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『神になるには、遅すぎた』 ―誰にも求められなかった男の創世記―  作者: 凡夫 成


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Episode 9-3 「観測者狩り」

前書き

第九章「神殺し」。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

建国、戦争、思想、自由、愛、信仰、死、観測。

ハザムは七人の勇者と一人の観測者から、多くの答えを受け取りました。

そして物語は、いよいよ最終局面へ入ります。

この章では、これまで語られなかった「世界の真実」と、「神」と「勇者」の本当の意味が明らかになります。

ここから先は、ハザムだけでなく、この物語そのものの答えへ向かう旅です。

最後まで見届けていただければ幸いです。


白い世界。


無数の刃が。


ナギへ降り注ぐ。


少年は目を閉じた。


「危ない!」


次の瞬間。


ガキィン!!


甲高い音が響く。


一本。


二本。


十本。


百本。


全ての刃を。


ナギは一本の剣で弾き返した。


「ほぉ」


久しぶりだ。


剣を振るうのは。


身体が覚えていた。


観測者達が動く。


一人。


また一人。


白い衣を纏った存在が。


ナギを取り囲む。


「観測者ナギ」


「抵抗を確認」


「排除を開始する」


ナギはため息をつく。


「昔から思ってたけどさ」


剣を肩に担ぐ。


「お前ら」


「喋り方固ぇよ」


返事はない。


一斉に踏み込む。


速い。


人間では見えない速度。


だが。


ナギは笑う。


「遅い」


一閃。


白い世界に。


一本の線が走る。


最前列の観測者が。


音もなく消えた。


「……」


他の観測者は止まらない。


感情がない。


恐怖もない。


命令だけがある。


二人。


三人。


十人。


一斉攻撃。


ナギは避けない。


踏み込む。


剣が踊る。


斬る。


弾く。


崩す。


白い衣が。


一人。


また一人。


光となって消えていく。


少年は呆然と見ていた。


「すごい……」


ナギは苦笑する。


「すごくないさ」


「昔はもっと強かった」


息一つ乱れていない。


観測者達は距離を取る。


初めて。


動きが止まった。


世界意思が口を開く。


「戦闘能力」


「予測値を上回る」


ナギは笑う。


「そりゃそうだ」


「何百年」


「灰神皇の隣にいたと思ってる」


その一言で。


空気が変わる。


観測者達は。


ようやく理解する。


この男は。


ただの観測者ではない。


神の時代を。


生き抜いた男だった。


世界意思。


「観測者部隊」


「全戦力を投入」


白い空間が揺れる。


無数の扉が開く。


一人。


十人。


百人。


数え切れない観測者が現れる。


少年は震えた。


「こんなの……」


「勝てない」


ナギは前へ出る。


少年を庇うように。


「そうだな」


少し笑う。


「一人じゃ無理だ」


少年は顔を上げる。


「え?」


ナギは王城のある世界を見つめた。


そして。


何百年も付き合った友人を思い浮かべる。


「……そろそろ」


口元が緩む。


「あいつも気付くだろ」


その瞬間。


白い世界の遥か彼方で。


ガラスが割れるような音が響いた。


パリン――。


世界意思が初めて顔を上げる。


「侵入者を確認」


ナギは笑った。


心の底から。


嬉しそうに。


「来やがった」


白い世界に。


黒い亀裂が走る。


その向こうから。


聞き慣れた声が響いた。


「友達を迎えに来た」


ナギは肩をすくめる。


「約束、破りやがって」


亀裂の向こうで。


灰色の炎が燃え上がる。


灰神皇。


ハザム・ヴェルが。


世界の外側へ。


足を踏み入れた。

後書き

第九章が始まりました。

タイトルは「神殺し」。

ですが、この章は単純な「神を倒す物語」ではありません。

神とは何か。

勇者とは何か。

そして、人はなぜ誰かを救おうとするのか。

これまで積み重ねてきた全ての章が、この章へと繋がっています。

次章はいよいよ最終章です。

長い旅も、あと少し。

最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

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