第十七話 物理と回復
コンスタンスはこの先どうなるのでしょう? いや、どうにかなるのでしょうか?
追記:サブタイを変更しました。(2017年6月26日)
やっかいごとをしょいこんでしまったとしても、ぼくのやることが減るわけではない。今日も今日とてアンドロメダ師匠やアルテミス師匠に課せられる苦行は変わらない。ピルシュから戻った翌日には、すべての訓練が前と同じように始まった。
「アズマ、少しなまったな」
アンドロメダ師匠がぼくを上から見下ろしてそう言った。なぜ見下ろしているかというと、ぼくが床に這いつくばっているからで、それはたった今アンドロメダ師匠にブチのめされたからである。そして、なかなか立ち上がれないのは、いつもと違って体力の回復が満足に行われていないためでもある。
ぼくの求めにしたがってぼくを回復する、という指示はあらかじめコンスタンスに出している。これに抗うと恥ずかしく気まずい目に遭うために、彼女も黙って従う。だが、回復量が雀の涙なのだ。もちろん、これは彼女の能力的な問題ではない。ささやかな抵抗だ。地味にイヤらしい手を使ってくる。束縛の術式をかけられたのが昨日で、翌日にはもうこんないやがらせを思いつくあたり、やはり根っからのバカではない。
「ちゃんと回復するようにさせたらどうだ?」
そのあたりにはアンドロメダ師匠も気づいている。当然といえば当然のコメントだ。コンスタンスはコンスタンスで、そっぽを向いて「その気はない」のデモンストレーション中だ。だが、いまはこれでいいのだ。
「自分の出した指示に責任を持てるようにしてるんです。下手な指示を出して自分が苦しんだら、次からもっとうまく出せる気がして」
「なるほどな。だが同じミスを繰り返すクセのあるアズマには向かない方法じゃないか?」
ぐっ、痛いところを!
「それに、それだと訓練がいつまでたっても終わらないぞ? わたしにも訓練の計画があるし、それをアズマの体力不足で変更する気はないからな」
「が、がんばります」
実のところ、考えているのはそれだけではない。本気で戦場で彼女を頼らなければならないとしたら、ミステルに比べて魔力量が少ないらしい彼女には、無駄なく回復ができるようになってほしい。チマチマと回復しながらぼくのキャパなんかを感じてくれれば、いざというときにどれだけ魔力を使えばいいか、感覚でわかってくれるのではないか。
「さあ、立てアズマ! わたしの予定では、あと五回は床に這いつくばることになっているから、しっかりな」
やっぱり、素人の下手な考えより、いまはきっちり回復させるべきだろうか……。
アルテミス師匠との魔法の訓練は、メンタルなスタミナはゴリゴリ減るが、体力は特に激しく消費したりしない。コンスタンスは魔力を他人に譲渡することはできないので、魔法の訓練に彼女を伴う意味はないのだが、手綱を離すわけにはいかないし、いっしょにいる時間を増やせば、なにか距離を縮めるきっかけのようなものに気づくのではないかと期待している。そうでなければ、ぼくの心が持たない。
何か、魔法の訓練でもコンスタンスが積極的に動かざるを得ないような状況を作れないものだろうか。
お読みいただき、ありがとうございます‼
ついにアズマは荒療治に出るようです。




