Episode 6-6 「開戦」
読んでいただきありがとうございます!
最近は戦闘シーンよりも、
「会話で殴り合う」
場面の方が増えてきました。
レオン。 セイジ。 ガロウ。 ユリウス。
それぞれ違う形でハザムへ挑みました。
そして今回のマリアは、 また違う方向からハザムへ向き合う人物になります。
どんな結末になるのか、 作者自身も楽しみながら書いています。
次回もよろしくお願いします!
帝都。
灰神大聖堂。
---
鐘が鳴る。
---
重く。
---
何度も。
---
何度も。
---
人々は理解した。
---
何かが決まった。
---
神殿前広場。
---
神妃ジュリアが立つ。
---
周囲には神官。
---
貴族。
---
将軍。
---
属州代表。
---
数万人の民衆。
---
ジュリアは静かに告げた。
---
「属州間調停は失敗しました」
---
ざわめき。
---
「水資源問題」
---
「食料問題」
---
「人口問題」
---
「全ての協議は決裂しました」
---
沈黙。
---
そして。
---
「灰神皇陛下は決断されました」
---
空気が張り詰める。
---
「限定戦争を許可します」
---
歓声は起きない。
---
だが。
---
誰も反対しない。
---
それが神の決定だった。
---
---
その日の夜。
---
教会。
---
マリアは報告を受けていた。
---
誰も座らない。
---
皆立っている。
---
元兵士。
---
職人。
---
移民代表。
---
地方代表。
---
彼らの顔は険しかった。
---
「戦争が始まる」
---
誰かが言う。
---
「止めなきゃならない」
---
別の誰か。
---
「属州は死ぬぞ」
---
「また大勢死ぬ」
---
マリアは黙る。
---
しばらく。
---
本当に長く。
---
やがて。
---
「私は戦争をしたくありません」
---
皆が頷く。
---
当然だった。
---
マリアは続ける。
---
「でも」
---
「戦争を止めるためなら」
---
顔を上げる。
---
「私は神殿へ行きます」
---
静寂。
---
誰かが息を呑む。
---
「灰神皇へ直接会います」
---
その言葉は。
---
反逆ではない。
---
嘆願だった。
---
---
だが。
---
王都中へ広がる頃には。
---
話は変わっていた。
---
「聖女マリアが立ち上がった」
---
「神へ異議を唱えた」
---
「聖女軍結成」
---
尾ひれ。
---
憶測。
---
願望。
---
恐怖。
---
全てが混ざる。
---
人は事実ではなく。
---
物語を信じる。
---
---
数日後。
---
帝都北門。
---
数万人。
---
人が集まる。
---
武器は少ない。
---
旗だけ。
---
食料だけ。
---
祈りだけ。
---
中央。
---
マリア。
---
困った顔をしていた。
---
「だから違います」
---
「軍じゃありません」
---
誰も聞かない。
---
元兵士が叫ぶ。
---
「聖女様のために!」
---
群衆。
---
「おおおおお!!」
---
マリア。
---
頭を抱える。
---
ナギが遠くで笑う。
---
「もう遅い」
---
誰にも聞こえない。
---
その言葉だけが風に消える。
---
---
同じ頃。
---
王城。
---
玉座の間。
---
報告を受けるハザム。
---
「帝都北門」
---
「集結人数」
---
「推定十五万人」
---
紫衣卿が淡々と告げる。
---
「武装率は低いです」
---
「ですが組織化が進んでいます」
---
ハザムは黙る。
---
後ろには。
---
白騎士レオン。
---
黒騎士カズハ。
---
神話の番人。
---
リオ。
---
静かに本を閉じる。
---
ジュリアが言う。
---
「反乱です」
---
即答だった。
---
「早急に鎮圧を」
---
紫衣卿は黙る。
---
ハザムも答えない。
---
そして。
---
しばらくして。
---
ハザムが問う。
---
「マリアは武器を持ったか」
---
「いいえ」
---
「人を殺したか」
---
「いいえ」
---
「法を破ったか」
---
「いいえ」
---
沈黙。
---
ジュリアの顔が曇る。
---
ハザムは立ち上がる。
---
窓の外。
---
帝都。
---
神殿。
---
そして。
---
北門へ集まる民衆。
---
遠くからでも見えた。
---
ハザムは静かに言う。
---
「まだ反乱ではない」
---
ジュリアが驚く。
---
紫衣卿も見る。
---
だが。
---
ハザムは続ける。
---
「だが」
---
そこで止まる。
---
初めて。
---
少しだけ疲れた顔をした。
---
「時間の問題だ」
---
---
その夜。
---
北門。
---
マリアは眠れなかった。
---
焚き火。
---
数万人の人々。
---
皆。
---
期待している。
---
自分を。
---
それが怖かった。
---
本当に怖かった。
---
マリアは呟く。
---
「私は救世主じゃない」
---
「ただ」
---
「話し合いたいだけなのに」
---
その時。
---
後ろから声。
---
「大体そういう奴が祭り上げられる」
---
ナギだった。
---
焚き火の横へ座る。
---
マリアが苦笑する。
---
「どうすればいいんでしょう」
---
ナギは空を見る。
---
満天の星。
---
そして。
---
小さく笑った。
---
「さてな」
---
「神と話すしかないんじゃないか?」
---
遠く。
---
帝都の鐘が鳴る。
---
神妃派。
---
聖女派。
---
どちらも善意。
---
どちらも正義。
---
だからこそ。
---
止まらない。
---
こうして。
---
灰神圏史上初。
---
第一次信仰戦争
の幕が上がった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
5章はかなり重めの話になりましたが、 6章は少し視点を変えて、
「神の国で生きる人々」
に焦点を当てていきます。
久しぶりに観測者ナギも登場します。
個人的にも好きなキャラクターなので、 楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは第6章、 よろしくお願いいたします!




