デート・オブ・アブノーマル
〜数日後〜
土曜日の朝俺はレミアと2人で遊園地にやってきた。ミヤちゃんも連れて来ようかと思ったのだが何故か断られたのでサトルさんに面倒を見てもらった。
何故遊園地なのかというと、レミアが遊園地を紹介するテレビ番組を見て、行ってみたいと言ってきたからである。
(遊園地か、俺達が来てもあまり楽しくは無いと思うんだけどな。)
まぁ「休日にでもどっか遊びにいこうぜ」と言ってしまったのでちょうど良いか。
しかしまさか魔物とデートすることになるとはな。
「何か乗りたいものあるか?」
「あれに乗りたい。」
レミアはジェットコースターを指差した。でもまぁたしかに遊園地といえばジェットコースターだよな。
俺達は20分ほどの待ち時間の後、ジェットコースターに乗り込んだ。遊園地がオープンしてから直ぐに並んだのであまり待つ事なく順番が回ってきた。
俺達は1番前の席に並んで座る。当然後ろには他の乗客者がいる。
(またキャーキャー言うんだろうな。)
コースターはゆっくりと頂上に向かって動き出した。たしかこの遊園地は頂上から斜度124度で急落下する。普通の人間からすれば怖いんだろうな。
俺はというと怖く無い。なんせ俺がダッシュした時の速度より遅いからだ。
コースターは頂上に達し、急落下した。
キャーーー!!!
俺はボケーと周りの風景を眺めていたが、後ろの乗客者達のキャーーを聞いてレミアが驚いていた事に気づく。
レミアは大きく目を開いて後部座席の様子を伺っていた。それはいかにも「なんでそんな大きな声出すの?」とでも言いたげな顔だった。
「あれはまぁ決まり事みたいなもんだ。気にすんな。」
俺がそう言うとレミアは「あっ、そうなの?」と言って正面に向き直った。コースターは最初のコークスクリューに差し掛かった。
キャーーー!!
「キャッ、キャーー!」
レミアは後ろにいる乗客達の真似をした。全然怖くなそうな顔で。
(別に無理して真似る必要ないのに。)
その後水直ループやキャメルバックにより幾度となくキャー!が巻き起こった。そしてその直後に右隣から遅れてやってくるキャー!。だんだんと、レミアが人々の絶叫を使ってLDゲームをしているように見てきた。7分程してLDゲームは終了した。
「楽しかったー。」
「そ、そうだな。」
(絶対楽しみ方違う。)
その後俺達は<魔物の住むゴーストタウン>という脱出系のウォークスルーアトラクションに入った。
そこはまぁお化け屋敷のようなもので色々な仕掛けが施されていた。そして
グァ〜!あー!
仕掛け人の魔物が登場した。
すると・・・
「何よ!魔物はそんな汚らしい格好してないわよ!喧嘩売ってんの?」
「あの、いや、そのーすみません」
「はいはい。黙って出口行こーねー。」
俺は仕掛け人の人に頭を下げる。そして膨れてベェーっだ!と言うレミアを引きずりながら先に進んだ。
アトラクションから出た後もレミアは水を入れた水風船のように膨れていた。
本物の魔物を連れてった俺が悪いんだよな。
「そろそろ飯にするか。」
「さんせーい」
俺の一言でレミアの表情がガラッと変わった。
「子供みたいだな。」
(中身1790歳だけど。)
俺達は園内の飲食店に入った。レミアはそこに置かれていた食品サンプルを目を星にして眺めていた。不覚にも可愛いと思ってしまった。
「午後何か乗りたいモノあるか?」
「んー、そうね。それじゃあ」
俺達は昼食をとりながら午後のプランを話し会っていた。
20分後俺達は飲食店を出た。
午後は最初、レミアの希望により<サンダードロップ>というアトラクションに乗ることとなった。ライドが上下するだけの単純なものだが、自由落下を体験できるアトラクションとして、今若者に大人気らしい。
「よし行くか。」
キャーーー!!!
