13-8 ネコ戦士、うれし泣きをする
「よかった…よかったなぁ…!!」
「モンスターの神様ってのは、すごいんだな!!」
みんなは興奮がおさまらなくて、しばらく騒ぎ続けた。
すると、馬のひづめの音がして
「デッガー火山はっ…あの岩山は一体…?!」
と、ギルド長とケラーさんが村に駆け込んできた。
観測隊からの知らせで慌てて飛んできたらしい。
「モンスターの神様が助けてくれたのにゃ」
私がそう言うと、ケラーさんは目を見開いて
「…デッガー火山があった場所にある岩山が…モンスターの神…なのか…?」
信じられないといった様子でつぶやいた。
古文書にある、山みたいなドラゴンをその目で見ても、やっぱり信じられないだろう。
「岩山みたいだけど、ちゃんと生きてるにゃ。生きてて、モンスターたちも、私たちも見守ってくれるって言ったにゃ!!」
私が笑いかけると、
「…また…ネコ戦士殿に救われたのか…?」
ギルド長は呆然としていた。
なので私は首を横に振って
「違うにゃ!神様たちと話したのは私だけどにゃ、火山をどうするかは神様たちが話し合って決めたにゃ!それで、モンスターの神様が火山を壊してくれたのにゃ!!」
とギルド長に説明した。
「フリーザードラゴンが教えてくれたのにゃ…神様たちは、いつも私のそばにいるって、教えてくれたにゃ」
私の言葉に
「…フリーザードラゴンにも救われた、ということなのだな…」
ケラーさんは、ほうっとため息をついた。
その後私は、フリーザードラゴンに言われて神様たちに祈ったこと、神様たちと話したこと、神様たちが話し合った内容を全て、ギルド長とケラーさんに伝えた。
「ネコ戦士殿にしかできぬこと…と凍竜様は仰ったのだな…」
ギルド長が、長いため息をつきながらそう言った。
「ネコ戦士は、モンスターの神とヒトの神が話し合い、産みだしたとのことであったな…ならば、神々と会話ができるのも当然…というわけか…」
ケラーさんがそう言うと、カールさんが首を横に振って
「違うよ、学者先生」
と言った。
そして
「モモちゃんがヒトのためだけにモンスターを殺し続けたりしてたら…大昔のネコ戦士たちみたいなことをしてたら、またモンスターの神様が怒って、この国を滅ぼしてたかもしれない。でも、モモちゃんは、そうじゃなかった」
と続けて、さらに
「アクアドラゴンを倒しちゃって泣いたり、傭兵に無駄に殺されたツラーオたちのために怒ったり弔ったり…モンスターたちのこともちゃんと考えてただろ?神様たちは、そういうのも全部見てたから…ベリー村のためだけじゃなく、モモイロヒヒたちのことも考えて助けたりしてたから、神様たちはモモちゃんの願いを叶えてくれたんだろ?モモちゃんがネコ戦士だからって、そんな単純な理由で、神様たちは助けてくれたんじゃねぇよ!!」
と、ケラーさんに向かって言った。
ケラーさんは目を見開いてから
「…そうだな…そうであるな…」
と何度もうなずいた。
なんかいっぱい褒められた?っぽくて、私はむずがゆくなってきた。
私…私は自分の思った通りに動いただけなのに…
バカみたいに大泣きしたりした自分のことを思い出して、私は恥ずかしくなった。
「私は私のやりたいことをしてきただけにゃよ…」
カールさんを見上げて、私は言った。
「滅んだ国にひとりで行くって、ギルド長さんの馬を強引に借りて行っちゃったり…わがままで迷惑もいっぱいかけたと思うにゃ…それでも、みんなが許してくれたから、私は私のやりたいことをやれたのにゃ」
思い出したら色々恥ずかしくなってしまって、私の声は小さくなっていった。
「それでも…ね」
バーサさんが口を開いた。
「この村に来てくれたネコ戦士がモモちゃんで良かったって、あたしは思うよ」
私は、バーサさんを見上げた。
「強くて明るくって…でも、モンスターのために泣いたり、ツラーオたちを殺した傭兵のお父さんを助けたいって、キノコの育て方を一生懸命考えて、しまいにはちゃんとキノコを生やしたり…そんな優しいモモちゃんが、大好きだよ」
バーサさんはそう言って、優しく微笑んだ。
「…にゃあ…」
バーサさんの言葉に、私は泣きそうになった。
すると、
「俺もモモちゃんが大好きだぜ!」
「俺もだ!」
「私もよ!!」
みんなが口々にそう言い出したので、私は我慢できなくなった。
「にゃあああああっ!!私も、私もみんな大好きにゃあ!!」
大泣きしながら、私もみんなへの気持ちを伝えた。
そんな様子を、ギルド長とケラーさんは、微笑みながら見守ってくれていた。
きっと、神様たちも見守ってくれているだろう。
しばらく泣いて、笑った後、みんな笑顔でいつもの日常生活に戻り始めた。
ケラーさんが
「ことの詳細は私から国王陛下にご報告申し上げよう…ネコ戦士殿には陛下より褒美が与えられるであろうが…何か希望はあるか?」
と聞いてきたので、私は少し考えてから、
「王都のちょっと高級なお酒を、ベリー村のみんなに下さいにゃ!って言っといてにゃ!」
と言ってみた。
すると村のみんなが一斉にこちらを見た。
「そうだな…!」
「こんなめでてぇことはねぇもんな!」
「酒盛りってのは、こういう時にするもんだよな!!」
みんなが盛り上がってきたので、私はにやりと笑った。
「ベリー村みんなの総意にゃ。頼んだにゃよ」
ケラーさんは目を見開いた後、
「しかし…ネコ戦士殿は酒は飲めぬと聞いているが…」
と言った。
「みんなが幸せそうに酔っ払ってるのを見るのが、私の楽しみにゃ。二日酔いには呆れてるけどにゃ~」
にやにや笑いながら私が答えると、
「二日酔いまで込みの酒盛りだぜ!!」
とジンさんが言って、みんな大笑いした。
ケラーさんもふっと笑って
「心得た。では陛下にそう申し上げよう」
と言って、ギルド長と一緒に王都に戻っていった。
もう南の空に立ちのぼる火山の黒煙はなく、良く晴れた春の空と同じぐらい、私の心も明るく晴れやかになった。
友達が遅いバレンタイン?でくれたゴディバのチョコのパッケージのネコが、うちのネコにちょっとだけ似てたのでうれしくなりました。…しっぽの柄が似てただけなんですけど。←




