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家族が消えた日、俺は警察に“選ばれた”  作者:
連続誘拐事件  part1
16/44

静かすぎる

国家議員殺害事件、東華の更生は、終わった?感じだ。


今、6月18日


あと、5ヶ月5日。



連続誘拐事件



三件。


 


数字を見た瞬間、指が止まった。


 


失踪。


中学生。


三件。


 


珍しくはない。


 


それでも——


 


「……少なすぎる」


 


記事を開く。


 


一件目。


家出。


 


二件目。


同じ。


 


三件目——


 


「……ない」


 


指が止まる。


 


検索を変える。


期間を伸ばす。


地域をずらす。


 


出てこない。


 


「削られてるな」


 


断定する。


 


痕跡はある。


 


だが、繋がらないように切られてる。


 


スクロール。


 


共通点を拾う。


 


年齢。


 


家庭環境。


 


記録。


 


そこで、止まる。


 


「……ああ」


 


全員、“普通じゃない”側。


 


問題児。


 


発達の遅れ。


 


身体的な違い。


 


——切り捨てられてきた側。


 


「狙ってんな」


 


偶然じゃない。


 


揃いすぎてる。


 


それなのに——


 


「静かすぎる」


 


画面を閉じる。


 


顔を上げる。


 


交差点。


 


信号は青。


 


人は歩く。


車も流れる。


 


いつも通りの朝。


 


——のはずなのに。


 


違和感が残る。


 


最初に引っかかったのは、音。


 


足音が、軽い。


 


鳴っている。


 


だが、踏んだ重さが抜けている。


 


「……なんだこれ」


 


周囲を見る。


 


誰も気にしていない。


 


笑ってる。


 


話してる。


 


普通だ。


 


普通すぎる。


 


「……気持ち悪ぃな」


 


ポケットにスマホをしまう。


 


この感覚は知っている。


 


放置すると、歪む。


 


広がる。


 


「面倒くせぇ」


 


吐きながらも、足は止まらない。


 


進路を変える。


 


最初に消えた少女の住所へ。


 



古い集合住宅。


 


外壁はくすみ、階段は軋む。


 


生活音が逃げない構造。


 


——のはずなのに。


 


「……やっぱ静かだな」


 


三階。


 


目的の部屋の前で止まる。


 


表札はない。


 


新しく剥がされた跡。


 


しゃがむ。


 


床。


 


乱れはない。


 


争った跡も、引きずった跡もない。


 


「連れ去りじゃねぇな」


 


立ち上がる。


 


そのとき——


 


背後で、ドアの音。


 


振り返る。


 


隣の住人。


 


目が合う。


 


すぐ逸らされる。


 


露骨だ。


 


一歩、近づく。


 


「おい」


 


肩が跳ねる。


 


「ここに住んでたガキ、知ってんだろ」


 


沈黙。


 


「……さあ」


 


早い。


 


「壁、薄いよな」


 


続ける。


 


「声、聞こえてただろ」


 


呼吸が乱れる。


 


視線が泳ぐ。


 


「何も、知らない」


 


ドアが閉まる。


 


逃げるように。


 


しばらく見て、視線を落とす。


 


床。


 


わずかな擦れ。


 


だが、不自然な乱れはない。


 


「歩いて出てる」


 


自分の意思で。


 


「……最悪だな」


 


その瞬間。


 


ポケットに、違和感。


 


止まる。


 


ゆっくりと手を入れる。


 


紙。


 


小さい。


 


出す。


 


開く。


 


『静かに来て』


 


「……は?」


 


入れた覚えはない。


 


周囲を見る。


 


誰もいない。


 


だが——


 


見られている。


 


確実に。


 


紙を折る。


 


ポケットに戻す。


 


階段へ向かう。


 


今度は意識的に、足音を消す。


 


問題なくできる。


 


昔からの癖だ。


 


「……チッ」


 


外に出る。


 


空は晴れている。


 


なのに——


 


地面が濡れている。


 


「……降ってねぇよな」


 


視線を落とす。


 


足元。


 


小さな足跡。


 


子どものもの。


 


辿る。


 


数歩。


 


——消える。


 


しゃがみ込む。


 


境界をなぞる。


 


「……違う」


 


途切れてるんじゃない。


 


「消してるな」


 


その瞬間。


 


遠くで、笑い声。


 


子ども。


 


反射的に顔を上げる。


 


誰もいない。


 


だが、音だけが残る。


 


「……露骨だな」


 


普通なら無視する。


 


乗らない。


 


だが——


 


一歩、踏み出す。


 


足音は立てない。


 


最初からそうしていたみたいに、自然に。


 


違和感は濃くなる。


 


消えない。


 


むしろ——正体に近づいている。


 


止まらない。


 


止まる理由がない。


 


こういう“歪み”は、


 


放置すれば必ず広がる。


 


だから——


 


足音が、やけに軽い。


 


——俺だけ、鳴っている。


 


「潰す」


 


それだけだ。

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