9-3 ネコ戦士、王都で真実を語る
みんなはしばらく凍り付いてたけど、
「コケーッ!!」
というニワトリの声で我に返った。
「にゃっ!ゴハンの時間にゃ!ゴメンにゃ!!」
私が慌ててニワトリのエサの準備にかかると、カールさんも動き出した。
バーサさんも慌ててキャベツの外側をむいて刻んで、私に渡してくれた。
「おまたせにゃ~」
と言いながら私がエサを持って小屋に入って行くと、ニワトリたちはついてきてくれた。
あんなに私を怖がってたニワトリたちが、今ではすっかりなついてくれている。
カールさんがホウキとチリトリで掃除して、フンをまとめてバーサさんに渡して…ふと私は、メスの一羽が産卵箱に座ったまま動かないことに気づいた。
「モモちゃん、卵は?」
とカールさんが声をかけてきたので
「メスが卵抱いてるにゃ。近いうちにヒナが生まれるかもしれないにゃ!」
私はうれしくって、そう答えた。
「ヒナが生まれるってことは、ニワトリが増えるってことかい?」
カールさんが目を見開いて言った。
「そうにゃ!ニワトリのヒナ、かわいいのにゃ~!」
黄色くてふわふわしたヒヨコを想像して、私は俄然楽しみになってきた。
「そっか、じゃあ産卵箱をもっと作ってもらうかい?」
カールさんがそう言ってくれたので、私は笑ってうなずいた。
そしてカールさんがエドさんに頼んで、すぐにふたつの産卵箱ができあがった。
「みんな、たくさん卵産んでにゃ!ヒヨコたくさん見せてにゃ~」
と私が言うと、
「コケーッ!!」
と言って、オスが私を蹴った。
…なんでやねん…
ベリー村のみんなには、フリーザードラゴンから聞いた話を伝えることができた。
となると、あとは王都に…モンスター研究所長のケラーさんやギルド長に、同じことを伝えなきゃいけない。
私は村長に頼んで、王都に伝書鳩を飛ばしてもらうことにした。
「伝書鳩さん、お願いにゃ」
と言ってみたけど、伝書鳩は私を無視した。
伝書鳩には言葉は通じないらしい。
まだ朝も早かったので、伝書鳩は午前中には、ギルド長が迎えに来るという返事を持って戻ってきた。
そしてその返事通り、ギルド長が私を迎えに来てくれた。
「ネコ戦士殿!!迎えに参った!!」
ギルド長はいつもより威勢よく、私を迎えに来た。
まあ当然だよね…フリーザードラゴンから聞いた、この世界の真実を王都で話すって書いて送ったんだから。
早く私の話が聞きたくて仕方ないだろうな…と思いながらも私は
「すべては王都に着いてから、ケラーさんたちみんなの前で話すにゃ」
とギルド長に言った。
ギルド長はすっごく残念そうだったけど、
「うむ…」
と言って、諦めたみたいだった。
いつも通り二時間半ぐらいで私たちは王都に着いた。
ギルド長の馬に向かって
「いつもありがとにゃ」
と言ってみると、馬はひひんと言って首を縦に振ってくれた。
やっぱり馬には言葉が通じるみたいで、私は嬉しくなった。
傭兵ギルドに入ると、研究所長のケラーさんも傭兵たちも、観測隊の人たちも、みんな中央の大きな机のとこで立ってた。
そしてケラーさんが
「フリーザードラゴンと話されたとのこと、我々にもお聞かせ願おう」
と真剣な顔でそう言ってきた。
私がうなずくと、みんなそれぞれの椅子に座った。
私もみんなと同じ椅子に座ろうとしたら、ギルド長が
「ネコ戦士殿は、こちらに」
と、前世の赤ちゃん用みたいな高い椅子をすすめてきた。
…まあ身長1メートルだしね…
私は背中の武器をホルダーごと外して壁に立てかけてから、ベビーチェアみたいなやつに飛び乗って座った。
そして私は、フリーザードラゴンが話してくれたことを話し始めた。
元々この世界はモンスターの方が沢山いたこと。
ヒトが増えてきてモンスターを疎んじるようになったこと。
モンスターの神とヒトの神が話し合って、両者の架け橋になるようにと獣人族を産みだしたこと。
ヒトが、その獣人族にモンスターを討伐させるようになって、モンスターたちが怒ったこと。
四人のネコ戦士はファイアドラゴンとサンダードラゴンを倒したけど、二頭は卵を遺してたこと。
その卵が孵ったのが、私が倒した二頭だったこと。
アクアドラゴンとフリーザードラゴンには話が通じたので、四人のネコ戦士たちから、ヒトの近くに現れないよう頼んだこと。
海に流したアクアドラゴンは、水で体を治していつかは蘇ること。
…ベリー村のみんなに話したことを、私はケラーさん達に話し続けた。
ずっと黙って私の話を聞いてたギルド長が
「そうか…ネコ戦士殿はやはり特別な存在だったのだな…」
と、ぽつりと言った。
ケラーさん達もうなずいた。
でも、ここからが一番大切な話だ。
「古文書に記されてた山みたいなドラゴンが、モンスターの神様だったのにゃ」
私の言葉に
「なんとっ…?!」
とケラーさんが声を上げた。
「それではっ…隣国との境に旅立った四人のネコ戦士たちは…っ」
ケラーさんはそう続けたけど、その後は考え付いてなかったみたいだった。
なので私は、私が勝手に想像したことを言ってみることにした。
「ネコ戦士は元々、モンスターとヒトの真ん中の存在にゃ。ヒト族がネコ戦士をモンスター討伐に使ったことで、モンスターの神様は怒ったにゃ。だったら、自分の前に現れたネコ戦士たちを、モンスターの神様は…」
みんなは私の言葉の続きを待った。
「モンスターの側に迎え入れたと思うのにゃ」
私がそう言うと、ケラーさん達は時が止まったかのように固まった。
今日はちょっとあったかくなったせいか、ネコは部屋のベッドの上で寝てます。膝の上にいると邪魔だけど、いないとやっぱり淋しくて寒いです…




