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コンビニへの再訪

夜。


同じ場所。


同じコンビニ。


——のはずなのに、


別物に見える。


自動ドアの前で、


また一瞬、足が止まる。


(……前は“入口”だった)


今は違う。


(帰ってきた側、か)


自動ドアが開く。


「いらっしゃいませ——」


同じ声。


同じトーン。


店内。


誰もいない。


レジ。


あの店員。


帽子は相変わらず深い。


目は——


やっぱり、笑っていない。


「……来たか」


小さく言う。


前と違って、


もう“確認”じゃない。


店員は顔を上げる。


一拍。


「ええ」


それだけ。


でも、


“待っていた側”の返事。


沈黙。


短い。


でも、前より重い。


「三件」


俺が言う。


店員は頷く。


「確認済みです」


事務的。


感情なし。


「一件目」


「国会議員殺害事件——解決」


「二件目」


「東華——更生傾向、内部把握」


「三件目」


「連続誘拐——被害者救助」


淡々と並べる。


まるで、


最初から決まっていた結果みたいに。


「——以上」


区切る。


「合格です」


あっさり。


軽い。


でも、


前とは違う。


(これで終わり、じゃない)


むしろ——


(ここから、か)


「……あのパンフレット」


ふと、言う。


店員の目が、わずかに細くなる。


「“サクラの名所”」


一瞬だけ、


間。


「懐かしいですね」


初めて、


少しだけ温度が乗る。


「入口としては、分かりやすいでしょう?」


「分かりやすすぎる」


即答。


「普通、気づく」


店員は小さく首を振る。


「気づいても、来ない人がほとんどです」


視線がぶつかる。


「あなたは来た」


事実だけを置く。


「だから、今ここにいる」


逃げ場のない言い方。


「……」


否定しない。


できない。


「で?」


一歩、近づく。


「ここから何すればいい」


店員は少しだけ考える。


——ように見せて、


たぶん決まってる。


「その前に」


レジの下から、


小さなメモとペンを出す。


カウンターに置く。


「形式だけ」


前と同じ言い方。


でも、


意味が違う。


「名前と連絡先、お願いします」


静かに。


確定事項として。


「……もう知ってるだろ」


名前。


あの時。


呼ばれてる。


店員は少しだけ笑う。


「ええ」


「ですが、“あなたが選んだ名前”を記録する必要がある」


——刺さる。


一瞬で。


(……そういうことか)


ただの登録じゃない。


“どの自分で生きるか”の確認。


ペンを取る。


紙を見る。


一瞬だけ、


止まる。


(三内光)


頭をよぎる。


三年前。


全部失った日。


でも——


もう違う。


ゆっくり書く。


原田航


その下に、


連絡先。


インクが紙に染みる。


やけに、はっきり残る。


ペンを置く。


店員が紙を取る。


目を通す。


一拍。


「——原田航さん」


名前を読む。


今度は、


“確認”じゃない。


“登録”。


「ようこそ」


少しだけ間。


「サクラへ」


静かに言う。


店内の空気が変わる。


完全に。


線が引かれる。


「……仕事は」


自然と聞く。


もう、


そっち側の質問。


店員は、小さく笑う


「いいえ、今はまだありません。ゆっくり休んでください。」


「いいのか?」


「ええ。五日も前に解決したんです。その分の猶予にプラスして、元々合格者には1週間の休暇が与えられます。」


「そうか。」


「ええ。では、またのご来店をお待ちしております」


「っ、ああ。」



学校が始まったので投稿が不定期になってしまいます!


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