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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
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2つの扉

数時間後

「ノゾム、これからどうする?一応能力を使えるようにはなったけどもっと精度を高めるためにはやっぱ…」

俺は遠回しに今の状態でノゾムはNEOに入る気があるのか質問してみた。

レミアの荒療治のおかげでノゾムはこの数時間でかなり自分の能力をコントロールすることができるようになった。

しかしまだまだ完璧ではない。

特に解放したエネルギーを再び自身の体内に取り込むことが苦手なようだ。

不覚ながら俺ではそこら辺のアドバイスを上手くしてやれなかった。

が、仮に能力を完全に使いこなせるようになったとしてもNEOに所属していない身で組織にエネルギーを探知されたら面倒なことになる。

ここはやはり前に進んでもらうのが最善の手なのかもしれない。


しかし


果たしてノゾムに能力者として生きる覚悟はあるのか、自分の力で過去のトラウマと決別することができるのか。

親友として正直心配だった。


しかしノゾムは意外とあっさり、且つ真面目な顔で言った。 

「分かってるよ。俺、NEOに入る。」

ノゾムの目からは迷いや恐れといった類のものは感じられない。

かなりの覚悟は持っているようで俺は「そうか。」と言うことしかできなかった。

しかしレミアの方はまだ少し不安があるらしい。

「いいの?敵が誰かも分かってないし、これからもっと強い魔物が襲来してくる可能性だってあるのよ?」

「んん、確かに怖くないって言ったら嘘になるけど、俺分かったんだ。身体を壊されることよりも心を抉られることの方がずっと辛いって。それに万が一の時自分だけ何もできなかったら一生後悔することになる。それだけは死んでもいやなんだ。」

(ここまで言うなら大丈夫だな。)

「誰にでも言えるセリフじゃねぇな。」

「ははは、俺も少しは妹の前でカッコつけたくてさ。」

ノゾムは己の腕の中で眠るミヤちゃんの頭を終始撫で続けていた。


「分かってるとは思うが、しばらくは会えなくなるぞ。ミヤちゃん、ちゃんと説得しろよ。」

「うん。」


〜翌日〜

「え、しばらく会えなくなる?」

「そうなんだ、ちょっと用事でさ。お兄ちゃんが留守の間3人の言うことをしっかり聞いておくんだぞ。」

「ぅ…いつ帰ってくるの?」

ミヤちゃんは両目いっぱいに涙を浮かべながら震えた声でそう尋ねた。

しかしその質問の答えがノゾムに分かるはずもなく困った様子で俺の方を向いてきた。

「んー」

俺の時は1ヶ月程度かかったが、ノゾムの場合はある程度能力を使いこなせているし、それが何の能力なのかもはっきりしている。

数日というのは難しいだろうが、少なくとも俺の時よりかは短い時間で済むはずだ。

予想しうる妥当な期間を思い浮かべる。

(よし)

俺は2週間という意を込めて手のひらでピースを作り、ノゾムに向けて腕を突き出した。


「…大丈夫だ!ミヤがいい子にしてたらお兄ちゃん2日で帰ってくるぞ!」

「…」

(俺は流石に…っていうか1文で複数のフラグを立てるなや!)

