと思うんだけどな…」
蝶を象った仮面を見つめながら、女性はそう呟いた。
「本当にありがとうございました〜!」
「さようなら〜!」
姉弟に見送られながら、一刀達は家を後にした。
「所で許緒。お前はこの先どうするんだ?」
「とりあえず、洛陽かな。そこならもっとすごい大食い大会があるだろうし」
「そっか、だとするとこの先でお別れだね」
一刀は前を向く。すると、何かを見つけたのか、目を見開き、優しい笑みを浮かべる。
「さて、鈴々。俺たちも戻るとするか」
「えっ?」
「ほら」
一刀は前を指差す。鈴々もそれにつられ前を向く。
そこには、岩に腰を下ろし、俯いている黒髪の少女がいた。鈴々は見つけるや否や黒髪の少女の方に走り出し、抱きついた。
「愛紗〜!」
「こ、こら!何だ急に」
「どうしてこんなところにいるのだ?」
「昨日の朝に引き返して、夕方前に町に着いて、それで町中の宿屋を探しても見つからなくて…」
愛紗は気まずそうに話す。
「孔明はどうしたのだ?瑠華も」
「もしかしたら引き返すかも知れないと、町の反対側の所で二人共待っている。」
「愛紗は、何で引き返したのだ?」
「何でって…お前を探すために決まっているだろう」
愛紗は鈴々と顔を合わせて答えた。
「私は姉で、お前は妹だ。だから、どこへ行くのも一緒だ!いいな?」
「っ!うん!」
満面の笑顔で鈴々は愛紗に抱きつく。愛紗も恥ずかしそうにしながらも、満更ではない様子。
「あの黒髪の人、誰なんだ?」
「名を関羽。張飛の姉だ」
「姉?」
「ああ、血の繋がりはないけど、正真正銘の姉妹さ」
許緒の質問に馬超と一刀はそう答える。
一刀は二人を遠くから優しく見つめていた。
「はぁ〜」
「…その溜め息何回目?」
町の反対側で瑠華と孔明は岩に座って待っており、孔明のは何回目か分からない溜め息をついていた
「だ、だって、お二人が仲直りできたのか心配で…」
「…孔明、その心配はないみたいだよ」
「え?」
瑠華は自信満々に微笑みながら向こうを見る。孔明も振り返る。その瞬間、孔明は笑顔になった。
二人の目の先には、楽しそうに笑い合う、姉妹と兄がいた
如何でしたか?
ちょっと、オリジナリティに欠けるかな~。
戦闘シーンも上手く書けないし…
それでも、めげずに頑張っていくので、次回も是非ご覧になってください。
それでは!




