Episode 6-3 「歪み」
読んでいただきありがとうございます!
最近は戦闘シーンよりも、
「会話で殴り合う」
場面の方が増えてきました。
レオン。 セイジ。 ガロウ。 ユリウス。
それぞれ違う形でハザムへ挑みました。
そして今回のマリアは、 また違う方向からハザムへ向き合う人物になります。
どんな結末になるのか、 作者自身も楽しみながら書いています。
次回もよろしくお願いします!
朝。
帝都。
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巨大な街道。
白い石畳。
整然と並ぶ街路樹。
魔導列車。
噴水広場。
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人々は笑う。
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学生達は学校へ向かう。
商人は店を開く。
職人は工房へ向かう。
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かつて誰もが夢見た理想郷。
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灰神圏帝都。
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世界で最も豊かな都市。
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そして。
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世界で最も平和な都市だった。
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王城。
最上階。
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朝日が差し込む寝室。
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巨大な天蓋付きの寝台。
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ハザムが静かに目を開く。
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何百年も変わらない朝。
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隣には一人の女性が眠っていた。
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長い髪。
整った顔立ち。
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誰なのかは語られない。
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ハザムは何も言わない。
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ゆっくり起き上がる。
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窓へ歩く。
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帝都が見える。
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市場。
神殿。
学校。
病院。
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自らが作った世界。
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完成された世界。
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しばらく眺める。
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感慨はない。
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確認するように見ているだけだった。
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やがて扉が開く。
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紫衣卿セイゼル。
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白銀の詩唱卿リオ。
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「おはようございます」
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リオが微笑む。
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ハザムは小さく頷く。
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変わらない朝。
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変わらない日常。
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誰もがそう思っていた。
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だが。
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帝都の外縁部。
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そこには別の景色があった。
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泥道。
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古い木造住宅。
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増え続ける人口。
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移民。
労働者。
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希望を持って帝都へ来た人々。
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だが。
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全員が成功できる訳ではない。
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職人の男。
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王都職人組合。
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加入申請。
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結果。
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不許可。
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「枠がありません」
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理由は正しい。
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誰も悪くない。
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だが。
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男は三日まともな食事をしていない。
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別の場所。
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移民の家族。
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住居不足。
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仮設住宅。
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順番待ち。
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子供が咳をしている。
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母親はただ抱き締める事しか出来ない。
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病院。
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診察待ち。
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数百人。
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医師も看護師も足りない。
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制度はある。
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だが。
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人が増えすぎた。
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王都は豊かだった。
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だが。
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豊かさは平等ではなかった。
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そして。
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教会。
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マリアがいた。
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小さな机。
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粗末な椅子。
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何の権力もない。
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何の地位もない。
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ただ。
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話を聞いていた。
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「仕事がありません」
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「子供が病気なんです」
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「故郷へ帰る金もない」
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マリアは聞く。
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否定しない。
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説教もしない。
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神の教えも語らない。
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ただ聞く。
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それだけ。
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それだけだった。
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だが。
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男は泣いた。
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女も泣いた。
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老人も泣いた。
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誰も話を聞いてくれなかったから。
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夕方。
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教会の外。
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人が増えていた。
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百人。
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五百人。
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千人。
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いつの間にか。
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広場が埋まっていた。
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マリアは困っていた。
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「どうして……?」
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本気で分からない。
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「私は何もしていないのに」
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その言葉へ。
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老人が笑った。
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「だからだよ」
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マリアは首を傾げる。
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意味が分からない。
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群衆の中。
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元兵士。
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元役人。
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地方領主の使者。
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移民代表。
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それぞれが別々の思惑を持つ。
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だが。
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皆。
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同じ方向を見ていた。
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マリア。
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誰かが呟く。
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「この人なら」
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また別の誰かが言う。
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「変えてくれるかもしれない」
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マリアは聞いていない。
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だが。
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その言葉は。
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少しずつ。
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少しずつ。
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形を持ち始める。
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信頼。
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期待。
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そして。
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信仰。
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同じ頃。
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王城。
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紫衣卿が報告書を閉じた。
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「慈善集会参加者」
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三万人。
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五万人。
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十万人。
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急増。
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ハザムは静かに数字を見る。
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「違法行為は」
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「ありません」
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「武装もありません」
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「納税も行っています」
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「むしろ模範的です」
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沈黙。
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ハザムは報告書を閉じる。
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「なら問題ない」
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それだけだった。
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紫衣卿は答えない。
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窓の外を見る。
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帝都は今日も美しい。
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輝いている。
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だが。
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光が強くなればなるほど。
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影もまた濃くなる。
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そして今。
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帝国の影は。
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誰も気付かぬまま。
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静かに広がり始めていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
5章はかなり重めの話になりましたが、 6章は少し視点を変えて、
「神の国で生きる人々」
に焦点を当てていきます。
久しぶりに観測者ナギも登場します。
個人的にも好きなキャラクターなので、 楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは第6章、 よろしくお願いいたします!




