8-8 ネコ戦士、フリーザードラゴンと話す
村の北門を開けて外に出ると、そこは村の中とは全く違う寒さだった。
雪は積もってなかったけど、ファイアドラゴンと出会った時と同じように、川の水は凍っていた。
アクアドラゴンの皮を装備の中に足してなかったら、ものすごく寒かっただろうと思う。
その極寒の中、フリーザードラゴンは、そこにいた。
相変わらず神々しいばかりの美しさだ。
”ネコよ…いや、ネコ戦士、とヒトは呼ぶのか?”
頭の中に、鈴を転がすような美しい声が響いてきた。
「にゃ…」
私はすぐに言葉を発することもできず、短くそう答えた。
”その皮は水竜のものか…?”
水竜…アクアドラゴンのことだろう。
「…そうにゃ…」
私はやっぱり、そう短く言うしかなかった。
だけどどうしても気になってたので
「…どうしてアクアドラゴン…水竜を凍らせたのにゃ?」
と私は尋ねた。
フリーザードラゴンは
”我が水竜に近寄ると、水竜は我に向かい、水を吐いたので。そのためちょっとした戯れで凍らせただけだ”
と言った。
アクアドラゴンもファイアドラゴンと同じく、自分にとって快適な環境を寒くされて、怒ったんだろう。
そしてその結果、フリーザードラゴンに凍らされた…けど…戯れって…まあ、死んでなかったから戯れ…か…?
私はもうひとつ、気になってたことを聞いてみることにした。
「アクアドラゴン…水竜にも、私の言葉は通じた気がしたのにゃ。話そうと思えば、水竜とも話せたのにゃ?」
私がそう問うと、
”うむ…会話を試みれば意思疎通はできたであろう”
フリーザードラゴンは肯定した。
やっぱり…と思うと、またアクアドラゴンの見開いた目が脳裏によぎった。
ちょっと暗い気持ちになりかけた私に、フリーザードラゴンは言った。
”水竜も我と同じく高位の存在だが、我ほどにはそなたの言葉は通じぬ。そなたが悔いる必要はない”
高位の存在。
モンスターにも格付けがあるってことなんだ。
だからファイアドラゴンは、この北門までフリーザードラゴンから逃げてきたんだ。
そして今、フリーザードラゴンは”そなたが悔いる必要はない”って言った。
私の心を見透かして、そして慰めてくれてるみたいに。
フリーザードラゴンとなら、もっともっと話ができそうだ。
そう思った私は、思い切って聞いてみることにした。
「モンスターはどうして、この世界にたくさんいるのにゃ?」
私の問いに、フリーザードラゴンは
”ヒトは我らをもんすたー…と呼ぶのか?”
と逆に尋ねてきた。
「そうにゃ。そしてヒトはモンスターたちを怖がってるのにゃ」
私がそう続けると
”我らはただ、存在するのみ”
フリーザードラゴンはそう答えた。
ただ…存在するのみ…?
私が首をかしげていると、フリーザードラゴンは言った。
”この世界には元々我らの方が多く存在し、ヒトは少なかった”
この世界はヒトよりモンスターの方がたくさんいたの…?
そう考えていると、フリーザードラゴンは続けた。
”いつの間にか我らより数の増えてきたヒト族が、我らを疎んじるようになったのだ”
”ヒト族は弱い。それゆえにイエ?を建て、ボロをまとい、己が身を守ろうとするのは当然であろう”
ボロっていうのは、多分服のことだな…
私はフリーザードラゴンの言葉にうなずいて、話の続きを黙って聞くことにした。
”ヒト族はやがて、生きるために角族や走族、翼族を飼い慣らし、角族たちはカチク?となった”
牛…と馬?とニワトリ…のことかな?
”弱きヒト族が生きるためならば、それもやむなしと、我らは許した”
許す…?
そうか、元々牛や馬なんかもモンスターの仲間だったんだ。
私はまたうなずいて、フリーザードラゴンの言葉を待った。
”そこまでならば我らも許した…だが…”
フリーザードラゴンはそこで言葉を切った。
そして
”許せぬのは、我らが同胞を我らと戦わせるよう仕向けたことだ”
同胞?
…ってなんだっけ…なんか漫画とかで見たことがある気がする…
えーと…そうだ、仲間?とかそんなカンジの言葉だったっけ。
私がうんうんと考えていると、フリーザードラゴンは思い出し怒り?をし始めたのか、雪と氷の粒が吹雪みたいになってきた。
「にゃにゃっ!!寒いにゃ!!落ち着いてにゃ!!」
慌てて私がそう言うと、フリーザードラゴンははっとしたような顔をして、吹雪をおさめてくれて
”すまぬ。ネコは寒さに弱いのだったな…”
と私に謝った。
やっぱりフリーザードラゴンは、話が通じるだけじゃない。
自分が悪いことをしたと思ったら、ちゃんと謝れる…あったかい心も持ってるんだ。
私はちょっと安心して
「あなたたちの同胞?をあなたたちと戦わせるように仕向けたっていうのは、どういうことにゃ?」
とフリーザードラゴンに聞いてみた。
するとフリーザードラゴンは、夜の闇みたいな…青みたいな黒みたいな瞳でわたしをじっと見つめてから、
”…獣人族だ”
と短く答えた。
獣人族って…モンスターたちと戦って…ネコ戦士って呼ばれるようになった…
えっ…?!
”ヒトどもは、我らが同胞であった獣人族を、我らと戦わせるための手駒にしたのだ”
フリーザードラゴンの言葉に、私は凍りついた。
…ってことは獣人族はモンスターで、ネコ戦士はモンスターだから…
私もモンスターの仲間ってこと…?!
やや遅まきながらドラクエⅦリメイク始めました。あんまり夢中になってるので、ネコも膝の上で呆れてます…




