10-10 ネコ戦士、ネコと共にベリー村に帰る
ケラーさんとも話したし、王様とも話したし…ということで、私はクロと一緒にベリー村に帰ることにした。
今朝は馬二頭にそれぞれ乗って最速で王都に来たけど、帰りはそんなに急ぐこともないので、ガイにみんなを乗せてもらうことになった。
ギルド長が手綱を持って、私とクロがギルド長の前に乗り、行きよりはゆっくりとガイに走ってもらった。
帰り道、私はあることを思い出していた。
そういえば、カールさんが私に好意を持ってるって言った時、三人娘は”ネコ戦士”じゃなくって”ネコ”って言葉を使ってたっけ…と。
ていうことはバーサさんだけじゃなくて、若い子たちも…少なくともベリー村の人たちは”ネコ”を知ってたというか、大昔のネコの話を聞いてたってことだよねぇ。
ホント、古文書より口伝の方が役に立つんじゃないのか?
まあでも大昔のことなんて、何もかも正確に記録されてるわけじゃないだろうし。
古文書を役立たずって責めるわけにもいかないしね。
そんなことを考えながら、私はクロの入った袋を左前脚で抱えつつ、右前脚でガイのたてがみにしがみついていた。
そして行きよりはゆっくりだったので、三時間弱ぐらいで私たちはベリー村に着いた。
「おかえりモモちゃん!」
「お疲れ様!!」
みんなが出迎えてくれて
「ただいまにゃ!」
と返すと同時に、私のお腹がぐうぅ…と鳴った。
ギルド長が慌てて
「す、すまん!!昼食をとってから出発するべきだったな!!」
と謝ったので、私は笑った。
ジンさんが慌てて焼き肉と、クロ用の肉を持って来てくれて
「王宮でメシ食ってくりゃ良かったのによぉ。王様も気がきかねぇな」
と言ったので、私は
「ネコ型の勲章もらったから、ご飯はいいのにゃ!!」
と、頭に着けたネコ型の勲章を指さした。
「かわいいー!!」
「なるほど、ネコ戦士らしいな!」
みんなが口々にほめてくれてたら、袋の中から
「ニャー!!」
とクロが鳴いた。
「あ、ごめんにゃ!!先にご飯にゃ!!」
慌ててジンさんにもらった肉を差し出すと、クロはがっついて食べ始めた。
クロもお腹すいてたんだねぇ…
ギルド長も焼き肉とキャベツとモロコシパンでお昼ご飯を済ませ、ガイも水を飲んだりリンゴを食べたりしてゆっくり休んでから、二人は王都に戻ることになった。
ギルド長が王都に戻る前に、帰り道で考えてたことを、私はギルド長に言ってみることにした。
「ギルド長さん、バーサさんだけじゃなくてアンナたち女の子も”ネコ”って言葉知ってたにゃよ」
「なんとっ…?!」
ギルド長は予想通りびっくりしてた。
アンナたちにも聞こえてたらしくて、
「だって…見たことはなかったけど」
「大人たちが言ってたのは子供のころから聞いてたし?」
「モモちゃんは話に聞いてたネコみたいだったし…」
アンナとマリアとエマが口々にそう言ったら、ギルド長は
「そうか…口伝というものも馬鹿に出来ぬな…高齢者だけではなく、若者も知っていたとは…」
と言った。
するとバーサさんが、ギルド長の頭をぱしっと叩いた。
「高齢者ってなんなんだい?!あたしゃまだ、ばあさんじゃないよ!!」
バーサさんがそう言ったので、みんな笑った。
「ホントにゃよ。ギルド長さんて紳士だにゃーって思ってたのに、女心わかってないにゃあ」
私がそう言うとバーサさんが
「嫁さんにも失礼なこと言ってんじゃないだろうね?」
と言った。
あっ…そ、それは…
「私は独り身だ」
ギルド長がそう言ったので、バーサさんもみんなも気まずそうに黙った。
「ギルド長さんもケンさんと同じにゃ。お仕事一筋なのにゃ!」
と私が慌ててギルド長をかばうと、
「そうかい。ギルド長さんも俺とおんなじ働きもんなんだな!」
ケンさんが笑って言った。
ギルド長はうなずいて
「うむ。貴殿とは話が合いそうだな」
と言ったんだけど、三人娘が
「あら、私たちはケンさんとなら結婚してもいいって思ってるわよ?ケンさん、モテるのよ?」
と口を挟んできた。
ケンさんは
「…へ?」
と、訳が分からないといった顔をして、ギルド長は凍った。
なんかヘンな空気になったので、
「ギルド長さん、今日もありがとにゃ!!またよろしくお願いしますにゃ!!」
と言ってギルド長を見送ることにした。
馬のガイが、慰めるようにギルド長に頭をこすり付けたので、”あっ…馬に慰められてる…”と思ったけど、ギルド長はそれに気づかず、ベリー村を出発した。
ギルド長さん…朝も早くから送迎してくれたのにこの仕打ち…お気の毒すぎる…と私は思った。
これで第10章終わりです~。明日から11章開始です。昨夜はネコが思い出したように仔猫の頃のおもちゃ…鈴の入ったボールで必死に遊んでました。いまだに仔猫みたいでかわいいですw




