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『神になるには、遅すぎた』 ―誰にも求められなかった男の創世記―  作者: 凡夫 成


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28/80

Episode 4-5 「鐘哭窟」

いつも読んでいただきありがとうございます。


『神になるには、遅すぎた』は、異世界転生・国家運営・ダークファンタジーを軸にしつつ、“人間性の変化”をテーマに描いています。

主人公は決して善人ではありません。

ですが、悪人とも少し違います。

長い時間の中で、人が何を失い、何を残すのか。

そんな物語として楽しんでいただければ嬉しいです。

それでは本編をどうぞ。


奈落街最下層。


廃棄地下水路区域――鐘哭窟。


そこは、灰神圏でも最悪の場所だった。


昔の処刑場。


無数の死体を流した地下水路。


今では犯罪者すら近づかない。


だが今。


そこが、《紅宴》の巣になっていた。


腐臭。


血。


胞子。


空気そのものが淀んでいる。


ガロウが顔をしかめる。


「クソみてぇな場所だな」


隣でノリアが法陣を展開していた。


淡い光が周囲を包む。


「胞子濃度が高すぎます」


「長時間は危険です」


その後ろには灰狼連。


オーガ。


獣人。


エルフ。


皆、武装している。


だが。


誰の顔にも緊張が浮かんでいた。


怖いのだ。


感染が。


爆砕が。


死より。


“壊れる”ことが。


その時。


暗闇の奥で、笑い声が響く。


「ようこそォ……」


全員が武器を構える。


現れたのは、痩せた男だった。


黒衣。


鐘の紋章。


《断鐘》幹部。ベルク=ラド


だが。


人間ではなかった。


腕が膨張している。


肉が脈打つ。


背中から骨が飛び出していた。


目だけが異様に爛々と輝いている。


男は笑う。


「灰神圏は……綺麗すぎる」


「だから腐らせる価値がある」


ガロウが舌打ちする。


「薬売人が哲学語ってんじゃねぇよ」


次の瞬間。


男が咆哮した。


周囲の死体袋が破裂する。


中から感染者が這い出す。


数十。


数百。


異常な数だった。


灰狼連が叫ぶ。


「来るぞ!!」


地獄が始まる。


感染者たちが一斉に襲いかかる。


ガロウが飛び込む。


ナイフ。


喉を裂く。


蹴り飛ばす。


だが。


倒しても倒しても数が減らない。


ノリアが法術を展開。


光槍。


複数の感染者を貫く。


だが。


胞子が舞う。


オーガの部下が苦しみ始める。


「が……ぁ……」


皮膚が変色。


爆砕。


血肉が周囲へ飛び散る。


悲鳴。


混乱。


奈落街の荒くれ者たちですら恐怖していた。


《断鐘》ベルク=ラドが笑う。


「いい顔だァ……!」


「壊れていけ!」


ガロウが突っ込む。


だが。


感染者の壁が分厚い。


ナイフが届かない。


ノリアが叫ぶ。


「下がって!!」


法陣展開。


大規模浄化術。


光が地下空間を焼く。


感染者が灰になる。


だが。


ノリアが膝をつく。


消耗が激しい。


《断鐘》幹部が笑う。


「その程度かァ!!」


その瞬間だった。


地下通路の奥。


白い足音が響く。


コツ。


コツ。


空気が変わる。


感染者たちが止まる。


暗闇の中。


純白の甲冑。


白騎士レグオン。


静かに現れる。


次の瞬間。


斬撃。


通路ごと感染者が両断された。


血すら残らない。


灰狼連が凍りつく。


「白騎士……!」


《断鐘》幹部すら顔を歪める。


その直後。


別方向の壁が砕ける。


黒い巨体。


黒騎士ヴァズ。


巨大斧の一撃で感染者群を吹き飛ばす。


爆風。


肉片。


圧倒的だった。


もはや戦争ではない。


災害。


神話。


灰狼連の若者たちが震える。


だが。


ガロウだけは舌打ちした。


「……遅ぇんだよ」


ノリアが目を見開く。


普通なら。


白黒騎士を前に立っているだけで恐怖する。


だがこの男は違う。


ガロウは《断鐘》幹部を睨む。


「雑魚掃除は任せた」


「元締めは俺が殺す」


ノリアが立ち上がる。


息を荒げながら。


「一人じゃ無理です」


ガロウが笑う。


「じゃあ来いよ」


その瞬間。


《断鐘》幹部の身体が膨張する。


肉。


骨。


胞子。


完全に化け物へ変貌していく。


「神の国をォォォ!!」


「腐らせろォォォ!!」


咆哮。


地下空間が揺れる。


ガロウはナイフを握る。


ノリアは剣を構える。


その背後では。


白と黒の騎士が、静かに感染者を蹂躙していた。


まるで。


神話の処刑みたいに。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

少しずつですが、主人公自身も“人間”から変わり始めています。

この作品は、戦いや能力だけではなく、

「世界を作る側になった時、人は何を失うのか」

を描いていけたらと思っています。

よければ感想などいただけると励みになります。

次回もよろしくお願いします。

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