22-8 ネコ戦士、新婚旅行を終えてベリー村に戻る
王様が決めてくれていた見学ルート以外にあちこち寄り道したので、王宮に戻るともうとっくにお昼を過ぎていて、三時のおやつに近い時間になっていた。
でも、私たちの帰りの時間に合わせてお昼ご飯を用意してくれてたらしく、焼いた肉も卵もまだあったかかった。
私たちはお昼ご飯を食べてすぐに食後のリンゴジュースとお菓子も頂いて、お腹一杯になった。
「お腹いっぱいにゃ~」
「そうだね。一気に食べすぎたかな?」
私たちが二人でお腹をさすっていると、王様が食堂に入ってきて
「おお、戻ったか。本日はかなり遅かったな。どこか寄り道をしていたのか?」
と笑いかけてきた。
「下町にあった油の工場見せてもらったにゃ!」
「城下街でお土産も買いました」
私たちがそう言うと、王様はほほえんで
「うむ。楽しんできたようで何より」
とうなずいた。
「王様はお仕事してたにゃ?」
と聞いてみると、
「うむ。ティド村復興の進捗状況の報告を受け、今後の予定と予算の見直しなどを、民の代表者たちと話し合っておったのだよ」
王様は今日の仕事について答えてくれた。
「予算の見直しって、そんなに何回もするのにゃ?」
私が首をかしげていると、王様は
「民からの税金を使わせてもらうので、1ジロたりとも無駄にはできぬ。そのため、要不要を話し合い、しっかりと予算は計上しなければならぬのだ」
と言った。
おお…これぞ国政!って感じだなぁ…と私は感心した。
晩ご飯までの間、私たちは王様に、見学ツアーで見てきたこと、それによって得たことなどを話した。
「でもにゃあ、傭兵団は働き過ぎじゃないかって思ったにゃよ。塩とか砂糖とか金属とか作るの全部やってるにゃろ?」
と言うと、
「傭兵団の給金は税金から支払っている。それも一般的な民の月々の収入よりも高く設定してあるのだ。また、塩や砂糖や金属は、国が管理しなければ、価格が一定ではなくなってしまう恐れがある。そのため、それらの管理は傭兵団に任せているのだ」
王様はそう答えた。
父親に飲ませる薬を買うためにツラーオたちを殺しまくった傭兵のことをふと思い出して、
「それなら薬も国が管理すべきにゃろ?今はベリー村からキノコを安く売ってるから、肺病に効く薬も安くなってるはずだけど、前は傭兵でも買い続けられないぐらい、肺病の薬、高かったにゃ」
と私が言って、にらむように目を細めると、王様は
「あの薬は元々ロナ村にしかなく、ロナ村の村民たちは自分たちの分を確保した残りしか売ってくれなかったのだ。そのため、薬屋は高い金を払って仕入れ、高額で売るより他なかった…民たちには苦労を強いることになり、申し訳なかったと思っておる…」
本当に申し訳なさそうに言った。
そして
「だが、そなたがキノコの育て方を発見し、ベリー村で大量のキノコを生産し、この上なき安価で薬屋に卸してくれるようになったおかげで、今や肺病による死者はおらぬ。ベリー村の皆には感謝してもし足りぬよ」
と言って、王様は私たちに頭を下げた。
ベリー村のみんな…と言われて、私は嬉しくなった。
「私たちベリー村のみんなが頑張って、国のヒトたちが助かって、ホントにうれしいにゃ!」
「うん、そうだな…ただ、キノコを乾かしてくれるバーサさんは、そのせいでまだ王都の娘さんに会えないんだもんなぁ…」
…そうなんだよねぇ…キノコ番を任せたせいで、バーサさんはリーナさん夫妻と三人娘が王都に来た時、一緒に来られなかったんだよね…
と思ってため息をついてたら、王様が
「ならばバーサ殿にも一度は王都に来てもらわねばならぬな。肺病の薬はもう充分にあるので、バーサ殿が娘御に会いに参っても構わぬであろう」
と言ってくれたので、私たちは顔を見合わせて笑った。
「村に戻ったら、バーサさんにそう言うにゃ!」
「うん、王様からって言えば、バーサさんも断れないだろう」
やっとバーサさんを娘さんに会わせられるんだ!と、私は心底安心した。
王様と一緒に晩ご飯を食べて、王宮の部屋でゆっくり休んだ翌日、私たちは朝早くベリー村に向けて出発することになった。
「王様、色々ありがとにゃ!すっごくいい新婚旅行になったにゃ!」
「本当にありがとうございました!またベリー村にもお越し下さい」
「うむ、楽しんでもらえて何より。またいずれ、ベリー村にも参ろうぞ」
別れの挨拶を交わしてから、私たちは馬車に乗り込み、ギルド長の乗ったガイと、ノアにひいてもらって王都を出発した。
すばやく移動できる小さな二人乗りの馬車に、カールさんと私と、お土産のシャツとお菓子、それに、ジェイたちからもらった花束。
「お土産でいっぱいにゃ!」
「着替えを少なくしといて正解だったなぁ」
なんて話をしていると、王都からベリー村までの三時間弱の道のりは、あっという間だった。
「ネコ戦士殿、カール殿、ベリー村に着いたぞ」
ギルド長の声がして馬車が停まると、みんなが走ってくる足音が聞こえた。
馬車のドアを開けて、カールさんがお土産を、私が花束を持って出ると、
「おかえり!!楽しかったかい?」
「すげぇ量の土産だなぁ」
「王宮の寝室ってどんなだったの?」
みんなが笑顔で迎えてくれた。
「ただいまにゃ!楽しかったにゃ!」
「すごい色々勉強になったよ」
カールさんと私も笑顔で応えて、早速みんなにお土産を渡し始めた。
「こんな高そうなシャツ、普段着にゃできねぇよ」
「うれしい!すごいきれいなシャツねぇ。私は普段から着るわよ!」
「お菓子、早速食べるわ~」
みんなが騒いでいる中、ギルド長が
「バーサ殿、王都に参るようにと陛下が仰せである。このままこの馬車に乗られよ」
と言った。
…王様、仕事が早すぎるよ…
明け方に、ガラガラという音がしたと思ったら、ネコが鈴の入ったプラスチックのボールを転がして走り回ってました。年を取ったせいか最近こういうことが減ってたんですが、うちのネコは一生仔ネコのようにじゃれたりする手相(肉球)らしいからかな~と、笑ってしまいました。




