第十八話 回復魔法
まず始めに、お詫びいたします。活動報告にも書きましたが、カゼで二週間ほど執筆から遠ざかっておりました。この前話の十七話は、その直前のものでしたが、すでにかなり悪化していた模様で、執筆途中のものを投稿してしまっていました。申しわけありません。最後が「」で終わっているなど、なにをしたかったのかと。今後このようなことが起きないよう、しっかり気を引き締めていきます。
また、途中で投稿してしまった結果、小題の「ダンジョン志願」がまったく意味をなさないことになっています。そこまで行くつもりだったが、行かずに倒れた、ということです。これはあまりにあまりなので、何日かしたら十七話の小題を変更させていただきます。
「師匠、今日は趣向を変えて、魔法防御を仕込んでもらえませんか?」
ぼくには、ひとつの考えを持ってアルテミス師匠にお願いした。。
「それはかまわんが、防御をなめてはいかんぞ。自由自在に魔法を放つことができて、初めて適切な防御ができると考えた方がいい。わたしは、アズマにはまだ早いと思うのだがな」
「でも、とにかく防げばいいんですよね?」
とにかく、魔力シールドを張ってはじき返せばなんとかなるんじゃないかな?
「ふむ、あれこれ説明するよりもやってみた方が伝わるようだな。身体が覚えたことは忘れないというしな」
師匠が不気味な一言とともに、ぼくにかまえるように指示した。ぼくはコンスタンスを背にする位置でシールドをスタンバイする。
「なぜそこに立つのです?」
コンスタンスがぼくに不機嫌そうに尋ねる。
「すぐにわかるさ。それより、ぼくが許可しない限り、きみはそこから動かないようにね」
「な、そんなバカな命令が……あンッ!」
そうそう、そこにジッとしていてくれよ。
「ではいくぞ。防げばいいというなら、防いでみてくれ」
そう言うと、アルテミス師匠はいきなり中程度の強さで火の玉をぶっ放してきた。ぼくはさんざん仕込まれた魔力シールドを展開してそれをはじき返す。後ろでコンスタンスが思わず身を縮めるのを感じた。
「とりあえず、これくらいならいけそうですね」
「そうかな? では続けていくぞ」
「はい」
師匠は、先ほどと同じくらいの火の玉を、こんどは三連発で撃ちこんできた。二発は同じようにはじき返したが、三発目は目はシールドを張るぼくまで伝わるような衝撃があった。
「さすがに連発はキツいですね。でも、まだいけます」
「そうか、連発はキツいか。では単発でいこう。強さも同じぐらいにしてやるから安心しろ」
「はい!」
師匠は再び火の玉を撃ちこんできた。瞬間だが、火の玉の中に色の濃さが違う部分があるのが見えた。次の瞬間、火の玉がシールドに激突し、ガリガリと音を立てるような感じでシールドを侵食してきた。穴が開くか、と背筋に汗が流れた次の瞬間、師匠の火の玉が消え去る。
「次だ」
「ちょッ……」
待って、と言うまもなく、次の火の玉が飛んできた。こんどは色の濃い部分が三つ、と感じた直後、シールドがあちこち食い破られ、抜けてきたコアのようなものがぼくにたたきつけられる。身体強化をかけるまもなく、生身に喰らったぼくはうしろに吹っ飛ばされ、コンスタンスもろとも尻もちをついた。
「どうしたアズマ、つらそうだったな。強さは変えてないぞ」
「し、師匠、強さが変わってないって言っても、局部的に異常な密度になってるじゃないですか! 反則ですよ!」
「だが強さは変えていない。最初に撃った魔法程度をつかえるものなら、最後のヤツも撃つことは不可能ではないぞ。きみはそのときにも反則だと言うのか?」
「ぐっ……」
「では、こんどは密度をいじるのはやめよう。それならいいだろう?」
「は、はい……」
再びぼくと正対した師匠は、改めて火の玉を撃ってきた。こんどは密度の差は確かに感じられない、速度もいくぶん遅い。。だが……激しく回転している。
「ちょっ、師匠!!」
直後にシールドに接触した火の玉は、そのまま回転に任せてぼくのシールドを侵食し続け、最後のひと膜を食い破ってぼくの顔面にストレートをかました。ぼくはのけぞって吹っ飛び、またもやコンスタンスにぶつかった。彼女に吹っ飛んできたぼくを支える力も意思もあるわけがなく、二人がもつれ合って一メートルくらいさらに吹っ飛んだ。
さすがにこんどはキツい。起き上がろうとしてよろけ、もんどり打ってあおむけに倒れる。あ、ヤバい、頭打つかも……。
ぼくの頭は、硬い床に打ち付けられる痛みのかわりに、ふわりと弾力のあるクッションに受け止められた。なんだ? 師匠が見かねて魔力で受け止めてくれたとかか? なんとなくスイカ大のなにかに挟まれて衝撃が吸収されたようだが……。頭を軽く動かしてみても、なんとなく動きがなにかに柔らかく受け止められている。
「は、早くどいてください! どこに頭をすりつけているのですか!?」
スイカはスイカでも、コンスタンス特製のスイカだった。いや、すごい。完璧なクッションだ。もう一度だけ頭を左右に振ってみてから、ゆっくりと起き上がる。
「い、いやらしい方ですね! わざとわたしの胸に……」
いやいや、さすがにそんな余裕はないよ。
「ごめんごめん。でもね、コンスタンス、きみはそこから動けないから、ぼくが攻撃を食らったら、必ずきみの方に吹っ飛んでいくのはわかるよね。しょうがないんだよ」
「わたしが避けられるようにしてくださればすむ話でしょう!?」
「それはできないよ。だって、きみはぼくの回復役だもの。そこにいてくれなきゃ」
「そんなものになったおぼえはありません!」
あきらめの悪い子だなぁ。
「アズマ、いまのは確かにひとひねり加えているが、ふつうにきみがシールドを張っていればギリギリ止められたはずだぞ。なぜだかわかるか?」
アルテミス師匠がぼくのそばにやってきて言った。
「いえ……わからないです。魔力はまだ余裕があるはずだし……」
「シールドにあてる魔力をうまく使いこなせるかどうかは、集中力の問題だ。そして、集中力は傷が深くなれば落ちていく。そうなればどうなる?」
あ、そうか。アルテミス師匠はぼくの意図をわかってくれたんだ。
「シールドの効果が落ちます」
「そうだ。そしてそれは防御だけじゃない。攻撃においても充分な集中力を維持するだけの体力は必ず残しておかなければいけないぞ」
「わかりました」
「では続けようか」
師匠はもとの立ち位置に戻っていく。ぼくはコンスタンスの方を見た。
「というわけで、回復よろしく」
命令自体には依然として従わざるを得ないはずだが、ポイントは、どれだけ回復してくれるかだ。ちょっとワクワクしながら待っていると、身体が優しい光りに包まれて、体力が全身に満ちてくる。ミステルの回復は活力がみるみる満ちてくる感じだが、こちらは身体が優しく癒やされていく気がする。ミステルが前に、コンスタンスの回復を「傷にあわせて細かく魔力量を調節」とか言っていたが、納得だ。姑息なマネなんて、とんでもない。
コンスタンスを見ると、そっぽを向いているが、とにもかくにも、初めてのフル回復体験だ。ひとつカベを越えたかな?
このような失態を犯してしまった作品を見捨てずにご覧いただき、本当にありがとうございます。
こんご、いっそう楽しんでいただけるよう、頑張って参りますので、よろしくお願いします。




