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ネコ好き女子、ネコ戦士になる  作者: リュウ
第12章 ネコ戦士、召喚の魔法の真実を知る

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12-5 ネコ戦士、不安に駆られる

肺病の特効薬の材料になるキノコが安価で供給されるようになったおかげで、風邪をこじらせて亡くなるヒトは劇的に減ったそうだ。

王様はベリー村に勲章をくれるって言ったらしいけど、村のみんなは丁重にお断りした。

「金も勲章もいらねぇよなぁ。肺病で死ぬ人間が減ったなら、それでいいよな」

奥さんを肺病で亡くしたジンさんがそう言ったので、みんなうなずいた。

それでも王様は”何かお礼を…”としつこかったので、

「リーナさんとウェンさんを子供達に会わせてあげたいにゃ!バーサさんも娘さんに会わせてあげたいし、アンナたちも王都に行きたがってたにゃ!」

私は村長に頼んで、私の返事を伝書鳩で王様に伝えてもらった。

すると王様はすぐ荷馬車を手配してくれて、リーナさん達は王都に行くことになった。

「モモちゃんは行かないの?」

「一緒に行こうよ!」

「一緒にお買い物とかしようよ!」

三人娘はそう言ってくれたけど、私は断った。

「ニワトリとキノコのお世話しなきゃいけないし、クロとネネとお留守番してるにゃ。楽しんできてにゃ~」

そう言って笑うと、三人は名残惜しそうにしながら、旅行の準備に取り掛かった。

リーナさんとウェンさんも、久しぶりに子供達に会えるので、うれしそうだった。

ギルド長ともう一人の傭兵が、二台の馬車で迎えに来てくれて、五人は王都へと旅立った。

「いってらっしゃいにゃ!!」

いつも見送ってもらってばかりなので、誰かを見送るのは初めてだ。

「…バーサさん、ホントに行かなくて良かったにゃ…?」

私がそう聞いたら、バーサさんは

「あたしはキノコ番だからね。それに娘と孫への手紙はアンナたちに頼んどいたからさ」

と笑った。

野菜の扱いはバーサさんが一番よく知ってるからって、いつの間にかバーサさんはキノコを適度に干す役目…キノコ番になっていた。

そのせいで娘さんや孫に会えないなんて…と、私は申し訳なさでいっぱいだったんだけど、

「まあ、キノコの薬が余るぐらいになったら、また連れてってもらうよ!」

私の心を見透かしたように、バーサさんは笑ってくれた。


リーナさん夫妻とアンナたちは、王都で二泊してくることになっていた。

前に私が一泊した、貴族のお屋敷みたいなきれいで大きな宿屋だ。

みんなが楽しんできてくれることを祈りつつ、私はカールさんと一緒にニワトリとキノコの世話をした。

冬の王都はベリー村より寒いから、みんな風邪ひかないといいなぁ…

そんな心配をよそに、みんなは二泊三日の旅行を終えて、元気に帰ってきた。

馬車から降りるなり、アンナが叫んだ。

「大変!!大変よ!!」

私もみんなもびっくりして

「何があったにゃ?!」

「どうした?!」

「なんだなんだ?!」

とアンナに詰め寄った。

「モモちゃんが!この世界の危機を救った救世主扱いなのよっ!!」

アンナの言葉に私は首をひねった。

「…なんなのにゃ…?」

「アレだろ、肺病に効くキノコの育て方見つけて、キノコ育てたからだろ?」

ジンさんがそう言ったら、

「なるほどなぁ」

「そりゃたしかに救世主だなぁ」

と、みんな笑った。

「だったらカールさんもバーサさんも、死んだツラーオたちも、ツラーオの体を使っていいって言ってくれたフリーザードラゴンも救世主にゃ!!」

私は慌ててそう言った。

色んなヒト、そしてツラーオたちのおかげで、あのキノコは育てられたんだから。

「まあとりあえず、ネコ戦士様のおかげってことにしとこうぜ」

ジンさんが笑って、みんなも笑った。

…何でも私のおかげにするなよ…このヒトたち、欲も何もなさすぎる…


「欲かいちゃいけないよねぇ。お金をいっぱい増やそうとか、名誉が欲しいとか考えてたら、ロクなことにならないよ」

バーサさんが笑った。

確かに…

