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『神になるには、遅すぎた』 ―誰にも求められなかった男の創世記―  作者: 凡夫 成


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78/80

Episode 10-6 「初めての友達」

前書き

ここまで『神になるには、遅すぎた』を読んでいただき、本当にありがとうございます。

この物語も、いよいよ最終章となりました。

何者でもなかった一人の男は、数え切れない出会いと別れを経験し、多くの勇者や仲間達と共に国を築いてきました。

正義、戦争、思想、自由、愛、信仰、死、そして観測。

それぞれがハザムへ残した答えが、この最終章で一つになります。

最後まで、ハザム・ヴェルという一人の男の生き様を見届けていただければ幸いです。


白い光が。


静かに世界へ溶けていく。


創造主は消えた。


戦いは終わった。


誰も動かない。


白い世界には。


静かな風だけが吹いていた。


世界意思は。


その場へ立ち尽くしていた。


創造主がいた場所を。


ただ見つめている。


「終わった……」


初めて。


役目がなくなった。


何億年。


世界を管理し続けた存在。


初めて。


何をすればいいのか分からなくなった。


「私は……」


「何をすればいい」


誰にも命令されない。


誰にも指示されない。


その事実が。


世界意思を戸惑わせていた。


ナギは笑った。


「知らねぇよ」


世界意思は振り返る。


「え?」


「好きに生きろ」


「好き……」


その言葉は。


世界意思の辞書にはなかった。


「好きとは」


「何だ」


ナギは頭を掻く。


「難しいこと聞くな」


少し考え。


少年を見る。


「お前」


「腹減ってるか?」


少年は少し驚きながら頷いた。


「うん……」


ナギは笑う。


「俺もだ」


「だから飯食う」


「それだけだ」


世界意思は首を傾げる。


「それが」


「好き?」


「違うかもしれねぇ」


「でも」


「腹減ったから飯食う」


「眠いから寝る」


「会いたい奴がいるから会いに行く」


「理由なんて」


「そのくらいでいい」


世界意思は。


静かに考える。


「会いたい者……」


ナギは親指でハザムを指した。


「いるだろ」


世界意思は。


ハザムを見る。


ハザムは笑った。


「帝国へ来るか」


世界意思は驚く。


「……いいのか」


「駄目な理由があるか?」


「私は」


「敵だった」


ハザムは肩をすくめた。


「昨日まで敵だった奴なんて」


「山ほどいる」


ナギは吹き出した。


「確かにな」


ガロウ。


マリア。


ユリウス。


皆。


一度は敵だった。


それでも。


仲間になった。


世界意思は。


ゆっくり下を向く。


「私は」


「友達がいない」


ナギは笑う。


「知ってる」


「だから」


一歩前へ出る。


右手を差し出す。


「友達になるか?」


世界意思は。


その手を見る。


何億年。


誰にも差し出されなかった手。


震えながら。


ゆっくり。


その手を重ねる。


「……よろしく」


ナギは笑った。


「よろしく」


その瞬間。


白い世界に。


初めて。


色が生まれた。


青空。


緑の草原。


小さな花。


風の匂い。


世界意思は。


目を見開く。


「これは……」


ハザムが微笑む。


「世界だ」


「お前が」


「ずっと守ってきた世界だ」


世界意思は。


初めて涙を流した。


理由は分からない。


悲しくもない。


苦しくもない。


それでも。


涙だけが止まらなかった。


ナギは肩を叩く。


「泣き虫だな」


世界意思は笑う。


ぎこちなく。


少しだけ。


「……そうかもしれない」


青空の下。


四人は並んで歩き出す。


長い孤独は。


ようやく。


終わりを迎えた。

【前書き】


四字熟語が真名になる世界。


臨機応変、猪突猛進、医食同源の三人が、今日も腹を空かせて旅をします。


バトルあり、料理あり、ちょっとした言葉の物語あり。


よろしくお願いします。

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