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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
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無情

反乱軍は姿を消した。俺が居ながら人質を取られて…だ。

俺が罪悪感に押しつぶされそうになっている最中、応急ではリーサちゃん奪還のための緊急会議を始めた…はずだったのだが

<とりあえず私はサラノーセへ行くわ!>

レミアは妹が心配するあまり軽いパニック状態となっていた。

気持ちは分かるが、国王が冷静さを失うのは国の危機だ。

それにサラノーセという場所に何があるのかも分からないしな。

まぁどう考えても罠だよね。

<ちょっと待て、一旦落ち着け。>

これが誘導作戦でレミアが国を離れた瞬間に城下町目掛けて一斉攻撃を仕掛けてくる可能性もある。

国の勢力となる幹部が2人も姿を消しているのも気になるしな。

仮にこれも奴らの仕業だとすると、全てがレミアを国外に誘き出したところで国を襲うという計画の伏線であるような気もする。

<今は冷静に事に対処する時だ。>

<妹を人質に取られて冷静でいられる訳ないでしょ!>

レミアはこれ以上ないほどに感情を取り乱している。

<このままだと他にも同じ悲しみを受ける魔物が増えるぞ!それでいいのか女王様!>

<…!>

つい強く言ってしまった。

レミアは思わずビクッとした。俺はどうにかレミアを落ち着かせようしただけなのだが。

<…ふぅ。リデーノ、サラノーセとは何だ?>

<サラノーセとはこの国より東に進むと見えてくる巨大な山のことです。>

サラノーセはゼラファー最古の山と言い伝えられており、その山頂には時より神が降り立つという伝承も残されている…とか。

<サラノーセで身体と心を清めし者には神の力が宿るという噂も聞いたことがあります。>

<神の力が宿る…ねぇ。>

(ひょっとして反乱軍とやらは神を信仰する宗教団体とかなのか?)