しかし案外その場凌ぎの慰めにはなったようでミヤちゃんは右腕で涙を拭い、満面の笑みで笑った。

「分かった!お兄ちゃん頑張って!」

「!…あぁ。」

必死に涙を堪えたミヤちゃんとは違い、ノゾムの方は普通に涙をこぼし、強くミヤちゃんを抱きしめた。


「もう、いいのか?」

「うん。それじゃあミヤ、行ってきます。」

「いってらっしゃ〜い!」

ノゾムは家族に別れを告げ、玄関の扉を開けた。

「それじゃあお姉ちゃん、遊ぼ!」

「うん、何しよっかぁ。」


「はは、ありゃあ将来強く育ちますぜ?お兄様。」

「あぁ、俺も負けちゃいられない。」


〜数十分後〜

かくして俺はノゾムを連れてNEOのアジトまでやってきた。

ユミの時にも思ったが、この空間を素人を連れて歩くのは1人の時より3倍緊張する。

気のせいなのは分かっているが、既に2時間ほど歩き続けたような気分だ。


「ほぉ〜」

「大丈夫か?」

「あぁ…ここがNEOのアジトくれぐれもさっき言ったことは守ってくれよ。」

「分かってるって、レミアさんに関する情報は他言しないよ。」

「うし、んじゃ行くぞ。」

俺はアジトの扉を開き、ノゾムを中へ招き入れたり

扉の向こう側は何もない殺風景な部屋だが、NEOのメンバーが中に入ると下方へ行くための隠しエレベーターが姿を表す仕掛けになっている。

「すご、何これ。」

「階段で行く手もあるけどお前こういうのは好きだろ。」


「ファー、ここの科学は随分と発展しているんだね。」

「まぁどこぞのMIB本部みたいな感じだな。」

ノゾムは目を輝かせてアジトにある様々なマシンを弄るように観察していた。

確かノゾムは理系大学への進学を希望していたはずだ。

ここの科学技術に目移りしてしまうの無理はない。

「ここの技術を外の世界に持ち出すのは禁止だぞ。」

「ですよねー。」

「さ、行くぞ。」

楽しい時間を奪って申し訳ないが、遊んでばかりもいられない。

まずは総帥と会ってもらって事情を説明する必要がある。

俺はノゾムを総帥の部屋へと案内し、扉をノックした。


「失礼します。」

扉を開けると総帥は「まっていたよ。」と言って俺達を出迎えてくれた。

「彼が先程電話でお話ししたノゾムです。」

「よろしくお願いします。」

「うむ、よろしく頼む。君は束縛性の能力を有しているらしいね、今君の指導者を呼んだから、そこの椅子に腰掛けて少し待っていてくれたまえ。」

「は、はい!」

総帥に言われるがままノゾムは椅子に腰掛けた。

ユミの時とは違い、ノゾムは何の能力を秘めているか分かっているので今日から訓練に入ることができる。

しかし指導者を呼んだとなると同じ束縛性の能力を持った人物が来ると言うことになる。


「総帥、その指導者というのはもしかしてタクマですか?」

「あぁそうだ。彼も大きくなったぞ。」

タクマというは俺より1年ほど後にNEOに加盟した俺より2歳ほど年下の異能力者だ。

彼の能力は魔物の動きを少しの間封じるというものでそれ以外の能力は持ち合わせていない。

そのため己1人で戦闘をすることはできず、普段は戦闘タイプの能力を待つ味方メンバーのサポートにまわっている。

タクマが小さい頃はよく能力組手の相手を務めなものだ。

彼が独り立ちしてからは管轄が分かれ、互いの実家が遠く離れていることから会う機会はほとんどなかった。

前に顔を合わせたのは7年くらい前のことだ。


「あいつ少しは逞しくなりましたか?昔は物凄い泣き虫でしたからね。」

俺がそう言うと斜め後方にある自動ドアの開く音が聞こえてきた。

「それはないですよ。久しぶりに会えると思って急いでやって来たら初めに聞いたセリフが泣き虫ってどうゆうことですか。」

声のした方に目を向けるとそこには筋肉質の見た目強そうな男子が扉の前に立っていた。


「…どちら様?」

「ひっでー、まだ続けるんですかぁ?」

「悪い悪い、久しぶりだなタクマ。」

タクマの顔つきは昔のままおぼこさの残る、可愛い系男子のそれだが身長はだいぶ伸びたし、身体もがっちりしていて声や雰囲気も中学生とは思えないものに成長していた。

疏水の言う通り、昔と比べるとだいぶタクマしくなっている。


「そちらの方がノゾムさんですね?この度指導者を務めさせていただきます、タクマと申します。どうかお見知り置きを。」

「よ、よろしく。」

「ぇ…」

(ごめんマジで君誰?まだ中学生だよね?どうしたのその言葉遣い。)

自然と脳裏にあることわざが浮かぶ。


-男子、三日会わざれば刮目して見よ~


(なるほど、こう言うことね。)

