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ネコ好き女子、ネコ戦士になる  作者: リュウ
第23章 ネコ戦士、子育てをする

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202/226

23-3 ネコ戦士、卵に話しかける

私はやっぱり、サンダードラゴンにはいい思い出がないので、サンダードラゴンを育てるというのは気が進まなかった。

卵の入った袋を抱えてため息をついていると、

「卵ってことは、お母さんのお腹の中の赤ちゃんみたいなものだろ?ため息なんてついちゃいけないよ」

とバーサさんが言った。

「でもにゃあ…この子の親にはギルド長さんとガイが殺されそうになったにゃよ?それを思い出したら、やっぱりいい気はしないのにゃ」

私がそう言ったら、バーサさんは

「親がひどいやつだったからって理由で、子供も同じだと決めつけるのかい?」

と私をたしなめるように言った。

「そういうわけじゃないけどにゃあ…」

まだ渋る私に、バーサさんはさらに言った。

「卵の中の子を、自分の子だと思ってみないかい?そうすれば…愛情を持って卵に話しかければ、きっといい子が生まれてくるよ」

卵の中の子を、自分の子だと思う…?

…そりゃ、カールさんと私の間に子供は望めないけど…

私は卵を抱えたまま、立ち尽くした。

するとカールさんが、

「まあ…モモちゃんはこの卵の親を倒しちゃったからなぁ…」

と言った。

…そうだ、そうなんだ…

それも、私が引っかかってるとこなんだ。

親を殺した相手に育てられるって…それってどうなの?

イヤなんじゃない?

私はまた、ぐるぐるする思考の渦に沈み込んでいった。


私は袋に入った卵を持って家に入り、ベッドから遠くに…家のすみっこに置いた。

そしたらネネが私の後ろ足にすり寄ってきて、

「ニャー?」

子供?と言った。

って…え?わかるの?まだ卵なのに?

そしてネネは、仔ネコたちを見るような優しい目で卵を見た。

「…ネネは、この子が生まれるの、楽しみにゃ?」

私がそう尋ねると、ネネは

「ニャ」

楽しみだって、そう答えた。

ネネは子供を持つお母さんだから、他の生き物の子供のことも気になるのかな…

と考えつつ、私はふと、オタ活をやめた友達のことを思い出した。

仲間内で唯一早めに結婚して赤ちゃんを産んだ友達は、妊娠中、ずーっとお腹の子供に話しかけてた。

みんな、あなたが生まれてくるのを楽しみに待ってるよって。

パパはもう待ちきれなくて、あなたに見せるアニメを厳選してるよって。

そして生まれてきた赤ちゃんは、まだハッキリ目も見えないうちから、やたらアニメに反応してたって。

…この卵にも色々話しかけたら、何かいい影響を受けてくれるだろうか…?

…私は、決めた。

この子を、ヒトやネコとかに雷撃を浴びせたりしない、優しい子に育てよう…と。


「サンちゃん、クロとネネとピンクとジェニーとハイネとオレンジにゃよ~。みんなサンちゃんのお兄さんとお姉さんにゃよ~」

卵の周りに集まってきたクロたちのことを卵に紹介すると、

「ニャー!」

クロたちも、お兄ちゃんだよ、お姉ちゃんだよって、卵に向かって話しかけた。

ノアのとこに卵を抱えていって

「サンちゃん、ノアもお兄ちゃんにゃよ~」

と言うと、ノアが

”かっこいいお兄ちゃんって言ってよ”

と言うので、私は笑って

「そうにゃ。すごく足が速くてかっこいいお兄ちゃんにゃよ~」

卵にまた話しかけた。

我ながらちょっと痛いことしてるかも…とも思ったけど、クロ一家もノアも卵のことを赤ちゃんだと認識してるみたいだったから、これでいいのかな?と思えた。

「サンちゃん、お父さんにゃよ~」

カールさんのとこに卵を抱えていって私がそう言うと、

「えっ?あっ、うん、お父さんだよ!」

なんかあたふたして、カールさんも卵に話しかけてくれた。

「サンちゃんってのは、なんだよ?」

ジンさんがそう言うので、

「サンダードラゴンじゃ味気ないから、かわいく呼ぶことにしたのにゃ。サンちゃん、大酒のみのジンさんにゃよ~」

と言ったら、

「そんな紹介の仕方はねぇだろ!かっこいいおじさんとかよー」

ジンさんがそう返してきて、みんな笑った。


「サンちゃんは体に雷を持ってるけど、それは私や他のひとたちを傷つけるのにゃ。みんなを傷つけない優しい子になってにゃ~」

「サンちゃん、今日はいい天気にゃ。日向ぼっこするにゃ」

「サンちゃん、今日は寒いから、布かけてあったかくするにゃ」

「サンちゃん、今日はお魚をみんなで食べるにゃ。サンちゃんも生まれてきたら、魚食べるにゃ?」

来る日も来る日も、私は卵に話しかけ続けた。

私がどんな理由で、この卵の親を倒すことになったのかも、ちゃんと説明し続けた。

親と同じようになっちゃいけないってことも。

卵の中身が赤ちゃんなら、言ってもわからないかもしれないけど、とにかく色々なことを、私は話しかけ続けた。

「モモちゃん、あんまり卵に話しかけてっと、気が触れたみてぇに見えるぜ」

ジンさんがそう言ったら、バーサさんがジンさんの頭をすぱーん!と叩いた。

「ったく…サンちゃん、変なおじさんは気にしないで生まれておいでよ。みんな待ってるよ」

バーサさんが笑って卵に話しかけると、卵が動いた気がした。


季節はいつの間にか初冬になっていて、やや肌寒い日が続いていた。

「サンちゃん、今日はちょっと寒いから、ママが抱っこしてあっためてあげるにゃ」

「俺はお父さんで、モモちゃんはママなのかい?」

「カールさんもパパって呼んでほしいにゃ?」

カールさんとそんなことを話して笑っていると、小さな音がした。

ぴしっ!とか、ぴきっ!とかいう感じの音に、もしや?!と思ったら、卵に小さなひびが入っていた。

…生まれる…?!

 

めっちゃ暑いです。昨日からリビングのエアコンを稼働したぐらいには暑いです。リビングの引き戸を閉めると冷房が効いてる…ということを覚えているうちのネコは、冷房入れてると引き戸の前に来て「開けて」というようにお座りします。でも冷房の部屋にちょっといると、寒いと感じたネコはまたすぐに出ていきます。ネコの体温管理は難しいです…

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