実際、ラツェンテルには神が生活しているらしいし、案外眉唾物でも無いかもしれない。


〜反乱軍視点〜

<さぁ我らが神よ。生贄は準備して参りました。>

魔物達のリーダーらしき魔物がリーサを抱えてサラノーセの山頂にやってきていた。

その山の山頂には人工的に造られたような儀式部屋を連想させる空間が広がっていた。

山頂の地面には独特な紋章が刻まれており、その中には神の言語で神を呼迎える聖域と書かれていた。

反乱軍のリーダーはその紋章の中心にリーサを横たわらせて数歩後方へ下がる。

<いでよ!我らが神!>

これで何も起こらなければただの厨二病なのだが、急に天候が荒れ始める。

<うぉお… >

突如として鳴り響く稲妻に圧倒され、反乱軍の魔物達は後退りをする。


次の瞬間一筋の閃光がリーサの元へと落下し、その場は強い光に包まれた。

その光はリーサの体内に入り込み、しばらくの間明滅を繰り返した。

しかしじきに光はオーラに変わり、リーサの身体がゆっくりと動き始める。


<ふぅ。ここはゼラファー…のようですね。>

リーサは身体の主導権を何者かに奪われ、リーサの人格は気を失ったまま深層心理の奥深くに封じ込められてしまう。


<あ、貴方様は…>

<そうですね…私は生命の創造者といったところでしょうか。>

リーサの体内に入り込んだのは生命の神であった。

生命の神はのっとったリーサの身体を動かして己のエネルギーとのリンクの状態を確かめた。

<なるほど、素質はあっても力の使い方にまだ慣れてはいないといった所でしょうか。>

そんな「リーサ」の姿を見て、反乱軍のリーダーが話しかけた。

<生命の神よ、我らに力を。>

その言葉を耳にして生命の神の動きが止まる。

<この者の身体では私はあまり力を発揮出来ません。>

その一言に乱反軍達は驚愕した。

反乱軍はどこからか生命の神を降臨させる方法を知った。そして神の力を利用してレミアを殺し、ゼラファーを手に入れるというのが本来の計画だった。

しかし現在ここにいる生命の神は己のエネルギーとマインドの一部とを融合してリーサの体内に入り込む事でリーサの身体を操っている。

自分のからだではない上にエネルギー量も僅かなために、本来の力を発揮する事ができない。

<私はここでやることがあります。ではっ>

そういいって生命の神は反乱軍に背を向けた。

<ま、待て!>

立ち去ろうとする生命の神を反乱軍のリーダーが呼び止める。

<話が違うぞ!神の力を借りられると聞いたからここまで…>

生命の神は焦る反乱軍に哀れみの目を向けた。

<私に貴方達のような下人に力を貸す意味はありません。>

<な、なに…!>

頭に血が登った反乱軍のリーダーは自らのエネルギーを武器に変換し、オノとハンマーを作り出した。

そして見境なく生命の神に突撃する。

<やれやれ…>

生命の神は掌から特殊なエネルギーを放出し、それをリーダーにぶつけた。

<なんだっ!>

リーダーは特殊なエネルギーに接触してしまい、エネルギーは弾けることなくリーダーの体内に侵入していった。

直後リーダーの身体に異変が起き、リーダーは足を止めた。

<なんだこれは、一体何をした!>

<ふん。本来の力を使えないとは言っても貴方を殺す程度なら容易な事なのですよ。>

生命の神はリーダーの体内に入り込んだエネルギーを遠隔操作し、体内の至る所を巡った。

<ほう。魔物はこういった体内の進化を遂げましたか。>

生命の神はリーダーの脳内にエネルギーを侵入させ、運動に関する領域の活動を支配した。

<くそ。体が…>

リーダーは随意的な運動を一切取れなくなってしまった。

<さーてお次は>

生命の神はエネルギーの一部を爆発させ、リーダーの肝臓にあたる部分を破壊した。

<あぁぁあああ!!>

サラノーセの山頂でリーダーの悲鳴が鳴り響く。

周りにいた反乱軍メンバーは生命の神の力を前に恐怖して身動きが取れずにいた。


しばらくの間リーダーは体内の組織を操ったり、破壊した時の体の反応を調べられていた。

リーダーは目や膵臓などは抉り取られ、小腸や胃も潰された。

しかしここまでされて尚リーダーは意識を取り留めていた。

もちろんリーダーの生命力が強いからというわけではない。生命の神が、リーダーが死ぬことを許していないのだ。

それはもはや戦闘ではなく生態実験だった。

<はぁ、はぁ、はぉ、>

<次はどこを破壊されたいですか?>

リーダーは反乱軍の中では最も有能な戦闘技術を持っていた。

それにもにも関わらず、攻撃を一撃たりとも喰らわせることなく、ただ生命の神に遊ばれていた。

<もう、殺せ…>

<死に至る寸前の所で生かしているのです。命乞いでもしてみたらどうですか?>

リーダーはプライドの高い魔物であった。故に命乞いなどは決してしなかった。

その代わりに

<部下達は1人たりとも殺すな!>

この一言を聞いた生命の神は一瞬驚いた顔をしてすぐに冷たい笑みに戻る。

<いいでしょう。ではさようなら>

生命の神は最後にリーダーの脳を破壊した。

リーダーが息絶えると生命の神はその遺体を地面に放り投げ、残された反乱軍一行の方へ向き直る。

<さて、次は貴方達のばんですよ?>

生命の神はゆっくりと魔物達に歩み寄る。

魔物達は足が震えて逃げることも叶わない。

<大丈夫ですよ。殺したりはしません、約束しましたからね。ただ感情を失って私の所有物になってもらうだけです。>

生命の神は再びエネルギーを解放して能力を発動させた。


ギィヤー!!!!

補足の説明をさせていただきます。

生命の神は通常神の言語を話すのですが、リーサの体に入り込んだためにその記憶から魔物の言語を話せるようになっている。

という設定です。


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