24-1 ネコ戦士、雷竜と共に王都に行く
「じゃあ、私たちは王様のとこに行ってくるにゃ。水竜さん、ヒト語の練習頑張ってにゃ!ギルド長さんたち、工事頑張ってにゃ!ティド村のみんなに、漁頑張ってって伝えてにゃ~」
「がんばってね!サンちゃんもがんばるよ!」
”水竜、がんばれよ~”
私が声を上げると、サンちゃんもノアもそれぞれみんなに声をかけた。
ノアの言い方がそっけない気がしたので、
「ノアの水竜さんへの言い方、そっけないにゃあ」
ノアにそう言うと、
”水竜とボクは友達だもん。友達ならそんなもんでしょ?”
とノアが返してきたので、私は笑った。
「そうなのにゃ?ノアと水竜さんは、もう気の置けない友達なのにゃ~」
ノアは私が知らない間に、アクアドラゴンといろいろ話をしてるみたいで、仲良くなったっぽい。
…親の知らない間に、子供は友達を作るものだよねぇ。
私はノアの親じゃないけど、なんだか親気分になって、うれしくなった。
”さあ、王都に行こう”
ノアがそう言ってくれて、
「行こうにゃ!ノア、お願いにゃ」
”おにいちゃん、おねがいね!”
私とサンちゃんはノアに乗せてもらって、王都に向かった。
少し翼が大きくなって結構飛べるようになったサンちゃんだけど、その速度は到底ノアにはかなわない。
”おにいちゃん、はやい!すごいー!!”
とサンちゃんが喜んでも、ノアはペースを乱すことはなかった。
ノアはすっかり大人になったので、この世界の馬としての仕事をちゃんと理解していて、どのぐらいの距離をどのぐらいのペースで走るべきなのかを、きちんと守るからだ。
”もう少しで王都に着くよ”
ノアの言葉通り、王都の入り口…城下街の入り口が見えてきて、私たちは間もなく王都に入った。
すると城下街の中央通りの真ん中に白い馬車が停まってて、その前に王様が立っていた。
「にゃ?王様、どうしたにゃ?」
ノアに乗ったまま私が声をかけると、
「カールから先に手紙が送られてきたのだよ。モモが雷竜を連れて王都に向かうとな」
王様はにこにこと笑った。
さすがカールさん、先触れ出してくれてたんだ…と思ってたら、
「…雷竜って…サンダードラゴンか…?!」
「ひいぃっ!!お、お助けをっ!!」
城下街の商店街がざわめいた。
パニックを起こしてるっぽいヒトもいる。
前のサンダードラゴンが王都に向かってたってこと…もしかして、みんな知ってるの…?!
「皆、落ち着くのだ!!!」
王様が、城下街全体に響くぐらいの、ものすごい大声をあげた。
そして王様は
「今の雷竜は、以前暴れて王都に向かっていた雷竜ではない!!!かの雷竜は知っての通り、ネコ戦士モモによって倒された!!今の雷竜は、ネコ戦士モモが凍竜様より卵を預けられ、卵の頃よりベリー村の皆に愛し慈しまれて育ち、我らに決して害を与えぬ心優しき竜となったのだ!!!」
と、大声でそう言い続けた。
「えっ…ベリー村で…育てた…?」
「決して…害を与えない…?」
まだざわめく人々に、私ももうひと言付け加えようとした、その時。
「こんにちは!!サンちゃんだよ!!」
サンちゃんが翼を広げて宙に浮いて、大きな声であいさつをした。
これには王様もびっくりして、目と口を開きまくったけど、サンちゃんは話を続けた。
「サンちゃん、たまごのときからべりぃむらのみんなに、やさしくはなしかけてもらったよ!サンちゃんのおやが、なんでままにたおされたのか、おしえてもらったよ。おやみたいにならないように、ままがカミナリたまらないやりかたをおしえてくれたから、サンちゃん、カミナリださないよ!!」
王様も、城下街に集まったヒトたちも、サンちゃんの話をじっと聞いてくれていた。
「ままたちみんな、サンちゃんよりさきにいなくなるんだって。だからサンちゃん、ヒトのともだち、いっぱいつくる。サンちゃんがひとりにならないように、ままがしんぱいしないように、サンちゃんとともだちになって!!」
私は、たまらなくなって、ノアの上に乗ったまま、サンちゃんを抱きしめた。
「ごめんにゃ…ママはサンちゃんより先に死んじゃうにゃ…何十年かしたら、サンちゃんを残して死んじゃうのにゃ…ごめんにゃ…」
私が泣きながらサンちゃんを抱きしめていると、
「…見よ!!この雷竜とネコ戦士モモの心のきずなを!!モモは夫婦としてヒトと結ばれただけではなく、竜とも親子として結ばれているのだ!!先に逝く母を心配させぬよう友を作ろうとする心優しき竜…何を恐れることがある?!」
王様がまた、ものすごい大声で言った。
そして王様は、私に抱きしめられているサンちゃんの方を見て、
「サンちゃん…と申すのか?」
と優しくほほえんだ。
「うん、サンちゃんだよ!おじいちゃんは、おうさま?」
サンちゃんがそう返すと、王様は目を見開いてから
「うむ。私は王様だよ。そして、そなたのママの父代わりでもあるゆえ、私はそなたの…サンちゃんのおじいちゃんだよ」
と言って、前の村長みたいに顔をくしゃくしゃにして笑った。
そしたらなんでか、城下街のヒトたちが拍手をし始めて、やがて城下街は割れんばかりの拍手の音に包まれた。
「国王陛下、万歳!!ネコ戦士様、万歳!!サンちゃん、万歳!!」
なぜか万歳三唱が始まったけど、
「ばんざいってなに?ばんごはんのこと?」
サンちゃんが首をかしげて言ったら、今度はみんな笑い出した。
王様のおかげでサンちゃんの王都デビューが無事終わって、私はほっとした。
第24章開始です~。もうさすがに入力中エアコンなしには耐えられない暑さになってきましたが、リビングのエアコンよりやや効きが鈍いらしくて、ネコはパソのある部屋に冷房を入れてもあまり寒がらず、今もくつろいで隣で寝ています。…もしかしてこの部屋のエアコン、もうヤバい…?




