10-9 ネコ戦士、王様にネコを紹介する
ギルドの建物に入って、いつもの大きな机でみんな席に着いた。
私の席は、例のベビーチェアみたいなやつだ。
私は抱っこひもの袋の中にクロを入れたまま、私の席に座った。
ケラーさんはクロに引っかかれた鼻先の傷に塗り薬を塗っていた。
クロは袋の中でちょっと震えてたけど、
「クロ、大丈夫にゃ。このヒト族もみんな仲間にゃ」
と声をかけると、震えは治まってきた。
「ネコ戦士殿、ベリー村の村人が、ネコは大昔にはヒトと共存していたと申したそうだが…」
ケラーさんが口を開いた。
私はうなずいた。
「そうにゃ。ヒトからゴハンもらったりしてたら村に住みついて、小鳥とかを狩ってきてくれたりしたそうにゃ」
私の言葉にケラーさんはうなずいて、
「そして、ネコがヒトと共存していたゆえに、神々はネコを獣人族にしたのではないか…と推察したのだな?」
と言った。
「バーサさんはそうかもねって言っただけだけど、きっとそれは当たってると思ったにゃ。だから早く知らせなきゃって思ったのにゃ」
と言うと、ケラーさんはまたうなずいた。
「うむ…うむ…興味深い推察であるな」
推察扱いってことは、確定じゃないってことだ。
まあ証拠はないからねぇ…
そう思って、私はふと思い出した。
フリーザードラゴンが、私を”ネコ”と呼んでいたことを。
「そうにゃ!!フリーザードラゴン、私のことを”ネコ”って呼んだにゃ!!」
私が声を上げると、ケラーさん達は目を見開いた。
「それでその後、”ヒトはネコ戦士と呼ぶのか?”って言ったにゃ!!」
ケラーさんは少し考えてから
「…大昔にはネコというモンスターが存在し、ヒトと共存していた…人々はネコというモンスターを知っていた。それゆえ、ネコを元にした姿の獣人族を”ネコ戦士”と呼んだ…ということか…」
とうなりながら言った。
「神々は全てのネコを獣人族にしたのか?それとも一部のみを獣人族にしたのか?そしてそのネコは大昔のネコの生き残りなのか?四人のネコ戦士たちの子孫なのか…?」
ケラーさんは疑問に思ったことを次々と、独り言のようにつぶやき続けた。
「それは私にはわからないにゃ」
私はため息をついた。
「とにかく今日は、クロを紹介するために来たのにゃ!クロがネコ戦士の子孫なのか、野生のネコなのかはわからないけどにゃ…クロは滅びた国のガレキの中に、ひとりっきりでいたのにゃ…」
袋の中から、クロが私を見上げて
「ニャー…」
と小さく鳴いた。
「…おお、とにかくネコ戦士殿の探索は成功したと言えるだろう。現在ルーン王国では見かけることのなくなったネコを発見し、保護したのだからな」
ケラーさんは、そう言った。
そしてギルド長が
「国王陛下にもご報告申し上げた所、たいそうお喜びであった。ネコ戦士の子孫でなくとも、古文書にすら記録の残されていなかったネコを発見・保護できて本当に良かった…と申され、またネコ戦士殿にお礼申し上げたいと仰せだ」
と言ったので
「勲章はもういらないにゃよ」
と、私は返した。
ギルド長はこぶしを口に当てて、ぷっと吹き出した。
「…ネコの形の勲章でも、いらぬか?」
とギルド長は笑いをこらえながらそう言った。
ネコの形の勲章。
「…だったら欲しいにゃ!!もらうにゃ!!今つけてる勲章と交換するにゃ!!」
私がそう言うと、ギルド長は
「…いや、今つけている勲章は陛下にお返しすることはできぬ…」
と、また笑いをこらえながら言った。
えー…ネコ型のがあったら、もう今のやついらないのにー…
私は心の中でぶつぶつと文句を言うにとどめた。
その後私はギルド長に連れられて王宮に行った。
「おお…モモ殿、こたびは長旅での探索、さぞ疲れたであろう…」
王様が駆け寄ってきて、ねぎらってくれた。
なので私は
「その分収穫はあったにゃ!!この子を見つけられて良かったにゃ!!」
と言って、袋からクロを出して抱きかかえた。
「クロ、このヒトはこの国で一番偉いヒトにゃ。クロを探すのを手伝ってって、ギルド長さんに言ってくれたのにゃ」
クロにそう言うと、クロは私の前脚の中から飛び降りた。
そして王様のとこに行って
「ニャー」
と言った。
「ありがとうって言ってるにゃ?」
クロに尋ねると、クロは私に向かって
「ニャー」
と鳴いた。
王様は涙ぐみながらうなずいて、そばにいる人に命令して小さな箱を持ってこさせた。
そして
「この勲章ならば喜んでくれるか?」
と、ネコの顔っぽい形の…目のとこに青い石の入ってる勲章を私に差し出した。
「ありがとにゃ!!うれしいにゃ!!今すぐ着けるにゃ!!」
私は大喜びで前の勲章を頭装備から外して、ネコ型の勲章をつけた。
元の勲章を抱っこひもに着けると、王様とギルド長は、目と口を開いた後、笑い出した。
笑えばいいよ、私はネコ型の勲章に大満足なんだから!!
ネコ型の勲章を描きたいと思って、つい出来心で大急ぎで描いてしまいましたw




