24-2 ネコ戦士、第一王子の悩みを聞く
サンちゃんの王都デビューは無事に終わったけど、ノアを休ませてあげたかったので、私は丘を登りギルドに向かった。
「ネコ戦士殿、雷竜のお披露目は終わったのですね」
ダナンさんがにこにこと話しかけてきた。
どうやら王様から、カールさんの手紙の内容を知らされていたらしい。
「サンちゃん、ダナンさんにゃよ。ダナンさんはヒトの翼に乗って、どこにでも飛んで行けるのにゃ」
私がそう言うと、サンちゃんは目を輝かせて
「だなんさん、すごーい!!いつかいっしょにとぼうよ!!」
とダナンさんに言った。
ダナンさんはちょっと驚いた顔をしたけど、
「うん、一緒に飛べたらいいね」
笑ってサンちゃんに返した。
すると王様が馬車で戻ってきて、馬車から降りて
「ノアを休ませるのであろう?そなたらもリンゴの果汁でも飲んで休むが良いよ」
と言ってくれた。
「サンちゃん、りんごすき!」
サンちゃんがそう言うと、王様は
「おお、そうか!コップは持てるかな?」
とサンちゃんに気を使ってそう言ってくれたけど、サンちゃんにはコップは持てないので、リンゴを小さく刻んでお皿に入れてもらうことにした。
私たちが食堂でリンゴジュースを飲んだりしていると、第一王子が入ってきた。
「お久しぶりです。おお…その子が雷竜の卵より生まれたという…」
と第一王子が言うと、
「サンちゃんだよ!なかよくしてね!」
とサンちゃんが言った。
「まだ生まれて間もないと聞いておりますが…なんと賢い…!」
第一王子が感心したように言うので、
「竜族はすごく成長が早いのにゃ。大きくなったら凍竜さんぐらいになるから、ベリー村にはいられなくなるのにゃ…」
私はそう言いながら、また淋しくなってしまったけど、
「そう言えば第一王子にもそのうち赤ちゃんが生まれるにゃろ?ヒト族の子供はなかなか大きくならないから、長いこと一緒にいられるにゃよ」
気を取り直して、第一王子に言った。
そしたら第一王子の表情がちょっと曇った。
「ええ…父ももう高齢ですし、早く孫の顔を見せたいと思うのですが、まだ子はできないのです…」
…ん?
第一王子が結婚したのって、初夏だったよね???
「レイナさんと夫婦になってから、まだ一年も経ってないにゃろ?」
私が首をかしげていると、
「一日も早く陛下に孫の顔をお見せしたいとレイナが言うのですが、妊娠の兆しもないため、かなりレイナは焦っておりまして…私も困っているのです」
第一王子はため息をついた。
そう言えば、王様は60で第一王子は20歳とか言ってたっけ。
「第一王子が生まれたのって、王様が40歳ぐらいの時にゃろ?一年も経ってないのに焦ることないにゃよ」
と言うと、
「私が40になれば、その時には父はもうこの世にはいないかもしれません…父もそう晩婚ではなかったらしいのに、子ができるのは遅かったのです。もしや、父に似た私のせいで子ができぬのかと…」
第一王子は、苦しそうに言った。
日本じゃ子供がなかなかできないと、嫁のせいだって言われることが多いらしいのに、第一王子は、男の自分のせいだって、そう思ってるんだなぁ…
何も言えなくなって、私は黙ってしまった。
すると王様が口を開いた。
「…レオよ、実はそなたの上にもう一人王子がいたのだ…」
えっ?!
「ち、父上、私はそのようなことは聞いておりませぬが…」
第一王子は驚いて王様の方を向いた。
「私と妃が夫婦になり、二年ほどで妃は身ごもった。だがその頃、妃の父…義父殿が風邪をこじらせ、肺病になった…」
王様は、そう言ってから、
「妃の兄であった義兄殿が家業の八百屋に専念できるよう、身重の身でありながら、妃は義父殿の看病のため日参し、その結果、妃も肺病にかかってしまった…そしてあとひと月もすれば子が生まれるという頃、その子は流れたのだ…男児であったよ…」
と、遠い目をして続けた。
「子が流れたのが良くなかったのか、妃は体を壊してしまった。それから十年以上経ち、レオが生まれ、そしてルネが生まれたが、ルネを産んだのは40近くであったためか、産後体が回復せず…義兄殿が病で亡くなった後、妃も亡くなってしまったのだ…」
うつむき加減でそう言った後、王様は顔を上げた。
「…なので、焦るでない、レオよ。レイナにもそう伝えよ。そなたたちが今すべきは、夫婦仲睦まじく暮らすことだ。さすればいずれ、子は授かるであろう」
薄く微笑みながら王様がそう言ったら、
「あかちゃんうまれたら、サンちゃんともだちになるよ!」
リンゴをもぐもぐしながらサンちゃんが言った。
「サンちゃん、お口の中のものをちゃんと飲み込んでから話すんにゃよ」
とたしなめると、
「モモももうすっかり立派な母親なのだな」
と王様が笑って、第一王子も笑った。
第一王子の表情がちょっと明るくなったので、私はほっとした。
昨日24-1を更新した後、挿絵を入れ忘れたことに気づいて、後から慌てて入れました。描きたいものを描いてるのに入れ忘れるとか、暑さのせいかボケすぎてる…。夜も暑くなってきたので、ネコはトイレとご飯以外には私の部屋に戻らなくなってきました。この夏は、まさに酷暑という言葉がふさわしいなと実感しています。




