おバカトリオ
今回は日常系の物語となっております。
前にも1度ありましたね。
これからの展開に関係する内容も少しあるので最後まで読んでいただけると嬉しいです。
〜翌日〜
「それじゃあいってきます。」
「僕も行ってくるよ。」
「「行ってらっしゃ〜い!」」
朝7時50分、俺は1人で学校へ登校した。
突然の話で恐縮だが、これほど学校に行くことをきまづいと思ったことはない。
一昨日は2度も学校を抜け出してしまったし、昨日はそもそも行ってすらないのだ。
どちらともノゾムのためにやったことで不可抗力と言えばそうなのだが、本当を理由を話すことはできない。
友人や先生にどう言い訳したらいいのだろうか…
「はぁ…」
俺は大きくため息をついた。
これといって何もいいアイデアを思いつかないまま時間だけが過ぎてゆく。
しばらく歩いていると交差点のところで見られた3人組と遭遇した。
「ようシュウヤ、おっはー。」
「おはおはよー。」
「オッス。」
仲良し3人組だ。
こいつらは3人とも家が隣同士なこともあり、いつも一緒にいるほど仲がいい。
「あ、あぁおはよう。」
3人は不思議そうな顔で互いに顔を合わせた。
少し間を置いて友人の1人が肩を組んできて笑った。
「なんだよー、悩み事か?」
「俺らで良かったら聞くぞ?」
「なんでも、言って。」
3人は俺が困っていることを悟って気を遣ってくれた。
俺はその優しさに甘え、ノゾムに関する情報は伏せて3人に相談してみる。
「いやぁ、一昨日と昨日のことをみんなにどう言い訳したらいいのか分からなくてさ。」
「え、それだけ?」
「うん。」
「「「…」」」
3人はポカーンとした表情で黙りこくった。
「なんだよ。」
「お前さ、そんなどうでもいいことで悩んでたの?」
「そうだけど…」
「真面目過ぎだろ。」
「みんな、やる。」
聞くところによると3人ともゲームがしたいからとかダルイからなどという理由で学校を欠席したことがあるらしい。
何、現在の高校生ってそんな理由で学校サボったりするモノなの?
「なんだよ、ったくそんなどうでもいいこと本文に書くなよな。」
「そうだそうだ。ここら辺編集でカットな?」
「代わりに、面白いイベントを、入れる。」
「お前らなんの話してんだよ。」
アハハハハハ
どうこうしている間に俺達は学校へと到着してしまった。
結局マシな言い訳は何1つ思い付かなかったが、先生に対しては体調不良だったことにしておこう。
っていうかこの3人と話しているともう少し不真面目に生きても良いような気がしてきた。
「そうだ、昨日の授業のノート見せてくれよ。そろそろテス」
「「「…あ」」」
俺がある単語を言いかけた瞬間、3人の足がぴたりと止まった。
「ん?どうした?」
「今日、人間生理学のテストだ…」
「あー、そういえばそうだったな。ホルモンの小テストだっけ?」
「シュウヤ〜」
「助けて〜」
3人とも情けない顔で泣いて助けを求めてきた。
それもそうだろう。人間生理学の先生は必ず単位をくれる人だが、テストのできが悪い生徒にはそれ相応の罰を与えてくるのだ。
罰と言っても課題や追加レポート類なのだが、量がえぐい。
ちなみに俺はきちんと勉強しておいたので赤点をとることはないと思う。
やはり真面目が1番である。
(自業自得なわけだし、少しからかってやるか。)
「それじゃ1つ問題な?男性ホルモンとして精巣から分泌される、造血作用を持つホルモンは何だ?」
「えー…」
「分かんねー。」
「ギブ」
3人とも全く思い浮かばないようだ。
かなり簡単な問題をチョイスしたつもりだったのだが、この様子ではほとんど勉強してこなかったらしい。
「正解はテストステロン、だ。」
「テスト?」
「ステ?」
「ロン?」
「!?」ピコンッ
「ま、そういうこった。」
ソンナノイヤダー!!!