前世の世界では、お金を増やそうとしてサギに引っかかったヒトとかいっぱいいたもんね…

でも。

「でもっ、キノコのことはベリー村みんなのお手柄にゃ!!薬を安く売って欲しいって言ってくれたみんなのおかげで、この国は助かったのにゃ!!」

私がそう言うと、みんな笑って

「そうだな」

「俺らが貧乏性なおかげで、国のみんなが助かったってんなら、それでいいか!」

と言った。

ホントに欲のない人たちだ…

私は呆れつつも、みんなを誇りに思った。

そしてリーナさん夫妻と三人娘がお土産を配り始めて、

「おっ!新しい服かい、うれしいねぇ」

「王都の流行りの菓子かぁ、うまそうだなぁ」

村のみんなは服とかお菓子とかのお土産に盛り上がった。

小さな幸せに感謝できるベリー村の人たち。

みんながこの先もずっと幸せに暮らせますように…と私は祈った。


モンスターとヒトの架け橋になって、国が滅ぼされるとこだったのも何とかなって、この国に必要だった薬の原料のキノコの量産体制も整った。

…これって、なんか色々条件満たしてない…?

私がこの世界に召喚されたのは、ベリー村周辺にモンスターが増えてきて、ベリー村の村長が王様にお願いしたからだ。

増えすぎたツラーオを倒しまくったり、ファイアドラゴンやサンダードラゴン、アクアドラゴンを倒したりしたけど、フリーザードラゴンとはちゃんと話ができて…なんだかんだあって、ヒトとモンスターは共存の道を歩み始めることになった。

四人のネコ戦士の子孫であるクロも見つけたし…

もしかして…もう私って、この世界を危機から救ったっぽくない…?

だったら私…ヒト族の神様に”もう用はないよ”って、そう思われてるんじゃないの…?

前世で死んじゃった私は、今度こそ消えちゃうんじゃないの…?!


「モモちゃん、どうしたんだい?」

カールさんが心配そうな顔で私に話しかけてきた。

…そうだ。

私…前に、この世界からいなくなるのはイヤだって、カールさんに話したんだった。

「カールさん、話したいことがあるのにゃ」

私はカールさんを初めて、私の家に招いた。

椅子がないので、ベッドの端に座ってもらったら

「…お、女の子の家に入っていいのかな…」

カールさんが落ち着かない様子でそう言ったので、私は少し笑った。

カールさんは私のことを、女の子として扱ってくれて、好きだって言ってくれた。

私がこの世界からいなくならずに済む方法を考えようって言ってくれた。

カールさんになら、この悩みを話してもいいんじゃないかって、私は思った。


私が今の悩みを伝えると、カールさんは目を見開いた後

「…確かに…そう言われれば…そうだな…」

とため息をついた。

「でもな、俺は思うんだ。ネコ戦士をこの世界に呼べる魔法をこの国の王家に伝えた神様は、ネコ戦士のことを、ただモンスターと戦う者って思ってたんじゃないかな」

カールさんがそう言ったので、私は首をかしげた。

ただモンスターと戦う者…ネコ戦士って…私って、基本的にはそうだよね…?

「でも、実際この世界にやってきたネコ戦士…モモちゃんは、ただモンスターと戦うだけじゃなくて、色んなヒトと仲良くなって、フリーザードラゴンとも仲良くなって、そしてベリー村のみんなの家族になっただろ?もうモモちゃんは、ただのネコ戦士じゃない。モンスターと戦って倒して世界を平和にして…それでさよならっていう存在じゃなくなったんだ」

カールさんがそう続けたので、私はなんだか胸が…目頭が熱くなってきた。

ただの、ネコ戦士じゃ、ない…

「神様にだって、俺らからモモちゃんを奪わせはしないよ」

続くカールさんの言葉に同意するように、クロとネネも

「ニャー!!」

って言った。

私はうれしくて…ただうれしくて、泣いた。

 

うちのネコはトイレハイとかで狂ったように走り回った後、お気に入りの箱に飛び込んだりしますが、たまに目測を誤って箱の右上の方に飛んでしまうことがあります。それでも空中で体をひねって方向転換して、見事に箱の中にダイブするあたり、ネコの身体能力ってすごい…とつくづく思います。

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