「ん?どうしたんですかシュウヤさん?ぼーっとして」

「あっいやいやなんでもないですよ。」

(人間って変わるもんなんだな〜)

10年前のタクマとのギャップに内心かなり驚いていた。


「それでは早速訓練室に向かいたいのですが、準備はよろしいですか?」

「は、はい!」

「シュウヤさん、また時間のある時にゆっくりお話ししましょう。」

「あぁ、ノゾムをよろしく頼む。」


2人は部屋を退室し、残された俺はあることを総帥に尋ねた。

「総帥、ユミのことなんですがあいつの能力は何か分かりましたか?」

「あぁそのことなんだが、まず1つ目の能力タイプは水だった。」

「水、ですか。」

水は戦闘タイプの武器を作り出すこともでき

、味方のサポートをすることもできる使い勝手のいい能力タイプだ。

しかしサポート系の能力を併せ持つため、純粋な戦闘タイプの異能力者と比べると戦闘能力は低い傾向にある。

まさに仲間と共闘するのにうってつけな能力だと言える。


「しかし1つ目ということは2つ目もあるということですか?」

「そうだ。そうなのだが、その能力が何なのかはまだ分かっていないのだよ。戦闘やそのサポートに役立つ能力なら良いのだがね。」

「あー、なるほど。」

異能力は幅が広い。

未だかつて発見されたことのない新種の能力だって数多くある。

ユミの有するもう1つの能力がNEOのデータに存在しないということはつまりそういうことなのだろう。

総帥が言うように戦闘やそのサポートに不向きな異能力である可能性も十分にある。

しかしユミが異能力者だと断定された今、どうせならその能力がとても強いか便利な能力であって欲しいと願う俺なのであった。


「そうですか。では社会復帰はまだしばらくお預けということですね?」

「うむ、今しばらく検査していく必要はある。もっとも、何も分からないまま終わる可能性もあるがね。」

「承知しました。では俺もここで失礼します。」

俺は総帥に挨拶して部屋を出た後アジト内で仕事はないか見て回った。


〜10分経過〜

(なんもなしっと、んじゃ行くか。)