俺は泣き喚く3人組をおいて1人教室へと向かった。
「あー、面白かった。あれぞまさに因果応報ってヤツだぜ。」
「あら?シュウヤ君、もう登校して大丈夫なの?」
「あ…」
階段を登っている最中、担任の先生と出くわしてしまった。
あの3人をからかって上昇したテンションは瞬く間に急下降した。
「お、おはよう、ございます。」
(これも因果応報ってヤツですか神様…)
「心配したのよー、あなた一昨日からなんか変だったし。」
「えーと実は…」
「体調が悪かったの?それとも何か悩み事?」
「体調が…」
「体調不良ってあのシュウヤ君が!?もう大丈夫なの?」
「あはは…」
「油断しちゃダメよ!あなたなら後からでも追いつけるわ!今日も様子を見なさい。」
「俺の話を聞いてくれ〜!」
その後俺は心配性&過保護&話長すぎな先生と30分説得を繰り広げ、なんとか欠席の理由を有耶無耶にさせることができた。
(話なげーよ…)
美人でスタイルもいい担任の先生がアラサーになっても結婚できていない理由を垣間見た気がする。
暴力的な女教師のHさんとは気が合いそうだ。飲み友とかやってそう。
「そういえば近々転校生がくるかも、とか言ってたな…ま、どうでもいいけど。」
「…」
〜昼休み〜
「…」チラッ
「「「…」」」チーン
昼休みの弁当タイム、いつもならやかましいくらいに盛り上がっている3人組が今日はテンションだだ下がりで沈黙していた。
「ど、どうしたんだよお前ら、そんなにテストダメだったのか?」
「テストがダメだっただけならまだしも…」
「課題が、山のように…」
「燃え尽きっちまったぜ。」
こいつらがテストできなかったのは予想通りだが、そのテストが今日中に返されて課題まで出されるとは思ってもみなかった。
流石にあの量はやりすぎな気もする。
何れにしても普段バカみたいに元気な奴らがこうも静かだと調子が狂う。
(しゃーねーなぁ…)
「元気出せよ。な?今日中に課題終わらせたら特別にアイス奢ってやるからさ。」
「ほんとか?」
「おうよ。」
「ハーゲダッテアイスでも?」
「もちろんいいぞ。」
「ウォー!お前らさっさと昼飯食って課題やるぞー!」
「「オー!」」
3人のやる気ゲージが一気にオーバーヒートした。
アイスも溶けてじまいそうなくらい熱く燃えたぎっている。
野郎どもは3分で弁当を完食し、これまでになく集中して課題に取り組んだ。
消して褒められた行為ではないが、何となく3人のことを温かい目で見守ってしまう。
(おー、やればできんじゃん。これは放課後コンビニ行き確定か?)
勉強する息子を見守る親の気持ちが少しだけ分かった瞬間だった。
〜数分後〜
「…」ジー
「…」
(なんか、見られてるなぁ…まさかフレイルデビルか!)
「…ん?」
視線のする方に振り返ると女子高生が1人、入り口の方から俺達の教室をじっと眺めていた。
「アレはたしか、剣道部マネージャーの…」
「は…」
その子は俺と目が合うとあたふたしだして走って逃げてしまった。
「何だ?」
「ん?どうした?」
「あ、いや別に。」
「そうか?なぁなぁなぁシュツヤ、もし暇ならここ教えてくれよ。」
「あ、俺も俺も」
「あ、あぁこれは主に低酸素状態の時に分泌されるホルモンで…」
〜放課後〜
帰りのホームルームが終了してからも3人は必死に課題に取り組んでいた。
かれこれ2時間は経っただろうか、真っ暗ではないにしても太陽さんの姿は見えなくなっていた。
「これが終わればアイス!」
「後1ページ…」
「課題、アイス、課題、アイス…」
(よくやるよ…アイス1つにここまで真剣になれるもんかねぇ。)
初めはアホくさいと思っていたが、ここまでくると感心すら覚える。
そして、ついにその時がやって来た。
「「「終わったー!!!」」」
「うし、お疲れ〜!」
(本当にやりきったよこいつら。)
「よし、提出してこようぜ。」
「うむ!」
「シュウヤ荷物見ててー。」
「あぁ、いってらー。」
3人は上機嫌にスキップしながら教室から出て行った。
荷物を見てるよう頼まれたが、まじまじと見ていてもつまらない。
暇つぶしに音楽でもかけようかとケータイに手を伸ばす。
するとその時少し離れた所から女の子の声がした。
「おのー…」
「ん?」
その声の主は昼休みにもやってきていた剣道部マネージャーのナツミちゃんだった。
「どうしたの?こんな時間に?」
「えっーとノゾム先輩、知りませんか?」
「あぁノゾムは今日、じゃないな、しばらく学校は休みなんだ。」
「え、先輩に何かあったんですか?」
(イエース、それはもう色んなことがありましたとも。)
「ちょっとした家庭の事情ってヤツでさ、別に怪我とか病気になったってわけじゃないよ。」
「そっかぁ、良かったぁ…」
ナツミちゃんは両手を胸にあててほっとため息をついた。
この子の目的はノゾムだったらしいが、何か引っかかる。
この2人が関係していて割と重大なイベントがあったような、なかったような…
(…はっ!ちょっと待て、今何日だ!?)
