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星読みのシュナ。家族に捨てられましたが、もふもふと出会い幸せになりました。  作者: 四季 葉
第3章 選択と分かれ道

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注意深く

 内容のほとんどが頭に入らず僕がしばらくの間、かなり遠い目をして話を聞いていた。だが、終わりは突然訪れる。唐突におばさんの声が途切れたのだ。


 「あら、いやだ! お客さんが来たみたい。私ったらすっかり話し込んでしまって大変、大変!」


 そう言いながらもおばさんは、僕の肩をポンッと叩くと、


 「あの人は悪い人じゃないから心配しなくても大丈夫だよ!」


 そして最後にリンゴを一つくれると、それから体調には気をつけて旅を続けるんだよ~と別れ際、おばさんはそう言うと大きく手を振ってくれたのだ。


 きっとおばさんは世話好きの良い人なのだ。ただ、話が長いだけで…そう思いながらも僕も手を振りかえしその場を後にした。


 サミュエルさんのことだけでなく、それ以外でもいろんな話を聞くことができた。この街のことや、巷でのいろんなうわさ話、世の中の出来事など…山に籠っていては知ることすらできなかった情報だ。


 その中でも一番興味深かったのが、勇者様一行の話だ。

 どうやら…世の中は今、大変なことになっているらしい。ここ最近の瘴気の発生や魔物の増加。これは封印されていた魔王が復活する兆しだという。このまま放っておけば瘴気に呑まれ世界は滅んでしまうというのだ。そのため勇者様一行が全ての元凶である魔王の復活を阻止し世界を救うため立ち上がった。

 世界が滅ぶということに僕はいまいちぴんっと来なかったが、魔物の増加や瘴気についてはこのまま放置はできないので、それを解決してくれるのは大賛成だ。

 勇者様一行は英雄のように凄く強い人たちなのだろう。僕としてはちょっと憧れてしまう。機会があればどんな人たちなのか見てみたい。

 けどそれとは別に…気になったこともある。それは噂の勇者様一行がつい最近、僕たちが山を降りたのと入れ違いにミケーネ山に登っていったということだ。あそこは星読みの一族の村があるだけで、山頂付近には魔物しかいない。どんな用事があるのか知らないが何か気になる。まあ、僕たちには関係ないことかもしれないけど、念のため注意が必要かもしれない。


 まあ、それとは別に…おばさんからは、かなり質問攻めにあった。僕のことも色々聞かれたが、とりあえず家族を亡くし遠い地にいる親せきを頼って旅をしている途中とだけ伝えた。嘘をついてしまったが本当のことは流石に言えない。

 もし万が一にも、あの人たちの耳に入って僕が生きているとわかったら…連れ戻され今度こそ生贄にされてしまう。そうしたら、オニキスだってどんな目に遭わされるかわからない。

 ぐるぐると色んなことを考えながら僕は黙々と歩いていたのだ。だが、ふと気がつけばお日様は西の空へと大きく傾いていた。

 

 ――ぐ~~

 

 ここにきて腹の虫が鳴り、僕はお腹が減っていることに気がついたのだ。貰ったリンゴを食べようかとも思ったが今は止めておく。まだ日持ちもするし取っておこうと考え、代わりに懐にしまっている保存食用の小魚を一匹、口の中に放り込んだのだ。

 オニキスにも一匹あげると美味しそうにもぐもぐ食べていた。そしてまた楽しそうにあぜ道を歩いていたのだ。そうやってしばらく進んでいると、やがてぽつんと一軒の小さな家が見えてきた。


 周りを見回しても他の民家は見当たらない。ケルンの中心街から外れた丘の上にその家はあった。

 庭は広く色んな草花が植えられている。注意深くみるとこれらは全て薬草。薬にも毒にもなる植物だ。

 それに――魔法薬であるポーションにも使われる材料。普通の人間はこんな薬草など育てない。

 ここに住んでいる人は、魔法についての高度な知識がある。

 それにオニキスが足跡をつけてしまった本。この本は一言でいえば魔法書だった。しかも内容は古代語で書かれている。僕は一族の中でも、かなりの落ちこぼれとはいえ魔法を使う上で基本となる古代語は習っている。だから気づいたのだ。そうでなかったら、本の内容はちんぷんかんぷんだっただろう。

 あの人は、サミュエルさんは魔法を使うことが出来るのだ。

 一体どんな人なのかと、緊張しながら僕は玄関の戸の前に立つとノックをしたのだ。

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