8-3 ネコ戦士、アクアドラゴン発見の報を受ける
ニワトリのお世話を一生懸命やりつつ、たまにモールやツラーオを倒す…という、比較的穏やかな日々が続いていたある朝、王都から伝書鳩が飛んできた。
止まり木にとまった伝書鳩から村長が手紙を取って、読み始めたと思ったら目を見開いた。
そして村長は
「モ…モモよ!アクアドラゴンを発見したそうじゃ!」
と慌てて私に言ってきた。
「ギルド長殿が伝書鳩と同時に王都を発ち、モモを迎えに来るとも書いてある」
村長の言葉に、私はうなずきつつ、ちょっと考えた。
アクアドラゴンが現れた…じゃなくて、発見した…?
ほんの少しの表現の違いだけど、私はひっかかった。
そして伝書鳩から遅れること約一時間で、ギルド長がやってきた。
「ネコ戦士殿、迎えに参ったぞ」
と言ってギルド長は馬を降りて、井戸の所に馬を連れて行って休ませ始めた。
おかしい。
いつもならもっと慌てて…必死こいて迎えに来るのに。
「ギルド長さん、ずいぶん余裕あるにゃ」
と私が言うと、ギルド長は
「細かい説明は道々にしよう」
と言った。
マジでのんびりしてる…けど、村のみんなに聞かせたくないような内容が含まれてるってことなのかもしれない。
「わかったにゃ。じゃあもう少ししたら出発するにゃ?」
私の言葉にギルド長はうなずいて
「うむ。馬をしばし休ませたら出発しよう」
そう言った。
そして馬を充分休ませた後、私たちは出発した。
いつも通り村のみんなに見送られてベリー村を出た後、
「アクアドラゴンを発見したっていうのは、どういう状況にゃ?」
と私はギルド長に尋ねてみた。
ギルド長は
「うむ…実際にその目で見てもらえばわかると思うが…」
と歯切れが悪い返事をした。
馬を走らせて一時間弱、ギルド長は東の防壁近くで馬を止めて、近くの木に馬をつないだ。
するとそこにはすでに傭兵たちが待機していた。
傭兵たちは防壁の上から、じっと海の方を見つめている。
「何があったのにゃ?!」
私が大声で叫ぶと、傭兵たちは飛び上がって
「あっ…ネコ戦士殿っ…!!」
と言いながらこっちを向いた。
そして
「アクアドラゴンが…アクアドラゴンが…」
「海ごと凍っているのです…!!」
と答えた。
…は?!
「どういうことにゃ!!」
私は叫びながら防壁の上に飛び乗って、海の方を見た。
そこには大きな大きな氷の塊ができていた。
そしてその中に、アクアドラゴンがいた。
「発見時から様子は変わらぬか?」
ギルド長の問いに
「は、はい…氷がとけている様子はありません…!!」
傭兵のひとりが答えた。
サンダードラゴンより大きなアクアドラゴンを海の水ごと凍らせる…
そんなことができるのは、あのフリーザードラゴン以外にはいないだろう。
「フリーザードラゴンが近くにいるのにゃ?!」
私が聞くと、傭兵のひとりが
「観測隊によれば、この状態のアクアドラゴン以外にモンスターは発見できなかったとのことです」
と言った。
ということは、フリーザードラゴンは何らかの理由でアクアドラゴンを氷の中に閉じ込めて…そしてどこかへ行ったってことだろう。
…いや、雲の上から見てるかもしれない。
あの美しすぎる姿を思い出して、私は身震いした。
「アクアドラゴン、死んでるにゃ?」
私がそう尋ねると、
「わ、わかりません…氷漬けにされているので、生きているやら死んでいるやら…」
傭兵が自信なさ気に答えた。
なので私は防壁から飛び降りて、アクアドラゴンの近くまで行ってみた。
良く見ると、ほんのすこーしずつ、アクアドラゴンを覆う氷がとけているようだった。
「…氷、ちょっとずつとけてるにゃ…」
と私が言うと、ギルド長は
「攻撃態勢を取って待機せよ!」
と傭兵たちに向かって叫んだ。
そうこうしているうちに、少しずつ氷はとけていった。
あの氷がとけきった時、アクアドラゴンは倒れるか、それとも動き出すか…
私たちは緊張しながら氷がとけるのを待った。
すると、すべての氷がとけきるより前に、氷は内側から割れはじめた。
そして
「ウオォ…」
と声を上げて、アクアドラゴンはその身をよじって氷を割って出てきた。
前の戦いで私がその首に着けた傷は、もうなくなっていた。
傭兵たちは弓に矢をつがえ、私は二本の武器を背中のホルダーから抜いて構えた。
うちのネコは家中の引き戸という引き戸は全部開けられます。その後閉めてくれたら動画撮ってどっかにアップするんだけどな…←




