22-10 ネコ戦士、バーサの帰りを喜ぶ
漁から戻った傭兵たちは、カールさんに魚の売上金を渡して魚の数の報告をしてから、お昼ご飯を買って食べ始めたんだけど、
「そういえば、今日は業者さんの息子さんが来られましたよ」
と傭兵のひとりが言った。
「にゃ?業者さん、体調でも悪いのにゃ?」
と聞いてみると、
「いえいえ、何やら王都が忙しいとのことで、親父さんの方はバツ村に氷の仕入れに行ったとのことです」
王都が忙しくて業者さんが氷の仕入れに???と首をひねっていると、
「魚が手に入りやすくなったため、各家庭でも小さな氷室が欲しくなったそうで。家具工場に小さな氷室を注文する者が多く、氷の注文も増えているのだそうです」
と他の傭兵が言った。
小さな氷室ってことは…家庭用冷蔵庫?!
「それはすごいにゃ…!ベリー村じゃジンさんちの大きな氷室に頼ってるけど、王都は一家にひとつ、氷室を持つのにゃ?」
私がびっくりしていると、
”ヒムロとは何だ?”
とフリーザードラゴンが尋ねてきたので、
「肉とか魚とかを長い間保存するために、氷とかを入れて冷やす箱にゃ。王都ではそれぞれの家で氷室を持つようになるらしいのにゃ」
と私は答えた。
するとフリーザードラゴンが言った。
”我がオウトを凍らせてやっても良いぞ?”
「そんなことしたらみんな死んじゃうにゃ!!」
私が慌ててそう言ったら、
”戯言だ”
フリーザードラゴンはちょっと笑った。
冗談まで言うようになったのか…ってかそれ、ブラックジョークだよ!!
バーサさんはカールさんと私の新婚旅行と同じ二泊三日で王都に行ったので、翌朝もいなかった。
バーサさんの元気な声が聞こえないベリー村は、やっぱり淋しい。
でも、バーサさんの代わりにエマが店を開けて、
「はい、モモちゃん」
と笑ってリンゴを差し出してくれた。
そして
「今日は業者さんに野菜と果物渡すってバーサさんが言ってたから、モモちゃん、お手伝いしてくれる?」
エマがそう言ったので、
「わかったにゃ!行くにゃ!」
と私は応じた。
南の畑に行く前に、エマは旦那さんのケンさんの分と、私たちの分のお昼ご飯のサンドイッチを作ってくれた。
丸いモロコシパンを横に切って、その間に焼き肉とキャベツと茹でて刻んだ塩味の卵が入ってる。
「バーサさんが作ってくれるのとおんなじにゃ~」
「ふふっ、見た目はあんなにきれいじゃないけどね」
エマがいたずらっぽく微笑んだ。
小さな荷車をエマが引いて、私たちは南門から畑に出た。
そしたらモモイロヒヒ一家がリンゴの木に下にいたので、
「にゃっ、久しぶりにゃ!元気だったにゃ?」
と私はモモイロヒヒたちに声をかけた。
”子供 大きくなった 見せる約束 してた”
オスがそう言って、子供の背中をそっと押して、前に出した。
ヒトの成人に近い大きさだった子供が、さらに大きく…親に近くなっていた。
「ホントにゃ!大きくなったにゃあ」
「もうお父さんお母さんと変わらないわね」
エマと二人、子供の成長を喜んだんだけど、今日は残念ながらバーサさんはいない。
「バーサさんも、その子の成長楽しみにしてたんにゃけど、今日はいないのにゃ」
とモモイロヒヒたちに言うと、モモイロヒヒ一家は顔を見合わせて、
”また 来る 子供 見せる”
と言ってくれた。
そしてさらに
”子供 もうすぐつがい なる つがいも 連れてくる”
と言った。
「にゃっ?!もうつがいの相手がいるのにゃ?!その子も連れてきてにゃ!約束にゃ!!」
私が興奮してそう言うと、
”連れてくる 約束 する”
オスがそう言ってうなずいた。
野菜と果物を収穫して、業者さんの息子さんに引き渡してお金をもらって、カールさんにノートに書いてもらって…
「エマ、もうバーサさんと同じことできるのにゃあ」
と言うと、エマは笑った。
「ふふっ、もう一年近くやってるのよ?このぐらいできるようにならなきゃ、バーサさんがいつまでも娘さんに会いに行けないじゃない」
エマはもう立派に働けて、ケンさんの奥さんとしても頑張ってるんだ。
アンナも最近肉を焼く手伝いをしてるし、マリアも力仕事以外の大工仕事を手伝ってて、二人はそれぞれの旦那さん…ライさんとジェイドさんの分のご飯を作ったりもしてる。
「おしゃべりばっかりだった三人も、大人になったのにゃあ…」
とつい口に出してしまったら、
「モモちゃん、おばさんくさい!」
とエマが言った。
お、おばさんくさいって…
翌日のお昼頃、ギルド長に連れられてバーサさんが帰ってきた。
「バーサさん、おかえりにゃー!!」
私がバーサさんに飛びついて行くと、バーサさんは笑って
「はい、ただいま帰ったよ」
と言った。
「娘さんやお孫さんたちとゆっくりできたにゃ?」
と聞くと、
「孫たちは学校から戻ったら、ばーちゃんばーちゃんってうるさくってさぁ。一気にばあさんになった気分だよ!」
バーサさんが笑った。
「ばあさんじゃねぇか」
ジンさんがぼそっと言ったら、バーサさんがジンさんの頭を叩いて
「あたしゃ孫以外にゃばあさんなんて言われたくないよ!!」
と言って、みんなが大笑いした。
やっぱりバーサさんがいると、ベリー村は明るく元気になるなぁ。
私はバーサさんの帰りを、心から喜んだ。
最近うちの近辺に新たなネコが出現するようになりました。盛りのついてる時の声でガオガオ言いますが、見た目はめっちゃかわいいです。黒白のハチワレに真ん丸な金目で、毛がつやつやしてて。でも、うちのネコの方がかわいい…と思うのは、ネコと暮らす者として当然でしょう。あ、本日で第22章終わりです~!




