24-3 ネコ戦士、第一王子妃を叱る
「じゃあ、ノアも休めたと思うから、私たちはベリー村に帰るにゃ。ごちそうさまでしたにゃ!」
「ごちそうさま!またね!」
私とサンちゃんはそう言って王宮から退出しようとしたんだけど、
「あの…もしよろしければ、レイナにも会ってやって下さいませんか?」
と第一王子が言った。
「なんにゃ?第一王子から焦るなって言ってあげればいいにゃろ?」
と私は言ったんだけど、
「サンちゃん、あう!ともだちになる!」
とサンちゃんが言うので、私たちはレイナさんに会うことになった。
第一王子に案内されたのは、どうやら二人の寝室らしく、レイナさんはサイドテーブルのとこの椅子に腰かけてぼーっとしていた。
「こんにちにゃ!ネコ戦士のモモですにゃ!」
私はできるだけ明るく元気にあいさつをした。
するとレイナさんは、はっとしたようにこっちを見て、立ち上がり
「まぁっ…婚礼の儀の折にはありがとうございました…」
とひざを折って礼をした。
そしてサンちゃんに気づくと、
「あの…その…方?は…?」
と戸惑ったように言った。
「こんにちは、サンちゃんだよ!ともだちになろ!あかちゃんうまれたら、あかちゃんともともだちになるよ!」
サンちゃんが元気にあいさつをしたら、レイナさんの表情が曇った。
「…私には、赤ちゃんは産めないかもしれないわ…」
…こりゃ重症だ…
「レイナさんは何歳にゃ?まだ若いにゃろ?」
私がそう尋ねると、レイナさんは
「はい…18になります…」
と小さな声で答えた。
「それならまだまだ先は長いにゃ。夫婦になって一年も経たないのに、諦めるのは早いにゃよ」
と言ったんだけど、レイナさんは首を横に振った。
「…一日も早く陛下に孫を抱かせて差し上げたいのに、子ができないのです…私の体が未熟なのかもしれません…」
レイナさんの言葉に、私は
「第一王子は自分のせいかもって悩んでたにゃよ…自分が生まれるのが遅かったから、自分の血のせいじゃないかって言ってたのにゃ」
ため息をついてそう言ったんだけど、
「いいえ…きっと私の体が悪いのです…」
レイナさんはまた首を横に振った。
マジで重症じゃん…ちょっとウツ入ってるのかもしれない…
「…あのにゃ…私がヒトと夫婦になったの、知ってるにゃ?」
私がレイナさんを見上げて言ったら
「は…はい…村の方と夫婦になられたとか…」
レイナさんは、おどおどとそう言った。
「私はネコにゃ。私の夫はヒトにゃ。私たちはどんなに望んでも絶対に子供はできないのにゃ」
私が一歩前に出ると、レイナさんはびくっとした。
「カールさん…夫と夫婦になる前に、私がどれだけ悩んだかなんて、わからないにゃろ?ネコとヒトなんて無理にゃって…ヒトとヒトだったら、どんなに良かったかって…レイナさんたちの婚礼の儀に参列して、私はレイナさんたちが羨ましくって、妬ましかったのにゃ」
「そ…それは…」
戸惑うレイナさんに、私は続けて言った。
「レイナさんたちはヒトとヒトにゃろ?!いつかはきっと、子供もできるにゃ!!なのに何か月か程度で子供ができないからって、落ち込むなんてぜいたくにゃ!!ぜいたくすぎるにゃ!!」
私はいつの間にか目に涙を浮かべていたようで、
「まま…なかないで…」
と言って、サンちゃんが私の涙をなめてくれた。
「…ママ…と言ったのですか…?」
レイナさんが目を見開いた。
「そうにゃ…この子は私が生んだ子じゃないけど、卵のうちから袋に入れてお腹のとこで抱きかかえて、ずーっと話しかけてきたのにゃ。うちのネコたちも私の大切な子供たちだけど、この子も大切な子供にゃ!子供を持てない私たち夫婦の、大切な大切な子供なのにゃ…!!」
そう言いながら私がサンちゃんを見つめると、サンちゃんは私の頬に頭をこすりつけてきた。
レイナさんは目を見開いたまま、そんな私たちを見つめていた。
しばらくの間、レイナさんは言葉もなく立ち尽くしていた。
するとサンちゃんが、レイナさんのところにふわふわと飛んで行って、
「サンちゃん、たまごにいるときからずっと、ままたちにやさしくはなしかけてもらったよ。おなかにあかちゃんがはいったら、いっぱいはなしかけてあげてね。きっと、あかちゃんにもきこえるから。あかちゃんうまれたら、サンちゃん、ともだちになるよ!」
とレイナさんに話しかけた。
レイナさんは目に涙を浮かべて
「…お腹にいるうちから話しかけてあげたら…こんな優しい子になるでしょうか…」
と小さな声で言った。
なりゆきを見守っていた第一王子が、
「うん…きっと、優しい子になるよ…だから、焦らず神様にお任せしよう」
レイナさんを優しく抱き寄せて言った。
「…サンちゃん…赤ちゃんが生まれたら、お友達になってあげてくれる…?」
レイナさんがそう言うと、サンちゃんはうなずいた。
「うん!サンちゃん、ともだちになるよ!」
「…まあ第一王子とレイナさんの赤ちゃんが生まれる頃には、サンちゃんは凍竜さんぐらい大きくなってるけどにゃ…」
と私が言うと、レイナさんは固まった。
「そ…そんなにも早く育つのですか…?!」
「そうにゃ。サンちゃんは来月には独立するのにゃ。あなたたちは子供とずっといられるんにゃから、ホントに幸せなんにゃよ」
私の言葉に、レイナさんは目を潤ませて
「はい…気長に待ちます…そしてきっと、お腹に話しかけて…良い子に育てます…!」
と言って、微笑んだ。
私も祈ろう、このヒトたちの所に赤ちゃんが来てくれることを。
禁酒して久しいですが、ビールっぽいのを飲みたくてノンアルビールを買ってきました。そう言えばうちのネコが仔ネコの頃、私が飲んでいたビールをなめてしまったことがあります。ネコの体はアルコールを分解できないそうですが、その後ネコは何事もなく元気にしています。量が少なければ大丈夫…なのか…???