あいにくその日アジト内ではこれといって仕事が見つからなかった。 

ここから夜が深くなるまではフリーの時間だ。

ちょうどいい機会なので俺は久しぶりに1人でゼロルームへと向かった。


「さてやるか。」

ゼロルームに入ると俺は箱を開くための鍵となるエネルギーを作り出し、箱の中のエネルギーを解放した。

そのエネルギーを全身に纏い、セカンドフォルムになる。

俺は時々こうして自分の器の大きさを確かめている。

強い魔物との戦闘に備えて今自分がどの程度のエネルギー量まで使いこなせるのか知っておく必要があるのだ。

昨日公園へ向かう時数ヶ月前の俺なら限界だったエネルギー量を解放しても意識ははっきりしており、なんとなくまだ行けそうな気がした。

だから今日は以前まで限界を越え、ニューレコードを叩き出してみせる。


「はぁああああ!」

とりあえず前の限界値までは一気にエネルギーを解放する。

「は!ふ、おりゃ!」

とりあえず頭の中の天野とシャドーのようなものをやってみたが思考ははっきりしているし、身体もスムーズに動く。


「ふぅ…ここからだな。」

俺自身が強くなっているのかは分からないが、数ヶ月前に確認した時よりも多くのエネルギーを制御できるようになっていた。

しかしそれでも箱の中のエネルギーはまだまだそこを見せてない。

一体どこからこんな膨大な量のエネルギーが生まれてくるのか自分でも理解しかねる。


「今日はもう少し奥に進んでみるか。」

俺はさらに体内エネルギーを解放した。

ここからは一気に現価値を超えてしまわないよう解放するエネルギー量を調節する。


しばらくすると今まで何度も体験した、意識が海に流されるような感覚が生じる。

「んぐっ…まだまだぁ!」

己の意識に巣が貢ぐような感覚で必死に覚醒状態をキープするが、流石に意識は朦朧とし、頭の中も真っ白になってきた。

そろそろ限界かと思ったその時、墓の中からエネルギーを取り出すことができなくなった。

どうやら俺は全てのエネルギーを我が身に纏うことに成功したらしい。


しかし 

「やっ…た…」

俺はとうとう意識を手放し、その場に崩れ落ちた。


一体どのくらいの時間がたったのかはわからないが、ふと目を覚ますとそこは薄暗い部屋の中だった。

見知らぬ場所が突然現れたというのに何故か「どこだここ?」という感情が生まれてこない。

というより俺の思考そのものが機能を停止している。

今この感覚を1番分かりやすく言い表すとトランス状態というのが相応しい。

その光景は夢の中の主人公視点で映っているようだが、それが本当は誰なのかも定かではない。


夢の中の俺(仮)は部屋の中を見て回り、1つの大きな箱のようなものを見つけた。

中を覗いてみるが何も入っていないようだ。

夢の俺はしばらく箱の中をぼーっと眺めていた。

するとどこからか黒と黄色の2種類のエネルギーが流れ込み、箱の中に収納された。


夢の俺はエネルギーの出どころを探り始める。

しばらく探索して巨大な部屋の壁かと思われたものは先程の箱よりさらに大きな扉であることがわかった。

今この位置から箱の方を見るとその後方にもう1つ巨大な扉があることがわかった。

扉は2つとも少しだけ開いていてこちら側のは隙間から光が漏れ出ているが、向こう側の隙間を遠目に覗き込んでみても何も見えてこのない。

どうやらこちら側の扉からは黄色いエネルギー、向こう側からは黒いエネルギーが放出されているらしい。


夢の俺は再び扉が閉ざされる前に中の様子を伺おうと隙間から扉の向こうを覗き込んだ。そこは光に満ち溢れれた空間が広がる神秘的な場所だった。

しかし夢の俺何その光景に見惚れていると急に視界が真っ白になった。 

そのあまりの眩しさに俺は目を閉じた。

現実世界であればこれで視界は真っ暗にまるはずなのだが、この時は何故か閉じているはずの俺の目に何者かの姿が映り出された。

まぶた一枚ではあの光は遮断しきれないということだろうか…

何してもうっすらと見えるその人物に見覚えはなかった。

その人物は俺に手のひらを向け、物凄い波動をぶつけて俺をぶっ飛ばしてきた。


「んが!はぁっはぁっはぁ」

気がつくと俺はセカンドフォルムのままゼロルームの中で倒れていた。

「今のは夢…じゃないな。」

思考がはっきりして今見た夢に関して考察を始める。


俺はセカンドフォルムになって箱の中のエネルギーを全て解放した途端、意識を失った。

そうしてあの世界に意識が飛んだわけだが、あの箱のようなものがどうにも気になる。

あの箱は元々空だったようだが、後々流れ込んできた黒と黄色のエネルギーを収納した。

このシーンを切り抜くと俺がセカンドフォルムを解除する時のイメージと似ている。


そしてあの2種類のエネルギー

何となくだが、あればおそらく光と闇のエネルギーだ。

加えて箱の両サイドにあったバカでかい扉の中から放出されたものだった。


仮にの話だがアレが俺の体内で起っていることを映像として映し出した世界だった場合、扉の中の人物が真の光エネルギー所有者ということになる。

この力がどこから生まれてくるのかずっと気になっていたが扉の中の人物が俺に分け与えているのだとすればしっくり来なくもない。


「黒と黄色のエネルギーに2つの扉…」

ひょっとしたらもう1つの扉の向こう側には闇エネルギーの所有者がいたのではないだろうか。

トランス状態の俺に言っても仕方のないことなのだが、もう1つの扉の中も覗いておきたかった。


「ふぅ、なんか疲れたなぁ。今日はこの辺にしとくか。」

今は分からないことだらけだが、とりあえずこれ以上無理をすると何が起こるか分からない。

俺はセカンドフォルムを解いてエネルギーを箱の中に戻した。

それにしてもエネルギーを解放した途端に気絶しているようでは魔物との戦闘では使い物にならない。


「まだまだ器を大きくする必要があるな。」

しかしまぁ11年間でここまでのエネルギー量を解放できるようにはなったのだから良しとしよう。

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