↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神になるには、遅すぎた』 ―誰にも求められなかった男の創世記―  作者: 凡夫 成


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/80

Episode 10-5 「終わらせよう」

前書き

ここまで『神になるには、遅すぎた』を読んでいただき、本当にありがとうございます。

この物語も、いよいよ最終章となりました。

何者でもなかった一人の男は、数え切れない出会いと別れを経験し、多くの勇者や仲間達と共に国を築いてきました。

正義、戦争、思想、自由、愛、信仰、死、そして観測。

それぞれがハザムへ残した答えが、この最終章で一つになります。

最後まで、ハザム・ヴェルという一人の男の生き様を見届けていただければ幸いです。


白い世界。


誰も動かない。


創造主だけが。


静かに立っていた。


世界意思は。


もう創造主の隣にはいない。


ナギの隣でもない。


ハザムの隣に立っていた。


何億年。


続いた主従関係。


その終わりだった。


創造主は。


ゆっくりと世界意思を見る。


「裏切るのか」


世界意思は首を振る。


「違う」


「初めて」


「自分で選びます」


創造主は沈黙した。


その言葉は。


一度も聞いたことがなかった。


「選ぶ……」


「観測者に」


「意思は不要」


世界意思は静かに笑う。


「そう教えたのは」


「あなたです」


「でも」


「彼らが教えてくれました」


ハザムを見る。


ナギを見る。


少年を見る。


「人は」


「選ぶ生き物だと」


創造主は理解できない。


「選べば」


「間違える」


ハザムは頷く。


「ああ」


「何度も間違えた」


レオンのこと。


セイジのこと。


ユリウスのこと。


何度も。


何度も。


後悔してきた。


「でも」


「間違えたから」


「今の俺がいる」


創造主は首を振る。


「効率が悪い」


ナギが吹き出した。


「だから友達がいねぇんだよ」


創造主は黙る。


ナギは歩き出す。


玉座まで。


あと数歩。


「なあ」


「もう終わりにしようぜ」


創造主は目を細める。


「終わり……」


「休めよ」


ナギは笑う。


「何億年働いてんだ」


「ブラック企業でも」


「もう少し休ませるぞ」


少年が笑った。


世界意思も。


少しだけ笑った。


創造主だけが。


笑い方を知らない。


「休む……」


その言葉を。


何度も繰り返す。


「休んでも」


「世界は回る」


ハザムが答える。


「俺が証明した」


帝国。


属州。


辺境。


人々は。


ハザムがいなくても。


考え。


悩み。


笑いながら生きていた。


「世界は」


「一人じゃない」


創造主は。


静かに世界を見渡す。


初めてだった。


世界を。


管理対象ではなく。


世界として見るのは。


「……」


長い沈黙。


やがて。


創造主が。


初めて。


小さく笑った。


ぎこちない。


不器用な笑顔。


「分からない」


「なら」


ナギが肩をすくめる。


「これから覚えればいい」


その瞬間。


創造主の身体が。


白い光になり始めた。


世界意思が驚く。


「創造主!」


創造主は。


静かに首を振る。


「役目を」


「手放した」


「私は」


「もう」


「創造主ではない」


白い光が。


世界へ溶けていく。


創造主は。


最後にハザムを見た。


「お前は」


「良い世界を創った」


ハザムは笑う。


「違う」


創造主が首を傾げる。


ハザムは。


ゆっくり答えた。


「皆で創ったんだ」


創造主は。


少しだけ目を閉じた。


「……そうか」


その一言を最後に。


創造主は。


光となって。


世界へ還っていった。


白い世界から。


長い。


長い孤独だけが。


静かに消えていった。

後書き

『神になるには、遅すぎた』、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

この物語は、最強の神が世界を救う物語ではありません。

誰にも必要とされなかった一人の男が、人との出会いを通して「生きる意味」を見つける物語でした。

主人公だけでなく、レオン、クメル、シエル、ガロウ、リノア、ユリウス、マリア、アベル、ナギ──そして名もなき人々一人ひとりが、この世界を作ってくれました。

タイトルの『神になるには、遅すぎた』には、二つの意味を込めています。

神になろうとした時には、もう人を愛しすぎていたこと。

そして、人を愛したからこそ、本当の神にはなれなかったこと。

もしこの作品で、誰か一人でも心に残る人物がいたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。

長い旅に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

また、次の物語でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。