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ネコ好き女子、ネコ戦士になる  作者: リュウ
第13章 ネコ戦士、世界の最大の危機に直面する

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13-4 ネコ戦士、モモイロヒヒを救う

私たちは、言葉を発することもできず、その場に立ち尽くした。

モモイロヒヒのオスも、その場でじっと座っていた。

何とかしたい。

でも、何もできない。

とりあえず、今、私にできることは。

「私についてきてにゃ!」

モモイロヒヒのオスに声をかけると、オスは腰を上げた。

「ネコ戦士殿、いったい何を…」

ギルド長が慌てたようにそう言ったので、私は

「モモイロヒヒの縄張りを変えるにゃ!」

と答えた。

「モモイロヒヒの…縄張りを変える…?」

ケラーさんは首をかしげた。

「モモイロヒヒは、オスが木に体をこすり付けて縄張りを示してるみたいなのにゃ。だからその印を上書きさせるにゃ」

私はそう説明したけど、ギルド長もケラーさんも首をひねるばかりだった。

…あっ…ヒトにはモンスターの匂い、わからないんだった…

私は二人に説明することにした。


「今まで森林地帯の探索をしてきて、モモイロヒヒがどうやって縄張りを決めてるのか、わかったのにゃ」

と言うと、ケラーさんが目を見開いた。

「なんとっ?!」

驚くケラーさんに、私は説明を続けた。

「モモイロヒヒはあちこちの木に体をこすり付けて匂いをつけてるにゃ。それで、ここからこっちは自分のにゃ!って、匂いで示してるにゃ」

ケラーさんがまた、目を見開いた。

「西門から出たあたりは特にリンゴやナシ?の木が多かったにゃ。そこを二組のモモイロヒヒ一家が縄張りにしてたけど、その南の端の方を、このオスの縄張りに変えたいのにゃ」

と言うと、ケラーさんがうなずいて

「他のオスのつけた匂いの上から、このオスの匂いをつける…ということだな?」

と言ったので、私もうなずいた。

「しかし、そううまくいくだろうか?オス同士でも力の差があるのではないか?ならば匂いをつけても縄張りを奪えないかもしれぬぞ」

ギルド長が眉間にしわを寄せて言ったので、

「大丈夫にゃ。私に考えがあるにゃ」

私はギルド長にそう返した。


そして私たちはモモイロヒヒのオスと一緒に北に向かった。

しばらく進むと、あちこちのリンゴやナシの木につけられた、他のオスの匂いがしてきた。

私は背中の武器をホルダーから抜いて、その匂いの上にこすりつけた。

ファイアドラゴンとサンダードラゴン、アクアドラゴンの合成武器だ。

「この木の上の方に、あんたの匂いもつけるにゃ」

私がそう言ったら、モモイロヒヒは武器をこすり付けた位置より上の方に、自分の頭をこすりつけた。

何本かのリンゴやナシの木にそれぞれ同じように、私の武器の匂いとモモイロヒヒのオスの匂いをこすりつけると、少し離れた所にあった気配が遠ざかった。

このあたりを縄張りにしてたモモイロヒヒたちだ。

「ネコ戦士殿、これはどういう…」

わけがわからないといった顔で、ケラーさんが尋ねてきたので、

「モモイロヒヒより強いモンスターの匂いをつけたのにゃ」

と私は答えた。

ケラーさんが首を傾げたので、私はちゃんと説明することにした。

「私のこの武器は、ファイアドラゴンとサンダードラゴンとアクアドラゴンの合成武器にゃ。モモイロヒヒよりずっと強くて大きいモンスターの匂いがするのにゃ。その匂いと一緒に、このオスの匂いをつけたら、他のモモイロヒヒはどう感じると思うにゃ?」

ケラーさんもギルド長も、あっ…という顔をした。

「このオスには強い味方?がついていると思う…か…?」

ギルド長の言葉に、私はうなずいた。

「ついでに私の匂いもつけたら、完璧にゃ」

呆然としているモモイロヒヒの頭に飛び乗って、

「私の匂いもつけるにゃ!さっき匂いをつけた木、全部につけるのにゃ!」

と私が言ったら、モモイロヒヒは私を乗せて、匂いをつけた木の下を移動していった。

それぞれの木に私の匂いもつけて、

「これでここらはあんたの縄張りにゃ!ちゃんと食べて、元気になってにゃ!」

モモイロヒヒの頭から飛び降りて、私がそう言うと、モモイロヒヒは目を見開いてから、私に深く頭を下げた。

これできっと、このモモイロヒヒは元気になるだろう。

三頭の大きなドラゴンの匂いと、ネコ戦士である私の匂いは、しばらくの間、他のモモイロヒヒたちを遠ざけるだろうから。

…でも、私にできるのは、ここまでだ。


夢中でリンゴを食べるモモイロヒヒを見ながら、

「…根本的な解決にはならないけどにゃ…」

とつぶやくと、ケラーさんも

「うむ…」

と短く返して黙り込んだ。

滅ぼされた隣国のガレキの山の中で感じたやるせなさが、また私を襲った。

大昔に起こったことを今の私が思い悩んでも、仕方ない。

そして、火山という大自然の脅威に対して、私には何も打つ手がない。

このあたりの気温が上がってるのは火山のせいだろうけど、火山活動を止めるような力は、私にはない。

でも、このままだと森林地帯のリンゴやナシの木はどんどん枯れて、ベリー村の木も枯れて…

最悪、ホントにベリー村は移住を強いられることになるかもしれない…

「…とにかく、この状況は国王陛下にご報告申し上げねばなるまい…」

立ち尽くしていた私に、ケラーさんがそう言った。

「…にゃ…そうだにゃ…」

私は、力なくそう答えるしかなかった。


モモイロヒヒのオスと別れて、私たちはまたベリー村南の森林地帯に戻った。

豊かに実ってたであろうリンゴの木が立ち枯れている中を進むと、地図通りなら、そこには草原が広がっているはずだった。

けれど、暑さのためか草原は一面の枯れ草で、生き物の気配すらなかった。

トカゲみたいなのがちょろちょろしてたけど、きっとトカゲのエサになる虫もほとんどいないだろう。

このままどんどん暑くなったら、この枯れた草原も砂漠みたいになるんじゃないだろうか。

前世の世界でも温暖化が問題になってたけど、前世の世界での温暖化はヒトのせいだったから、車の電化とかなんとかで、少しでもマシにしようって動きがあった。

でも、火山活動を止めるなんてことは、前世の世界の科学技術をもってしても不可能だった。

…逃げるしかない。

ただ、逃げるしかないんだ…

私たちは、枯れた草原で野宿をして、翌朝早くにベリー村に向かって、できるだけ速足で歩き始めた。

ギルド長もケラーさんも…私ももう、何も話さなかった。

話せなかった。

それでも村に戻ったら、みんなが

「おかえりモモちゃん!」

「お疲れさん!!」

と笑って迎えてくれたので、私も

「ただいまにゃ!」

と笑って元気に答えた。

家に戻った私は、クロとネネを抱えて、二匹の匂いを嗅いだ。

やっぱりネコは、癒しだ。

そう思いながら、心身ともに疲れ切っていた私は、泥のように眠った。

 

四日ほどうちにいた姉がいなくなったら、ネコがめっちゃ暴走状態になりました。ひゃっはー!!って感じで家のあちこちを走り回ります。気を許せる家族だけになったら暴走状態になる…うちのネコ、内弁慶?

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