8-9 ネコ戦士、己の出自を知る
ネコ戦士が…私が、モンスターの仲間…?!
私がショックを受けてがくがくと震え始めると、フリーザードラゴンは
”正確には、獣人族は我らと同じであり、ヒト族と同じであるのだ”
と言った。
…ん?
ってことは獣人族は、モンスターとヒト族のハーフ…???
ちょっと訳が分からなくなって、私は首をかしげた。
多分45度ぐらい、頭を右に傾けてたと思う。
するとフリーザードラゴンは、ふっと笑った感じがした。
ギルド長のレアな笑顔を思い出して、私は心が落ち着いてきた。
”我ら、ただ存在する者には我らの神が、そしてヒト族にはヒト族の神がいる”
フリーザードラゴンの言葉に、私はルーン王国の王族だけに伝わる魔法を授けた神様の話を思い出した。
「ヒト族の神様の話は聞いたことがあるにゃ。あなたたちにも神様がいるのにゃ?」
私がそう聞いてみると、
”そうだ。我はその神に最も近い存在である”
とフリーザードラゴンは答えた。
なるほど…!
だからこんなにも神々しくて美しくて、その上こんなにも話が通じるんだ。
私が感心していると、フリーザードラゴンは話を続けた。
”我らの神とヒト族の神は、双方の種族が共存できるようにするにはどうすれば良いかを話し合った”
へーっ、神様同士で話し合いとかできたんだ。
ふんふんと話を聞いていると、フリーザードラゴンは言った。
”そして神々は、我らとヒト族の架け橋となる存在として、獣人族を産みだしたのだ”
モンスターと、ヒト族の、架け橋。
私は、獣人族の…私の出自のようなものを知って、震えた。
それは、感動の身震いだった。
「で、でもっ、それならどうしてネコ戦士たちは、架け橋の役目を果たさなかったのにゃ?!ヒトともモンスターとも話せるなら、ちゃんと架け橋になれたと思うにゃ!」
と言ってから、私は気づいた。
私の話が通じたのは、モモイロヒヒとアクアドラゴン、そしてフリーザードラゴン。
ということは…という私の考えに気づいたかのように、フリーザードラゴンは言った。
”そうだ。獣人族の言葉が通ずるのは、一部の者だけだ。野を駆けるのみの者たちには、獣人族の言葉は通じぬ”
フリーザードラゴンが言うのは、多分ツラーオとかモールのことだろう。
”走族は高位に近かったので、今でも言葉は通じるのではないか?”
フリーザードラゴンに言われて、走族…と考えた。
多分、馬のことだ。
馬、賢い!って思ってたけど、ホントに言葉が通じてたんだ。
今度ギルド長の馬に会ったら、もっと話しかけてみよう。
私はちょっと楽しみになってきたけど、ふと気づいた。
大昔にフリーザードラゴンは、四人のネコ戦士たちに倒されたはず。
それじゃあ、今のこのフリーザードラゴンは…?
なんでこんなにいろんなことを知ってるのかも気になるし…
うーんうーんと悩んでいると、それもフリーザードラゴンは見透かしたようだった。
”我は獣人族たちに倒されてはいない”
えっ?!
「ヒト族の古文書には、あなたはネコ戦士たちに倒されたって書いてあったみたいにゃよ?!」
私がそう言うと、
”それはヒト族が己たちの都合の良いように記したのであろう。我は獣人族たちと話し合い、しばしヒトの世界に姿を見せぬと誓ったのだ”
フリーザードラゴンはそう答えた。
そして続けて
”火の山の火竜は言葉が通じず倒されたが、火の山に卵を遺していたため、それが孵って今の世界に現れたのだろう”
と言った。
ってことはファイアドラゴンが倒されたのは事実だけど、私が倒したのはその子供だったってことか…
考え続ける私に、フリーザードラゴンは
”雷竜も火竜と同じく獣人族に倒されたが、雷竜も卵を遺していた”
と続けた。
ふんふん、じゃサンダードラゴンも子供ってことだ。
”水竜は話し合いに応じ、しばしこの世界の西でおとなしくしていた。水竜は数百年前から生き続けていた”
フリーザードラゴンの言葉に、私は凍りついた。
「…ずっと生きてたアクアドラゴンを…水竜を、私が倒しちゃったのにゃ…?」
私はまた、アクアドラゴンのきれいな瞳を思い出して、涙が出てきた。
するとフリーザードラゴンは言った。
”水竜は蘇るであろう”
えっ?!
アクアドラゴン、生き返るの…?!
私は目を見開いて、フリーザードラゴンの目を見つめた。
”そなたは水竜を海に流してくれた。水竜はしばしの眠りの後、体を修復し、蘇るはずだ”
フリーザードラゴンの言葉に、私の涙は喜びの涙に変わった。
「…良かったにゃ…!!いつか生き返ってくれるのにゃ…?!」
私がそう言うと、フリーザードラゴンはうなずいて、ふっと笑ったようだった。
なんか色々すっごいたくさんのことがわかって、納得したり喜んだり、私の感情はジェットコースターみたいだった。
”では、我はこれにて去る。また会おう、ネコよ”
とフリーザードラゴンは翼を広げた。
いや、ちょっと待って…すごい大事なこと忘れてるような…
あっ!!
「隣国を滅ぼした山みたいなドラゴンってなんなのにゃ?!あなたたちの仲間にゃ?!」
飛び去ろうとしているフリーザードラゴンに、私は必死に叫んだ。
フリーザードラゴンは、空中に浮いて翼をゆっくりと動かしたまま、私の問いに答えた。
”我らの神だ”
そう言い残して、フリーザードラゴンは空高く舞い上がり、雲の上に消えて行った。
神…?!
山みたいなドラゴンは、モンスターたちの神様…?!
私は予想外の事実に、呆然と立ち尽くした。
これで第8章終わりです~…終わりだったはずです。← 今日はめっちゃ寒いので、ネコは部屋のコタツから出てこないし私の手は冷たくて動きません…もう三月やで…




