13-9 ネコ戦士、酒盛りを見守る
王都のちょっと高級なお酒をベリー村に下さいって王様にお願いしてくれるようにケラーさんに頼んだ翌々日には、ギルド長がお酒を持ってやってきた。
ギルド長が馬に着けたカバンから小さな酒樽を六つ取り出したら、なんかみんながっかりしてた。
「でっかい酒樽を期待してたのによ~」
ジンさんがそう言ったら、
「これはベリー村で普段飲まれているリンゴの酒をさらに発酵させたものだ。リンゴ酒の数倍はきつい酒なので、飲みすぎぬよう注意されよ」
ギルド長が説明した。
「…リンゴ酒の数倍きつい酒…」
みんなは、ごくりと喉を鳴らした。
ギルド長は
「この酒は水などで割って飲むためのものである。好みの濃さに調節するがよかろう」
と追加で説明してくれて、みんなはまた、ごくりと喉を鳴らしながらうなずいた。
「ギルド長さんも飲んだことあるのにゃ?」
私が尋ねると、ギルド長はうなずいて
「高級品なのでたまに水で割って飲む程度だが、うまいぞ」
と言った。
「じゃあギルド長さんも飲もうぜ!!」
ジンさんがそう言ってギルド長の腕をつかんで広場に引っ張っていこうとしたら
「私は王都に戻らねばならぬ」
とギルド長は抵抗したけど、
「いいじゃないか!たまには一緒に飲もうよ」
バーサさんも一緒にギルド長の腕をつかんだので、諦めたようにため息をついて、ギルド長は引きずられて行った。
みんなが広場に集まると、
「ベリー村が最大の危機から救われたことを、神々に感謝しようぞ!!」
と村長が高らかに言って、
「おお!!」
「神々に感謝を!!」
みんなも応じて、それぞれの手に持った木のジョッキを高く掲げた。
その後は、いつもの酒盛りだ。
ただ、初めて飲む強いお酒なので、みんなジョッキの底に少しずつ入れて、水で割っていた。
「…うまい…!!」
「香りがいいねぇ」
「ほんのりリンゴの匂いがして、おいしいわね!」
みんなは口々にそう言いながら、初めてのお酒を味わった。
ギルド長はホントにちびちび飲んでたので、
「もっと飲まないのにゃ?おいしいんにゃろ?」
と聞いてみると
「皆が酔い始める頃に私は王都に戻るつもりなので、酔う訳にはいかん」
ギルド長はそう答えた。
「ギルド長さんは真面目だねぇ!!」
と言って、バーサさんがギルド長の肩を叩いた。
そして
「いつもうちの子のために馬で走り回ってくれて、ありがとねぇ」
と、バーサさんはギルド長の肩をばんばん叩きながら言った。
もう私、うちの子扱いなんだ…と、私はふっと笑った。
みんながおいしいお酒に舌鼓を打ってる中、エマが立ちあがった。
そしてケンさんのとこに歩いて行って
「ケンさん!!私と結婚して!!」
と大きな声で叫んだ。
…酔っ払ってるらしい…
みんながぎょっとしてケンさんの方を見ると、
「お?おお、いいぞ?」
ケンさんはあっさりそう返事をした。
するとみんな拍手をして
「こりゃめでてぇな!」
「仲良くすんだぞ!」
と、エマとケンさんを祝福した。
「おめでとにゃ!」
私も両前脚を叩いて祝福の言葉を贈ってたら、
「俺はマリアに結婚を申し込む!!」
とエドさんの弟子のライさんが言った。
と思ったら、
「俺はアンナに結婚を申し込むぞ!!」
エドさんのもう一人の弟子・ジェイドさんも言った。
「…えぇ…?」
「何それ…」
マリアとアンナは戸惑ってたけど、
「とりあえずは恋人からでしょ?」
「そうよね、いきなり結婚はないわ」
と、お付き合いから始めましょう的な返事をした。
やれやれ、酔った勢いは怖いわ…
…あれ?カールさんが余っちゃう…?
「カールさん、余っちゃったにゃ…」
私はついうっかり、口に出して言ってしまった。
そしたらカールさんは笑って
「いいんだよ。俺はモモちゃんが好きだからな」
と言った。
「でも、カールさんは村長さんの孫にゃ。跡継ぎが必要なんじゃないのにゃ?」
と聞いたら、
「俺が一人で年取ったら、次は他の誰かに…みんなの子供達の誰かに村長になってもらうさ」
カールさんは、また笑った。
「そんなもんなのにゃ?」
私の問いに、カールさんは
「そんなもんだよ」
と、また笑って答えた。
昼過ぎに始まった酒盛りは夜まで続き、いつの間にかギルド長はこっそりいなくなっていた。
お腹すいたなーと思ってると、ジンさんが酔っ払いながらも肉を焼いてくれて、アンナもクロとネネのために干し肉を水で戻してくれた。
私は焼き肉とクロとネネ用の肉をもらって家に戻って、クロとネネと一緒に晩ご飯を食べた。
村のみんながあっちこっちくっついたし、あとはクロとネネの仔ネコが生まれれば万々歳だ。
私はできるだけ頑張って長生きして、クロとネネと仔ネコたちを見守ろう。
「クロ、ネネ、おやすみにゃ」
「ニャー…」
クロとネネと、おやすみの挨拶をして寝る準備をして、みんなでベッドで丸くなった。
明日はきっとまた、みんな二日酔いなんだろうな…
そう思いながら、私は眠りに落ちていった。
自室の壁には生保会社からもらった仔ネコの写真のカレンダーがかけてあります。どんなに可愛い仔ネコの写真でも、やっぱりうちの子が一番かわいい!と思うのが、ネコバカの習性ですw




