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星読みのシュナ。家族に捨てられましたが、もふもふと出会い幸せになりました。  作者: 四季 葉
第3章 選択と分かれ道

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ぐるぐる眼鏡の残念な人

 

 シュナは正面から人が歩いてくるのに、まったく気がついていなかった。

 なぜなら、意識は自分の頭の上でイヤイヤ首を振って降りるのを拒否しているオニキスに気を取られていたからである。そのため気づくのがかなり遅れてしまったのだ。


 ――そして、気がついた時には正面から思いっきりぶつかっていた。


 幸いなことに少し飛ばされ尻もちをついただけですんだのは、僕にとってはまだ良いほうだといえる。お尻はちょっと痛いけど…。

 ちなみにオニキスはぶつかる直前に、素早く僕の頭の上からぴょんと跳び下りていた。今は少し離れたところからちょこんとお座りをして尻尾をフリフリ、じーとこちらを見つめている。見た目は可愛い灰色のもふもふである。


 「……」


 オニキスって結構…ちゃっかりしているんだなと、僕はなんとなく複雑な気持ちになったのだ。

 

 「痛たたた…」


 だが、唐突に前方から聞こえたその声に僕は我に返る。じっと正面を見つめると少し離れたところでは僕と同じように尻もちをついている男の人の姿が視界に入ったのだ。

 どうやらこの人とぶつかってしまったようである。この人も僕と同じように尻もちをついているし、ほぼ間違いないだろう。

 推測すると僕と同じようによそ見をして歩いていたようだ。それでも…こちらの不注意もあるし相手に怪我がないかさすがに心配になる。


 その人は――背が高くどちらかというと線の細い男の人だった。年は二十代後半で学者先生という言葉がピッタリと当てはまる。そんな雰囲気の身に纏っていた。

 青みがかった銀色の長い髪を後ろで一つにまとめた、優しそうな感じの人に見える。特に印象的なのは穏やかな琥珀色の瞳だ。それにどこか育ちが良さそうにも見える。そのせいか、おっとりとした感じでなんか…この街にはいないようなタイプの人に見える。


 だってここは――岩塩鉱山と商業の街ケルン。鉱夫や商人が特に多い街だ。だからみんなせっかちで、忙しなく動き回っている人が多い。ぼんやり歩いている人などまずいないのだ。

 そうは言ってはみたものの、僕も人のこと言えないけどね…。


 僕は立ち上がると、急いで尻もちをついている男の人の元へと駆け寄った。


 「あ、あの…大丈夫ですか。よそ見をして歩いていたもので、すみません!」

 「あははは…。恥ずかしいところを見せてしまったね。こちらこそ面目ない。私も前を見て歩いていなかったから、まあ、お互い様ということで、君こそ怪我はない?」

 「は、はい!」

 「安心したよ。君も無事で良かった~。それにいい大人が、子供に怪我をさせてしまっては大変だからね。それで…悪いんだけど、この辺に僕のメガネが落ちていなかったかな? 周りがちょっとよく見えなくって」

 「すみません! 気がつかずに…探してみます」


 僕は慌てて地面を見て回ると、すぐに近くに転がっていた眼鏡を発見する。このぐるぐる丸メガネがあの人の物らしい。そっと拾うとメガネが割れていないか慎重に確認する。どこも壊れていないとわかり、僕はほっと息をはく。そして落ちていたメガネを男の人の手のひらにそっと乗せたのだ。

 男の人は、手の中にやんわり握っていた丸メガネを掛けると数度、瞬きをして周りの様子を確認しているようだった。


 「良かった~。眼鏡も無事みたいだ。昔から本ばかり読んでいたから極度の近視になってしまってね。恥ずかしいことにメガネがないと何も見えなくて、助かったよ~」

 「すぐにメガネが見つかって良かったです…!」


 そう言いながら、僕はあることに気がついてしまった。レンズの厚いぐるぐる丸メガネを掛けているとこの人の印象は、またがらりと変わってしまうことに…。

 なんと言うか…。メガネを掛ける前は、ちょっと気が弱そうなところもあるけれど、優しそうで相当なイケメンだったのに、それがメガネを掛けてた途端、頼りなさげな残念な人にしか見えないのだ。

 失礼だとわかっていても、メガネを掛けると残念なイケメンになってしまっていた。


 「キャウ~~」


 すぐ近くにいるオニキスの方を見ると、なんか耳が垂れ微妙な顔つきでオニキスもその男の人を見ていた。なんとなくオニキスと目が合うとお互い頷きあっていた。もしかしたら考えていることは僕と同じなのかもしれない。

 そんな僕たちの考えをなどお構いなしに、男の人は話しを続けたのだ。



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