24-9 ネコ戦士、フリーザードラゴンに感謝する
飛び立ったサンちゃんの行く手を阻むように、フリーザードラゴンが舞い降りてきた。
「おお…凍竜様…!!」
「いつも我らに恵みをもたらして下さり、ありがとうございます!!」
頭を下げるバツ村のヒトたちに向かってうなずいた後、
”サンよ、そなたにはまだ、魚を獲ることはできぬ”
フリーザードラゴンはサンちゃんに向かってため息をついた。
「サンちゃん、もうとべるよ!うみのサカナにカミナリだしたらいいんでしょ?」
サンちゃんが首をかしげると、
”前の雷竜は、雷を発し魚を気絶させた後、波で打ち寄せられる魚を、海に入ってつかみ、食していたようだ。そなたのその小さき体では、まだ前の雷竜のようなことはできぬ”
村のヒトたちが、わけがわからないという顔をしてたので、私はフリーザードラゴンの言葉を伝えた。
「なるほど、海の中に入って魚を拾い上げるのは、この小さな子にはまだ難しいのですね」
バツ村の村長がうんうんとうなずくと、
「でも!おばあちゃんにサカナ、あげたいんだ!!」
とサンちゃんは声を上げた。
サンちゃんは、ホントに優しい。
お年寄りはあまり先が長くないって知ってるから、おばあさんに魚を食べさせてあげたいんだろう。
…でも…
「ママは泳げないから、サンちゃんが魚を気絶させてくれても、海に入って魚を拾うことはできないにゃよ…」
私の言葉にサンちゃんは目を見開いてから、下を向いてしまった。
「ごめんにゃあ…ママ、サンちゃんのお手伝いできないのにゃ」
私がさらにそう言うと、フリーザードラゴンが
”…サンよ、我について参れ”
と言って、翼を広げた。
えっ?!何?!どうするの???と思っていると、
”モモよ、魚を入れる袋のようなものはないか?サンを入れていた袋でも良い”
とフリーザードラゴンが言った。
私はノアの鞍についているカバンに、サンちゃんを入れてた袋を入れてあったので、急いでノアのとこに行ってカバンから袋を取り出した。
「これでいいにゃ?」
フリーザードラゴンに袋を手渡すと、
”この袋に入る程度で良ければ、我がサンの倒した魚をこれに入れて参るが…ばつ村のヒト共に、それでも良いか尋ねてみてくれぬか”
とフリーザードラゴンが言った。
それをバツ村のヒトたちに伝えると、
「凍竜様が魚を持って来てくださるのですか?!」
「なんと…もったいなくも申し訳ない…」
と、戸惑ってたので
「いいってことにゃ?」
私が念を押すと、村人たちはうなずいた。
そしてフリーザードラゴンは袋を持って飛び立ち、サンちゃんもそれに続いて飛んで行った。
しばらくすると、膨らんだ袋をぶら下げたフリーザードラゴンと、サンちゃんが飛んで帰ってきて
「サカナとれたよ!!おばあちゃん、たべて!!みんなもたべて!!」
サンちゃんが嬉しそうに村人たちに言った。
フリーザードラゴンが腰をかがめて、魚の入った袋をそっと地面に降ろしたので、
「何か敷く物持って来てにゃ。皮でも布でもいいにゃよ」
と私は村長に言った。
村長がシーツみたいな布を持って来て地面に広げたので、私は袋をひっくり返して、その上に魚を出した。
イワシ10匹ぐらいと、アジ15匹ぐらい…初めての漁?でこれだけ獲れれば上等だろう。
「サンちゃん、頑張ったにゃ!!凍竜さん、ホントにありがとにゃ!!」
ふたりにそう言ったら、
「うん、がんばったよ!とうりゅうさん、とびながらサカナつかんでくれた!おおきくなったら、サンちゃんも、とんでサカナとる!」
”…このようなことは今回限りだ…”
ふたりがそれぞれそう言ったので、私は笑った。
バツ村のヒトたちに魚の料理方法を教えると、村長たちは早速ウロコを剥いで魚を焼き始めた。
「凍竜さん、ホントにありがとにゃ。サンちゃんは優しい子だけど、まだ子供だから、ひとりで行ってたら海に落ちちゃったかもしれないにゃ…ホントにホントにありがとにゃ…!!」
改めてフリーザードラゴンにお礼を言うと、
”心優しきは良いことであるが、それゆえの向こう見ずは感心できぬ。それは海までの道中で説教しておいた”
と言って、フリーザードラゴンはため息をついた。
そして、
”優しさゆえに向こう見ずな行動に出るのは、そなたに似たのかもしれぬな”
フリーザードラゴンは、ふっと笑った。
ああ…飛行艇からフリーザードラゴンの頭の上に飛び降りた時のこと、思い出してるんだな…
私が苦笑いしていると、村人たちの歓声が聞こえてきた。
「うまい…!!」
「魚ってのはおいしいのねぇ…!!」
「凍竜様、ありがとうございます!!」
村人たちが口々に言って、
「サンちゃん、ありがとうねぇ。おばあちゃん、長生きするよ」
と、あのおばあさんが、サンちゃんに微笑みかけると、
「うんっ!ながいきしてね、おばあちゃん!」
サンちゃんも笑い返した。
あんなにもフリーザードラゴンを恐れていたバツ村のヒトたちが、フリーザードラゴンとサンちゃんを目の前にして、みんな笑っている。
モンスターとヒトの共存がどんどん進んでいるのを感じて、私はうれしさで胸が熱くなった。
今朝、いつもの時間に目覚めてもネコが部屋にいなかったので、ネコの名前をしばらく小声で呼び続けてたら、ネコは部屋に戻ってきました。小声でも聞こえるんだ…と思ったら、ネコはさっさとトイレに入りました…単なるタイミングだったみたいです…




