10-7 ネコ戦士、ネコと暮らし始める
「ただいまにゃ!!」
村のみんなに声をかけると、みんな駆け寄ってきた。
「おかえり、モモちゃん!」
「半月ぶりだなぁ。元気だったか?」
口々にそう声をかけてきたみんなは、私の両前脚の中を見た。
私に抱えられてた黒ネコは、押し寄せてきた人たちにおびえて、私にしがみついた。
「大丈夫にゃ。このヒトたちは、私の家族にゃ」
そう話しかけると、黒ネコは、私にしがみつく力を緩めた。
「モ…モモちゃん、子供産んだのか…?!」
声の主はカールさんだった。
するとアンナがカールさんの頭をぱしっと叩いた…もうカールさんはどうでもいいんだ…
「そんなわけないでしょ!モモちゃん、その子がネコ戦士たちの子孫なの?」
アンナはそう聞いてきたけど、どう答えていいのやら…
「まだわからないのにゃ。もしかしたら、ただの野生のネコかもしれないにゃ」
私がそう言ったら、バーサさんが
「ああ!大昔には人里近くにいたっていうモンスターだね!」
と言った。
「バーサさん、ネコ知ってるのにゃ?!」
私が驚くと、
「先祖代々の言い伝えってほどじゃないけどさ、そういうので聞いたことはあるよ。古文書とかには書いてないかもしれないね」
バーサさんはあっさりと言った。
そうだったんだ…
古文書、意外にアテにならないのかもしれない…
バーサさんの言葉にはギルド長も驚いてた。
「なんとっ…民間伝承では伝えられていたモンスターの情報が、古文書には記されていなかったとは…」
「これもケラーさんに報告した方が良さそうにゃ」
私がそう言うと、ギルド長はうなずいた。
「では私は馬たちを休ませた後、王都に向かい、ケラーに報告をしよう。国王陛下にも申し上げねばなるまい」
王都への報告はギルド長に任せることにして、私は黒ネコを見つめた。
「名前…なんていうにゃ?」
私の問いに、黒ネコは首をかしげた。
名前はないらしい。
「にゃっ!じゃあクロって呼ぶにゃ!いいにゃ?」
黒ネコは目を見開いてから、うなずいた。
「クロちゃん、よろしくね!」
「仲良くしてね!」
マリアとエマがそう言って覗き込むと、クロは
「シャーッ!!」
と威嚇した。
まあすぐには慣れないよね…
ギルド長はしばらくガイとエリンを休ませた後、王都に向けて出発した。
荷馬車の荷台はもうほぼ空なので、馬たちも少しは楽になっただろう。
私はクロを地面に降ろして、村の中を案内することにした。
まず村長のとこに行って
「クロ、このヒトはこの村で一番偉い村長さんにゃ。いつもみんなのことを考えてくれる優しいヒトにゃ」
と村長をクロに紹介すると、クロは
「ニャー」
と鳴いた。
よろしく?わかった?かな?
次にカールさんの前に連れてって
「このヒトはカールさんにゃ。私の狩りにいつもついてきてくれて、ニワトリのお世話もしてる優しいヒトにゃ」
と言うと、またクロは
「ニャー」
と鳴いた。
そうして次々に、村のみんなひとりひとりをクロに紹介して、最後にニワトリのとこに連れていくと、ニワトリたちは
「コケーッ!!」
と叫んで逃げだした。
うん…まあ仕方ないよね…
こうして、旧ゲナン王国跡で見つけた黒ネコのクロは、私たちと暮らすことになった。
私はネコというモンスターについて、バーサさんにもう少し話を聞くことにした。
「バーサさんのおじいさんとかから、ネコの話聞いてたにゃ?」
「そうだよ。ネコは人里近くにいて、ヒトが肉とかをあげるといつの間にか村に住むようになったりしてたんだってさ。それで時々、小鳥とかを狩ってきてくれたりもしたそうだよ」
…まるで前世のネコだ。
ふと、バーサさんは思いついたように言った。
「…そうか、モンスターの仲間だけど、ヒトと仲良く暮らせてたから、神様たちはネコを獣人族ってのにしたのかもしれないねぇ」
あっ…!!
「そうにゃ!!きっとバーサさんの想像は当たってるにゃ!!」
私は興奮した。
獣人族がネコ戦士と呼ばれるようになった理由。
なんで獣人族はネコの姿をしてたかってこと。
私が疑問に思ってたことへの答えを、バーサさんがくれた。
「バーサさんが言ってくれたこと、王都にも伝えなきゃにゃ!!」
私は興奮冷めやらぬまま、村長に手紙を書いてもらった。
村長はすぐに伝書鳩に手紙をつけて王都に飛ばし、二時間ぐらいで伝書鳩は返事を持って戻ってきた。
「モモよ、明朝にはギルド長殿がおぬしとクロを迎えに来るそうじゃぞ」
村長の言葉に、私はぎょっとした。
今日王都に戻ったばっかりのギルド長…また明日の朝、来なきゃなのか…
ギルド長、かわいそうすぎる…
明日は造影剤入れてCT撮らなきゃなので今夜から明日の昼まで何も食べられません…これから夜まで一杯食べまくらなきゃ空腹で死んじゃう…←