その後も俺達はいくつかのライドアトラクションに乗った。
思いの外時間が経つのは早かった。俺も心のどこかで楽しんでいたようだ。
「もう5時か。もうそろ帰るか?」
「待って。最後にあれ乗りたい。」
そう言ってレミアは観覧車を指差した。
「お、おう良いぞ。」
(わざわざ観覧車に乗らなくても自力で飛べばいいのに。)
そう思いつつも俺達は観覧車に乗り込んだ。
「やっと2人っきりになれたね。」
「な、なななんだよ!いきなり。乙女の真似事か?」
レミアが俺の隣でおかしな事を言い始めたので俺は顔をそらしてガラス越しに見える風景を眺めた。
「なんて言えばいいのかなー。キスする前の雰囲気作り?」
「は?んっ!」
振り向いた瞬間に俺はレミアに唇を奪われた。そしてまた何かが俺の中に入ってきた。
「んはぁ。今回は少しだけだからすぐに使いこなせるようになるわ。」
レミアがまた何かしらの能力を与えてきた。すると
「なんだ?ん?」
気がつくと既に空は暗くなっており、観覧車のガラスは鏡のようにレミアの姿を映した。しかしそこに俺の姿は映らなかった。
「あれ、これって。」
俺は透明人間になっていた。
「レミア、これはどういう…」
「この観覧車、もうすぐ車軸が爆発するわ。」
レミアによると観覧車の車軸に爆発装置の電波を感じたらしい。
「だからさ私が透明になって観覧車を支えるから、シュウヤは他のゴンドラに乗ってる人達を助け出して?」
レミアは人を救うために観覧車に乗ったらしい。偉いぞ!レミアのくせに。
「イエッサー!」
俺は即座にセカンドフォルムになる。
そして俺とレミアは同時に観覧車から飛び出した。その直後レミアの予言通り観覧車の車軸部分が爆発を起こした。
キャーー!!!
本日最大のキャーが園内中に鳴り響いた。
「頼むぞレミア!」
「はぁー!よっ!」
レミアはフレームの下に入り込んで観覧車を支えた。
俺は急いで隣のゴンドラに入る。透明になって俺の正体はバレないとは言え、救出する時にパニックになられても困るので1人1人気絶させてから助けて出した。
3分後全ての乗客の救出に成功した。
「レミア!全員助け出したぞ?」
「オッケー。これどうする?」
皆さーん!危険です。早く園外に避難してください!
下では係員に誘導されて人々が園外に逃げ出していた。
「よし。下の人達が避難し終えたらそっと下ろそう。転がっていかないようにな。」
「りょうかーい。」
20分後園内に人は誰も居ない。そろそろか
「よし、ゆっくり下ろそう」
「はーい。」
観覧車をそっと下ろし、全てが丸く収まった。
「ふぅ。ありがとなレミア。お前のお陰だ。」
「へぇ。シュウヤが私に感謝するなんてね。」
俺はちゃんとお礼ができる人間だ。それに俺が言わなければ、他に感謝を伝えられる者はいない。
「じゃあキスしてよ。」
レミアから思いもしないセリフが飛んできた。でもまぁ
「分かったよ。」
今回だけは好きなようにさせてやる。でっかい借りがあるしな。
「ちゃんと透明化のエネルギー、全部吸い出してくれよ?」
俺はそっと唇を重ねた。
「ふぅ。じゃあ帰るか。」
「うん!」
俺達は誰も居なくなって、シーンとした遊園地を後にした。
「そう言えばレミア、今日退屈じゃなかったか?」
「ううん。とっても楽しかったわよ?…それに、初めてシュウヤからキスしてくれたし、ねっ」
「んが!、、早く行くぞ!」
「顔真っ赤だよー?風邪でもひいちゃったー?」ニヤニヤ
自分からキスなんてするんじゃなかった。
〜翌日〜
家でテレビをつけるとあの遊園地で起きた事件のことが報道されていた。
<これだけの大事件が起きていながら怪我人すら出なかったのは奇跡です!>とニュースキャスターは言う。
「その奇跡は人工的なものだけどな。」
そしてその日の夜、爆弾犯はあっさり警察に捕まった。
解説を入れます。セカンドフォルムになったシュウヤ君は重力を無視して空中を自由に移動することができます。以前、物理法則はセカンドフォルムには通用しないと言っていましたが、これはその一例です。
そしてレミアについて1つ。彼女はシュウヤに透明化の能力を与えはしましたが、それも一部だけなので、彼女も観覧車を飛び出す直前に透明化しております。
長くなってしまい申し訳ありません。