ケータイで日付を還任してみる。
「あれから、1週間…」
この1週間色んなことがありすぎて完全に忘れていた、あの寿大イベントの存在を…
1週間前ノゾムはその場で告白の返事ができず、1週間考えさせてもらえるようナツミちゃんに頼んでいた。
つまり期限は今日。
しかしノゾムはしばらく戻ってこられない。(というか多分本人も忘れてる…)
「ごめんな、返事はもう少し待ってやってくれないか?」
「え?」
「あ…」
(しまった…)
咄嗟のことでつい言葉の選択を間違えてしまった。
ナツミちゃんは俯いたまま黙り込んでしまった。
髪が覆い隠してしまっているので表情は読み取れないが、雰囲気からめちゃめちゃ動揺してることは分かる。
まぁ何で俺が知ってんねんって心情だろう。
「ごめん、あんまり知られたくない話だったよね。」
「い、いえ…1番のご友人ですし。先輩、私に告白されて悩んでましたから誰かに相談したくなるお気持ちは分かります。」
「おぉ、うんごめんな。…とにかく君の告白から逃げたとかそういうことじゃないんだ。もう少しだけ待ってあげてくれ。」
「分かりました。」
その後俺はナツミちゃんに頼まれて連絡先を交換した。
ノゾムに感する情報が入ったら教えて欲しいとのこと。
それならばと俺はノゾム本人の連絡先を提供しようと申し出たのだが、恥ずかしいからと断られてしまった。
聞くところによると他の県部メンバーの連絡先はみんな持っているのだが、ノゾムとはあえて交換しなかったんだとか。
その行為はむしろノゾムのことを嫌っているように見えるが、ナツミちゃん曰く告白に失敗したらお互いに持ってても気まづいだけなので成功した時本人からもらうつもりらしい。
とても優しくて謙虚な女の子だ。
「今日は突然押しかけてしまってすみませんでした。また改めてご連絡させていただきます。」
「了解。気をつけて帰るんだよ。」
「はい!」
ナツミちゃんは軽く一礼してから駆け足で教室を出て行った。
「なんか、普通にいい子だったな。」
個人的にはノゾムの彼女に相応しい、素敵な女の子だと思った。
異能力者として生きると決めたノゾムが一般人との恋愛を望むものかどうか微妙なラインだが…
〜数分後〜
「よっすシュウヤ、お待たせ。」
「コンビニ行こうぜー。」
「アイス!」
「おう,」
ようやく戻ってきた3人を連れて学校近くのコンビニへと足を運んだ。
それにしても課題を提出しに行っただけなのに割と時間がかかったように思える。
大方「課題を出された日に終わらせるくらいのやる気があるなら最初からテスト勉強も頑張っておけ。」などと叱られてきたのだろう。
アイスで釣っておいてなんだが、俺もそう思う。
「先に言っとくけどな、今後同じ手口でアイス狙ってくるなよ?お前ら。」
「バナナアイスうめぇ〜」
「美味い、美味すぎる!」
「努力の、結晶!」
(全然聞いてねーな…ま、友人だし、たまーにアイス奢るくらいなら別にいいんだけど。)
「うめぇ。」




