10-8 ネコ戦士、ネコを連れて王都に行く
しまった。
興奮のあまりに、すぐに知らせちゃったけど、もっと…せめて明後日とかにすれば良かった。
私は心底、ギルド長に申し訳なく思った。
もしかしなくても多分、荷馬車と一緒に王都に向かってたギルド長の上を、伝書鳩が往復しただろう。
それで、クロを連れてこいってことは、きっとまた荷馬車だ…
荷馬車を引くと、ベリー村までは片道三時間はかかる。
ガイとエリンも…馬たちも疲れるだろうな…
「荷馬車じゃなくて、馬に乗って行けないかにゃあ…」
私がそうつぶやくと、
「じゃあ、うちの子たちが赤ちゃんの時に抱っこしてたやつ、使ってみる?」
雑貨屋のリーナさんが声をかけてきた。
抱っこひも。
前世にもあったやつだ。
「お願いしますにゃ!」
私は抱っこひもを借りて、クロをその中に入れてみた。
カンガルーの袋みたいになった所の中に入って、クロはきょろきょろした。
「明日、馬さんに乗ってお出かけするにゃ。クロはこの中に入って寝ててにゃ」
クロに話しかけると、クロは首をかしげてたけど、うなずいた。
なので私は村長に頼んで、もう一度伝書鳩を飛ばしてもらうことにした。
ギルド長ひとりで二頭の馬と一緒に来てもらうこと。
私がクロを抱っこひもで体に縛り付けて馬に乗るので、荷車は必要ないこと。
村長は手紙を書いて、また伝書鳩を飛ばしてくれた。
…伝書鳩…すまん…
これで馬たちの負担は減るだろう。
安心した私は、クロと一緒に晩ご飯をもらって回ることにした。
焼き肉屋台のジンさんが
「クロも焼き肉でいいのかい?」
と聞いてきたので、私はちょっと考えた。
焼き肉は塩味だから、ネコには良くない…と思う。
「クロには干し肉を戻したやつを下さいにゃ」
と頼むと、ジンさんの後ろでアンナがすぐに干し肉を水に浸してくれた。
そして
「はい、クロちゃん」
とアンナが肉を差し出すと、クロはすぐにかぶりついて食べ始めた。
私が串焼きの肉を食べてるその下で、抱っこひもに入ったクロが肉を食べている。
ホントにカンガルーみたいだ。
私はバーサさんにもらったリンゴも食べたけど、クロは食べなかった。
ネコだから当たり前か。
晩ご飯を食べた後、私はクロを連れて家に戻った。
久しぶりの我が家…ふかふかのベッド…ありがたい。
装備を脱いで毛づくろいし始めると、クロも袋から出て毛づくろいを始めた。
そして私はクロと一緒にベッドで丸くなって、眠りについた。
ネコと一緒に眠る幸せな時間を噛みしめながら。
翌朝目覚めると、もう夜は明けていた。
クロと一緒に伸びをして、前脚で顔を洗ってから装備を身に着けて、私はクロを連れて家を出た。
「おはようにゃ!」
と挨拶すると、みんなも
「よっ!おはよう!」
「疲れは取れたかい?」
と口々に挨拶してくれた。
するとジンさんが私とクロに肉を差し出しながら
「もうギルド長さん来てて、馬を休ませてるぞ」
と言った。
早っ…!
「ギルド長さん、お疲れ様にゃ!早いにゃ~」
と声をかけると、ギルド長は
「新発見の数々に、ケラーも興奮している。早く色々と話したいようだ」
と答えた。
ケラーさん、人使い荒い…
「ガイさん、エリンさん、今日もお願いにゃ!」
私が声をかけると、馬たちはひひんといなないた。
ギルド長がエリンに、私とクロがガイに乗れば、いつものギルド長と私の二人乗りより早く、二時間で王都まで行けるらしい。
「クロ、しばらくこの中で寝ててにゃ。揺れて怖かったら私にしがみついてもいいにゃよ」
クロにそう言うと、クロは
「ニャー」
と言ってうなずいた。
「じゃ、ちょっと行ってくるにゃ!」
みんなに声をかけて、私たちは出発した。
「気をつけてなー!」
「行ってらっしゃい!!」
いつものみんなの見送りが、なんだかとってもうれしかった。
二週間の長い旅を思い出しながら、私はガイにしがみつき、クロは私にしがみついた。
やっぱりクロは、ちょっと怖いらしい。
「大丈夫にゃ。ずっとしがみついててもいいにゃよ」
時々クロに声をかけながら、私たちは馬の最速で王都に向かった。
予定通りの二時間ほどで城下街に入り、そのまま王城内のギルドまで進んで行くと、ケラーさん達がギルドの建物の外で立っていた。
ケラーさんが
「ネコというモンスターはいずこに?!」
と興奮した様子で叫んだので、私は抱っこひもの袋を指さして
「この中にゃ」
と答えた。
「おお!!」
とケラーさんが駆け寄ってきて袋を開けて覗いたら
「シャーッ!!」
と威嚇して、クロがケラーさんの鼻先をひっかいた。
「驚かすからにゃよ…」
私は呆れて、そう言うしかなかった。
CT検査行ってきました。造影剤を点滴したら、体がすっごいあったかくなりました。「寒い時にこれやるとカイロいらないですね」と言ったら、お医者さんが「いや、そういうんじゃないから」とツッコんでくれました。ツッコミありがとう←




