23-9 ネコ戦士、雷竜の決心を知る
えっ…?!
今…サンちゃん、ヒトの言葉、話した…?!
「サンちゃん、ヒトの言葉が話せるのにゃ?!」
私も驚いたけど、カールさんもびっくりして
「今、俺にもちゃんと聞こえたよ?!」
と叫んだ。
そしたらみんなも集まってきて、
「今、サンちゃんが話したのかい?!」
「えっ?!ヒトの言葉だったよね?!」
口々にそう言った。
「まだ、こえだすのむずかしいけど、はなせる」
サンちゃんは、ぱたぱたと翼を動かして、宙に浮いたまま、またヒトの言葉で話した。
「どうしてヒトの言葉が話せるにゃ…?!」
まだ驚いている私に、
「うまれるまえから、みんな、ヒトのことばではなしかけてくれた。でも、こえのだしかたわからなくて、いま、はじめてはなした」
サンちゃんは、ちょっとかすれた声でそう説明してくれた。
胎教、すごすぎない…?!
「サンちゃん、ヒトのともだち、いっぱいつくる」
私もみんなも呆然としたまま、サンちゃんを見つめていた。
「ままもぱぱもみんなもいなくなっても、ヒトのともだちいっぱいつくったら、サンちゃん、さびしいのすこしだけすくなくなる。そしたら、ままもあんしんする」
…ああ…私ってホントにバカだ…
こんな小さなサンちゃんが卵にいるうちから一生懸命学習して、こんなにも優しく賢く育ってるのに。
先に死ぬ私たちのことまで考えられるいい子に育ってくれたのに。
私は…私が淋しくなることばっかり考えてたんだ…
「でも、みんな、ながいきして」
サンちゃんの言葉に、私ははっとした。
「みんな、ながいきして。サンちゃんひとりにならないように、ながいきして」
サンちゃんの金色の瞳が潤んでいた。
「長生きするぜぇ!!」
「あたしも頑張って魚食べて、百まで生きるよ!!」
「百は厳しいかもだけど、頑張るわよぉ!!」
みんな泣きながら、サンちゃんにそう言った。
「…私も頑張るにゃ…!!ちょっとだけでも長く生きて、サンちゃんと一緒にいるにゃ…!!」
私は泣きながら、サンちゃんを抱きしめた。
みんなが落ち着いたら、フリーザードラゴンがサンちゃんにヒト語の話し方を尋ね始めた。
”我もヒトの申すことは理解できるのだが、声の出し方がわからぬ。いかにして声を出すのだ?”
「とうりゅうさん、いきをはくの、おおきくできる?」
…竜族同士なのにモンスター語とヒト語で話してる…
”我が大きく息を吐くと、凍える息になる”
「つめたいのださないで、いき、はいて」
”…難しいが…ヒトのおらぬ所でならば試せるであろう”
「うん、とうりゅうさん、がんばって!」
サンちゃんとの会話を終えた後、フリーザードラゴンは珍しく挨拶もなく飛び去った。
「凍竜さん、どうしたんだい?」
カールさんが聞いてきたので、
「サンちゃんにヒト語の話し方教えてもらったけど、息を吐くと凍える息になるからって、ひとりで練習しに行ったにゃ」
と私は笑った。
するとカールさんも笑って、
「凍竜さんともじかに話ができるようになったら、うれしいなぁ」
と言った。
フリーザードラゴンは、サンちゃんが私みたいにモンスターとヒトとの架け橋になるって言ったけど、フリーザードラゴンもヒト語を話せるようになったら…竜族のふたりがモンスターとヒトとの架け橋になったら、何十年か後に私がいなくなっても、モンスターとヒトは共存し続けられるだろう。
この世界の未来に大きな希望の光が見えた気がして、私は心底ほっとした。
サンちゃんは、ヒトの言葉を話せるようになったので、村ではヒトの言葉で話すようになった。
「まま、サンちゃんカミナリだしたい」
「にゃっ!じゃあ角刺してあげるにゃ!」
ちょっと大きくなったサンちゃんを両前脚で抱えて逆さにして地面に角を突き刺して
「出たにゃ?」
「うん、でたよ」
と話していると、ジンさんが
「なんかションベンみてぇだな」
と言った。
「ションベンってなに?」
とサンちゃんがジンさんに聞くと、バーサさんがジンさんの頭を叩いてから
「おしっこのことだよ。ジンおじさんは良くない言葉も使うから、マネしない方がいいよ」
とサンちゃんに説明した。
それを聞いてたみんなが笑って、サンちゃんも笑った。
村のみんなと話せるなら、もうどこに行ってもヒトと話せるはずだ。
私は、サンちゃんが巣立つ前に、王様やあちこちの村のヒトたちに紹介しようと思った。
私たちがいなくなってもひとりにならないように…私が安心できるように、サンちゃんは友達を作るって言ったから。
だからサンちゃんに、ヒトの友達をできる限りたくさん作ろう…!!
最近このあたりをうろついていたネコを見かけなくなりました。暑い日が続いているので、どこか日陰にいるのかな~と思います。うちのネコはエアコンつけた部屋に入ったり、寒くなれば出たりしてるので、外のネコよりは恵まれてるなぁと思います…暑い日や寒い日、外ネコは大変だ…




