23-10 ネコ戦士、雷竜を連れて村を出発する
「私、サンちゃんにヒトの友達をいっぱい作るために、今のうちからあちこちにサンちゃんを連れてって、いろんなヒトに紹介しときたいのにゃ」
サンちゃんが生まれて5日目の朝、私は村のみんなにそう言った。
「うん。いいと思うよ。まずは王様かな?」
カールさんがうなずいてくれて
「バツ村とロナ村にも行っておくべきだろうねぇ」
バーサさんもそう言ってくれた。
「ニャー!!」
クロたちも賛成してくれて、
”じゃあもう行っちゃう?ボクはいつでもいいよ”
ノアも笑って言ってくれたので、私たちは朝ご飯を食べたら早速王都に向かうことにした。
サンちゃんは塩を使ってない焼き肉とリンゴを少しずつ食べて
「ごちそうさま!おなかいっぱい」
と言った。
みんなは、そんなサンちゃんをほほえみながら見守っていてくれた。
「じゃあ王都に行ってくるにゃ!カールさん、クロたちをお願いにゃ!」
「うん!気をつけて行っておいで!ノア、モモちゃんとサンちゃんを頼んだよ!」
ノアにはヒトの言葉が分かるって知ってから、カールさんはノアにも良く話しかけるようになった。
カールさんにはノアの言葉はわからないけど、
”まかせて!”
とノアが首を縦に振ったら、それだけで伝わる。
ベリー村にはもう、ヒト族とヒト族以外の区別はないと言えるだろう。
この世界がベリー村と同じようになること…
それが、今の私の願いだ。
王都に向かう前に、私たちは復興中のティド村にちょっと寄り道をすることにした。
村長宅っぽい大きな建物の下水工事中だったギルド長と大工さんたちが
「おお、ネコ戦士殿」
「ティド村の若者たちは、少し沖に出て漁をしておりますよ」
と声をかけてきたので、私はサンちゃんに目配せした。
サンちゃんは私の意図に気づいたようで、
「こんにちは!サンちゃんだよ!」
とヒトの言葉で人々に話しかけた。
「…今…ヒトの言葉を話したのか…?!」
ギルド長が目を見開いてサンちゃんを見つめた。
「ぎるどちょうさん、おしごとありがとう!」
サンちゃんがそう言ったら、ギルド長は大真面目な顔で
「そういう時は、お仕事お疲れ様、と言うのだ」
とサンちゃんに返した。
「サンちゃんはヒトの言葉を覚えてる最中だから、そんな風に、時々言葉の使い方を教えてあげてにゃ」
私が笑いかけると、ギルド長はうなずいてから
「うむ…しかし、まさか竜族がヒトの言葉を話せるようになるとは…」
とうなった。
「凍竜さんも今、ヒトの言葉を話す練習してるにゃよ。ヒトの言うことはもう理解できてるから、もう少ししたら凍竜さんとヒトが直接話せるようになるにゃ」
「おお…!!我らも凍竜様と話せるようになるのか…!!」
ギルド長がすごく感激したような顔で言ったら、サンちゃんが
「みんなでおはなしできたら、たのしいね!」
と言って笑った。
きっとその日は、そう遠くないはずだ…と私は思った。
「すいりゅうさんにもあいさつする~」
と言って、サンちゃんは飛んで防壁を越えて行った。
そういえばアクアドラゴンもヒトの言葉が少しわかるようになったみたいだって、ティド村のヒトたちも言ってたけど…と思いながら私も浜辺に行くと、
”ヒトの言葉、話せるようになったのか”
アクアドラゴンがサンちゃんに向かって驚いたように言っていたので
「水竜さんもだいぶヒトの言葉わかるようになったんにゃろ?」
と私は尋ねてみた。
”少しはわかる…けど、話すことはできない”
アクアドラゴンは、ちょっと残念そうに言った。
サンちゃんがモンスターの言葉で
”ひとのことばわかったら、こえをだすれんしゅうすれば、はなせるよ!とうりゅうさんもれんしゅうしてるよ!”
と言うと、アクアドラゴンは目を見開いた。
”凍竜も話せるようになるのか…?!”
「そうにゃ。水竜さんもヒトと話せたら、この世界の竜族とヒト族は、今までよりずーっと仲良くなれるのにゃ」
私の言葉に、アクアドラゴンは少し考えてから、
”我も、話せるようになる”
と言った。
そして
”凍竜には、負けない…!”
と続けた。
”とうりゅうさん、もう、いきをはいてこえだすれんしゅうしてるよ~”
サンちゃんがそう言うと、アクアドラゴンは
”我も、我もガンバル…!!”
と言った。
頑張るって言葉はきっと、ノアから習ったんだろうな…と思ったら、私はなんだかほっこりした。
頑張れ、アクアドラゴン!!
私は心の中でエールを送った。
第23章終わりです~。暑すぎない暑さだと、ネコは玄関のたたきで横になることもあります。玄関のたたきはタイル張りなので冷たくて気持ちがいいみたいです。ネコが安心して寝られるように、雑巾で水拭きしてあげたら、なぜか寝るのをやめました。乾いても寝ない…汚い方がいい…のか…?




