20-8 ネコ戦士、アクアドラゴンの過去を知る
まだパニック状態の私に、
”ネコ 生きてる?”
と、また声が聞こえてきた。
海の方を見ると、アクアドラゴンが海面に浮いていた。
どうやらアクアドラゴンがイカダを押して浜辺に戻してくれたようだ。
「水竜さん、助かったにゃ!!ありがとにゃーっ!!」
私は半泣きになってアクアドラゴンにお礼を言った。
するとアクアドラゴンは、私をじっと見つめてから、
”ずっと 前 ここ 遊び 来た ヒト ネコ いっぱい流れた”
と言った。
…まさか…ティド村のこと…?!
「ヒトとネコ…死んじゃったのにゃ…?」
ごくりとつばを飲んでそう尋ねると、
”我 助ける したかった でも みんな 流れた”
とアクアドラゴンは答えた。
「…助けようとしたけど、助けられなかったのにゃ…?」
私は、胸がぎゅっと締め付けられたように痛くなった。
アクアドラゴンは、遊びに来ただけだったんだ。
でも、津波が起こって、ヒトも…漁村だったからたくさんいたであろうネコたちも、死んじゃったんだ…
アクアドラゴンと戦うために集まった私たちとも、ホントは遊びたかっただけなのかもしれない。
アクアドラゴンは、フリーザードラゴンと同じ、優しいドラゴンだったんだ…
”大きいネコたち 来た 我 ネコに言った ヒト ネコ 助けられなかった”
「…それで、しばらくここに来ないって約束したのにゃ…」
ケラーさんは言っていた。
津波に襲われたティド村に四人のネコ戦士たちが行ったら、アクアドラゴンは浜辺にいたんだって。
流されたヒトやネコたちを助けようとしたけど助けられなくて、アクアドラゴンは呆然としてたんだろう。
「…ずっと前のヒトやネコたちは助けられなかったけど、今、あなたは私を助けてくれたにゃ」
アクアドラゴンが、その深い青い瞳を見開いて、私を見た。
「あのまま流されたら、私も死んじゃうとこだったにゃ。ホントにありがとにゃ…!!」
心の底から感謝してお礼を言うと、
”我 ネコ 助けた?”
とアクアドラゴンが言った。
「そうにゃ!水竜さんは、私を助けてくれたのにゃ!!」
そう言うと、アクアドラゴンはぱちぱちとまばたきしてから
”ネコ 何してた?”
と尋ねてきた。
「魚を捕まえたかったのにゃ。でも、あなたみたいに泳げないから、これに乗ったのにゃ」
私がそう言うと、
”それ 泳げない”
アクアドラゴンは言った。
私がため息をついて
「そうにゃ…これをうまく泳がせないと、魚捕まえられないのにゃ…」
と言ったら、
”我 助ける”
アクアドラゴンは、そう言った。
えっ?!助けてくれるって…
”ネコ それで泳ぐ 我 助ける”
つまり、私が流されそうになったら、さっきみたいに助けてくれるってこと…?
「じゃ、もう一回行くにゃ!助けてって言ったら、また押してくれるにゃ?」
と聞いてみると、
”ネコ 助け呼ぶ 我 助ける”
アクアドラゴンは、そう答えてくれた。
「エドさん、もう一回行ってくるにゃ!!」
と振り返ると、エドさんは防壁のそばで腰を抜かしてたけど、我に返ったように
「お、おお!アクアドラゴンが助けてくれるんだな?!」
と言った。
「そうにゃ!行ってくるにゃ!!」
そして私はまたイカダを押して、飛び乗った。
流されそうになったら、アクアドラゴンが助けてくれる。
そう思ったら、私はすごく安心できた。
アクアドラゴンは、イカダが流されないように、防波堤みたいに海に浮いていてくれた。
そして
”我 いる 魚 そっち行く”
と、魚のいる場所まで教えてくれたので、
「ありがとにゃ!!」
と言って、私は投網を投げてみた。
錘が海底に落ちた感覚があったので、私は網をすぼめるひもを引っ張ってから、一気に投網を引き上げた。
大きい魚は入ってなかったけど、小さいのと中ぐらいのが結構入ってて、
「やったにゃ!!魚捕まえられたにゃ!!水竜さん、ありがとにゃ!!」
イカダの上で私が大喜びしていると、アクアドラゴンがイカダを浜辺に押し戻してくれた。
「ありがとにゃ!!ヒトもネコも喜ぶにゃ!!」
改めてお礼を言うと、アクアドラゴンは
”ネコ また来る また遊ぶ”
と言った。
アクアドラゴンにとって、これは遊びみたいなものらしい。
「また来るにゃ!また遊ぼうにゃ!」
私は笑って、アクアドラゴンにそう返した。
ネコが私の横で座ってごろごろと喉を鳴らしている時に、頭から背中に向けて優しく触れると、背中の方まで喉を鳴らす振動が伝わってて、なんかドルドル響いてて面白いです。もしや喉だけじゃなく、もっと広範囲を鳴らしてるのか…?




