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『神になるには、遅すぎた』 ―誰にも求められなかった男の創世記―  作者: 凡夫 成


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42/80

Episode 6-3 「歪み」

読んでいただきありがとうございます!

最近は戦闘シーンよりも、

「会話で殴り合う」

場面の方が増えてきました。

レオン。 セイジ。 ガロウ。 ユリウス。

それぞれ違う形でハザムへ挑みました。

そして今回のマリアは、 また違う方向からハザムへ向き合う人物になります。

どんな結末になるのか、 作者自身も楽しみながら書いています。

次回もよろしくお願いします!


朝。


帝都。



---


巨大な街道。


白い石畳。


整然と並ぶ街路樹。


魔導列車。


噴水広場。



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人々は笑う。



---


学生達は学校へ向かう。


商人は店を開く。


職人は工房へ向かう。



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かつて誰もが夢見た理想郷。



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灰神圏帝都。



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世界で最も豊かな都市。



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そして。



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世界で最も平和な都市だった。



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王城。


最上階。



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朝日が差し込む寝室。



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巨大な天蓋付きの寝台。



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ハザムが静かに目を開く。



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何百年も変わらない朝。



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隣には一人の女性が眠っていた。



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長い髪。


整った顔立ち。



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誰なのかは語られない。



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ハザムは何も言わない。



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ゆっくり起き上がる。



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窓へ歩く。



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帝都が見える。



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市場。


神殿。


学校。


病院。



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自らが作った世界。



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完成された世界。



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しばらく眺める。



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感慨はない。



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確認するように見ているだけだった。



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やがて扉が開く。



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紫衣卿セイゼル。



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白銀の詩唱卿リオ。



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「おはようございます」



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リオが微笑む。



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ハザムは小さく頷く。



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変わらない朝。



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変わらない日常。



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誰もがそう思っていた。



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だが。



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帝都の外縁部。



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そこには別の景色があった。



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泥道。



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古い木造住宅。



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増え続ける人口。



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移民。


労働者。



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希望を持って帝都へ来た人々。



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だが。



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全員が成功できる訳ではない。



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職人の男。



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王都職人組合。



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加入申請。



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結果。



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不許可。



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「枠がありません」



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理由は正しい。



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誰も悪くない。



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だが。



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男は三日まともな食事をしていない。



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別の場所。



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移民の家族。



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住居不足。



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仮設住宅。



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順番待ち。



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子供が咳をしている。



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母親はただ抱き締める事しか出来ない。



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病院。



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診察待ち。



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数百人。



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医師も看護師も足りない。



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制度はある。



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だが。



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人が増えすぎた。



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王都は豊かだった。



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だが。



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豊かさは平等ではなかった。



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そして。



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教会。



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マリアがいた。



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小さな机。



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粗末な椅子。



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何の権力もない。



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何の地位もない。



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ただ。



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話を聞いていた。



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「仕事がありません」



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「子供が病気なんです」



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「故郷へ帰る金もない」



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マリアは聞く。



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否定しない。



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説教もしない。



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神の教えも語らない。



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ただ聞く。



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それだけ。



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それだけだった。



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だが。



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男は泣いた。



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女も泣いた。



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老人も泣いた。



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誰も話を聞いてくれなかったから。



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夕方。



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教会の外。



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人が増えていた。



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百人。



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五百人。



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千人。



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いつの間にか。



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広場が埋まっていた。



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マリアは困っていた。



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「どうして……?」



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本気で分からない。



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「私は何もしていないのに」



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その言葉へ。



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老人が笑った。



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「だからだよ」



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マリアは首を傾げる。



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意味が分からない。



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群衆の中。



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元兵士。



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元役人。



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地方領主の使者。



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移民代表。



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それぞれが別々の思惑を持つ。



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だが。



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皆。



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同じ方向を見ていた。



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マリア。



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誰かが呟く。



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「この人なら」



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また別の誰かが言う。



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「変えてくれるかもしれない」



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マリアは聞いていない。



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だが。



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その言葉は。



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少しずつ。



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少しずつ。



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形を持ち始める。



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信頼。



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期待。



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そして。



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信仰。



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同じ頃。



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王城。



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紫衣卿が報告書を閉じた。



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「慈善集会参加者」



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三万人。



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五万人。



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十万人。



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急増。



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ハザムは静かに数字を見る。



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「違法行為は」



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「ありません」



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「武装もありません」



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「納税も行っています」



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「むしろ模範的です」



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沈黙。



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ハザムは報告書を閉じる。



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「なら問題ない」



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それだけだった。



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紫衣卿は答えない。



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窓の外を見る。



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帝都は今日も美しい。



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輝いている。



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だが。



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光が強くなればなるほど。



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影もまた濃くなる。



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そして今。



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帝国の影は。



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誰も気付かぬまま。



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静かに広がり始めていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

5章はかなり重めの話になりましたが、 6章は少し視点を変えて、

「神の国で生きる人々」

に焦点を当てていきます。

久しぶりに観測者ナギも登場します。

個人的にも好きなキャラクターなので、 楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは第6章、 よろしくお願いいたします!

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