Episode 7-3 「空白」
第7章 前書き
ここまで読んでいただきありがとうございます。
建国から始まったこの物語も、気付けば随分と長い時間が流れました。
正義。 思想。 自由。 愛。 信仰。
様々な勇者達が現れ、 それぞれの答えをハザムへぶつけてきました。
そして第7章のテーマは――
「死」
です。
どれだけ文明が発展しても。 どれだけ世界が平和になっても。
人は死にます。
大切な人も。 愛した人も。 いつか必ず。
それは神であっても変えられないのかもしれません。
今回の勇者アベルは、 これまでの勇者達とは少し違います。
世界を変えたい訳でも、 神を倒したい訳でもありません。
ただ、 人の最期を見届け続ける男です。
そして久しぶりに、 ハザムの家族とも言える存在、 エリスも登場します。
神になった男が、 死をどう受け入れるのか。
楽しんでいただければ幸いです。
それでは第7章、 「死の勇者編」 始まります。
建国祭。
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帝都中央広場。
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年に一度の祭典。
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人。
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人。
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人。
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数十万。
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帝国全土から人が集まる。
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露店。
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楽団。
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大道芸人。
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子供達の笑い声。
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平和だった。
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これこそが。
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灰神圏だった。
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病院組も来ていた。
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アベル。
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エリス。
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若い神官達。
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看護師達。
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皆浮かれている。
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「白騎士様見れるかな」
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「黒騎士様だろ!」
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「リオ様も来るらしい!」
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騒がしい。
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アベルだけ少し後ろ。
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人混みは苦手だった。
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エリスが振り返る。
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「アベル様」
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「楽しそうじゃありませんね」
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アベルは苦笑する。
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「仕事柄です」
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エリスが笑う。
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「死ぬ人ばかり見ているからですか?」
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アベル。
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「それもあります」
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その時。
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鐘が鳴る。
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ゴォォォン。
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広場が静まる。
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民衆が頭を上げる。
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王城上空。
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空間が歪む。
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歓声。
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灰神皇。
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来た。
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巨大な転移門。
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そこから現れる。
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灰神皇ハザム・ヴェル。
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歓声。
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大歓声。
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だが。
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アベルは見ていた。
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能力。
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寿命視。
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無意識だった。
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いつもの癖。
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まず。
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ハザムを見る。
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そして。
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止まった。
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「……え?」
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数字が無い。
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何も。
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見えない。
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アベルは目を擦る。
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もう一度見る。
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やはり無い。
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不死種なら知っている。
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長命種も知っている。
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寿命一万年の竜族も見た。
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寿命∞の精霊王も見た。
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だが。
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何も無い。
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初めてだった。
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そして。
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ハザムの後ろ。
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白騎士レオン。
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見る。
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無い。
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黒騎士カズハ。
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無い。
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紫衣卿セイゼル。
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無い。
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白銀の詩唱卿リオ。
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無い。
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全員。
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空白。
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アベルの顔色が変わる。
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呼吸が止まる。
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エリスが気付く。
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「アベル様?」
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返事が無い。
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アベルは理解できない。
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何だこれは。
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寿命が長い訳ではない。
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不老でもない。
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∞でもない。
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空っぽ。
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存在しない。
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まるで。
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死という概念そのものが無い。
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その時。
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リオがふとこちらを見る。
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優しい笑顔。
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民衆へ手を振る。
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誰もが歓声を上げる。
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だが。
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アベルだけは凍り付く。
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見えた。
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ほんの一瞬。
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リオの瞳の奥。
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深い孤独。
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深い静寂。
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死んでいるような。
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生きているような。
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説明できない何か。
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アベルは思わず呟く。
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「何なんだ……」
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エリス。
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「え?」
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アベルは答えない。
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答えられない。
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視線を戻す。
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ハザム。
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灰神皇。
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神。
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民衆は神と呼ぶ。
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だが。
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アベルには違った。
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見えない。
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ではない。
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そこに。
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何も無い。
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生でもない。
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死でもない。
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ただ。
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空白。
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その瞬間。
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ハザムの視線が動く。
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広場。
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数十万人。
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その中。
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アベルを見る。
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一瞬だけ。
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本当に一瞬だけ。
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目が合う。
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アベルの背筋が凍る。
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見透かされた気がした。
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ハザムは何も言わない。
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だが。
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ほんの少しだけ。
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興味を持った。
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「どうしました?」
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隣のエリス。
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アベルは答えない。
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遠く。
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灰神皇を見る。
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そして。
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生まれて初めて。
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自分の能力を恐れた。
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見えてはいけないものを。
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見てしまった気がした。
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建国祭の歓声が響く。
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誰も気付かない。
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だが。
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死を見続けてきた勇者は。
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神の国最大の違和感を見つけてしまった。
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空白。
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それが。
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第七章の始まりだった。
第7章 後書き
第7章を読んでいただきありがとうございました。
この作品は長い間、
「生きるとは何か」
をテーマに書いてきました。
ですが、その答えを考えるなら、
どうしても避けられないものがあります。
それが――
死です。
ハザムはこれまで多くの人を失いました。
レオン。
シエル。
ノリア。
そして数え切れない人々。
その度に前へ進みながらも、 どこかで受け入れる事を避けてきたのかもしれません。
今回登場するアベルは、 誰かを倒すための勇者ではありません。
誰かの最期を見届ける勇者です。
そしてエリスもまた、 命と死に向き合い続ける人物になります。
派手な戦争や国家運営とは少し違う章になりますが、 この物語の核心へ近付く章になると思っています。
神は死を超えられるのか。
それとも。
死を受け入れる事こそが人間らしさなのか。
そんな事を考えながら読んでいただけたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いいたします。
『神になるには、遅すぎた』作者より。




