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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
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夜の仕事

「さて、長ったらしい話も終わったし行くか。」

俺は家を出て、すぐ近くにある広間へと向かう。

そこは周りに電灯がなく、夜は真っ暗になるのでこの時間帯になると基本的に人影が少ないのだ。

俺達NEOの連中は一般人の前で能力を使うことは禁じられているので、人通りの少ない場所は都合が良いわけだ。

「よし、誰も見てねえな。」

広間に着くと、他に誰もいないことを確認してから己の体内エネルギーを右腕に宿す。

俺の発動した能力は光エネルギーなので俺の右腕が黄色く輝いた。

(今思えば、俺が光源になってしまっているので、真っ暗な空間が台無しだよな。)

そうは思いつつも俺は自分の右手に宿したエネルギーを放出する。

「オリャ!」

俺の腕から放たれたエネルギーの刃は次元の壁に穴を開けた。

俺はすぐさまその穴の中に飛び込み、急いで穴を塞ぐ。

穴の向こう側にあるのは次元と次元の間に存在する次元間領域で、何もない空間が無限に広がっている。

この次元間領域には次元道という歩行路が設置されており、ベテルとNEOのアジトを繋いでいる、

一般人ではまず到達することのできない世界なので、イメージしづらい部分があると思う。

これらの位置関係については宇宙空間で例えると分かりやすい。

ベテルという次元が地球ならアジトが月で、それらを繋いでいる宇宙エレベーターの役割を果たしているのが次元道だ。

さらにこれらを覆う宇宙空間にあたるのが次元間領域となる。

つまり、この次元道を進んでいけばNEOのアジトにたどり着けるわけだが、ここはとても危険な場所だ。

次元道は非常に入り組んだ道で、きちんとルートを覚えていないとアジトへたどり着くことができない。

そして次元道から一度でも足を踏み外して次元間領域に落ちてしまえば、何もない空間を永遠にさまようことになる。

当然次元道に戻ることはできない…っと以前説明されたことがある。(実際に落ちたことはないので、どうなるのかは不明。)

「さてと…」

俺は自身の光エネルギーを体外に放出させ、それをライトがわりにして先を目指す。


〜8時55分〜

次元道を進むこと10分、俺は何の問題もなくアジトにたどり着くことができた。

大きな扉をあけ、中に入ると俺は真っ先に総帥の元へと向かう。

「来たかシュウヤ。先程は突然電話したりしてすまなかったね。」

「いえ、大丈夫です。」

学校からの帰宅途中、ユミと別れた後すぐにかかってきた電話のことだ。

普段俺はアジト内で魔物探知装置や警報アラームなどの機械点検をしているので基本的に総帥の元へ伺うことはない。

しかし今日に限っては先ほどの電話で仕事前に話したいことがあると言われ、司令室に呼び出されたのだ。

「それで話したいこととは?」

「そればだね…」

内容は俺も早く共闘してくれる仲間を見つけてチームを作成しろとのことだった。

NEOのメンバーは一般的に2ないし4人のグループワークで魔物を狩る。

戦闘系能力者が率先して魔物と抗戦し、サポート系能力者は戦闘系能力者を援護する。

しかしこれはあくまでメジャーな方法で戦闘タイプの能力者のみでチームを組んだり、戦闘系能力者がサポートに回るという場合もある。

特に後者では戦闘系能力は使えど、根本的に運動神経の悪い者や、以下のスキルに優れている者などが挙げられる。


魔物の最大の急所である生命維持の核、コアの位置を見極める


魔物の種族、属性を見極め、その魔物の苦手とする攻撃のタイプを探る


魔物の防御力を下げる能力や体力回復能力を使用して戦況を優位にする


しかしパーティーを作れと言われてもアジトで俺とバーティーを組もうとしてくれる者は1人もいない。

なぜなら俺に回ってくる仕事はいつも重大任務ばかりだわからだ。

平たく言えば強力、もしくは大軍の魔物の討伐を任されたりする。

魔物にも人間のように強い個体と弱い個体とがある。(個隔膜差大)

NEOのメンバーでも力及ばず、魔物に食い殺されるというケースはたまにある。

よって力に自信のない者、戦闘慣れしていない者は強い魔物との戦闘を好まない。だから俺のように強い魔物ばかり相手にするような奴とはチームを組めないわけだ。

そして俺の方もNEOのメンバーでありながら一般人のために命を捨てられないような臆病者達とはチームを組みたくない。

例え組んだとしても上手い連携はとれないだろうし、足手まといになるという説まである。

「総帥、お言葉ですが、誰も俺とは組もうとしませんし、俺は1人で大丈夫です。」

「だが…ん?」

俺がそう伝えた次の瞬間、アジト中に警報が鳴り響いた。

どうやら魔物がベテルやってきたらしい。

“レベル6の魔物が現れました。一同戦闘に備えてください。”

(魔物の内在エネルギーのレベルは6か。)

魔物は能力値によってレベル1〜10(アジトで測定できる範囲。)に分けられる。

基本的に数値が高い方がより強力な力を持つ。

レベル10以上の魔物とは今まで2度戦ったことがあったがかなり手強かった。

レベル10の魔物が現れたのは3年前で当時ノーマルフォルムでは倒すことができなかったのでセカンドフォルムを解放してやっと倒すことができた。

もう1つの方は…あまり思い出したくない話だ。

しかし今回はレベル6、ノーマルフォルムでも十分に倒せるレベルだ。

「俺が行きます!」

「あぁ頼む。」

俺はアジトを飛び出してベテルに戻り、魔物の気配がする方向へと走った。

気配のする方角からいってどうやら魔物は近くにある裏山に現れたらしい。

今の時間帯なら人はほとんど来ないので魔物狩りをするなら好都合だ。

〜約2分後〜

俺が広間から全力疾走したために、あまり時間を必要とせずに魔物の元へ辿り付く。

しかし、その時には既に1頭の猪が魔物に捕らえられていた、

「まずい!」

俺はすぐに駆け寄ろうとしたが、猪は魔物の口に放り込まれてしまう。

そして数回の咀嚼後に猪の骨だけが吐き出された。

「くそっ遅かったか!」

俺はすぐさま力を解放し、内在する光のエネルギーを右腕に集める。

やがて光のエネルギーは実体を持たない概念的なものではなく、実際に触れることのできるモノとして具現化された。

そうして作り出されたエネルギーの刀、「光刀」を手にとり、魔物目掛けて突撃する。

「喰らいたまえ!」

魔物は斬られる直前まで俺の存在に気付いていなかったため、俺は何の躊躇いもなく刀を振るう。

そうして俺が光刀で魔斬りかかるとヤツの左腕はいとも簡単に胴体から分離した。

魔物はあまりの痛みに奇声をあげながら地面にのたうちまわった。

「次は右腕だ。」

俺はストンッと刀を振り下ろし、ヤツのもう1つの腕を切り落とした。

光刀はエネルギーの刀なので、切れ味は俺の能力値に比例する。

そのため魔物の腕は包丁で刺身を切るときのようにスパッと切れる。

まっレベル6ならこんなものか…しかし被害者(猪)を出してしまったことは大きな失態だ。

「ではさらば!」

俺は最後に魔物の登頂部のど真ん中から魔物の会陰までを一直線に切り裂いた。

俺は魔物を狩り終えるとその死骸を処分するために一旦光刀を体内に戻し、今度は闇のエネルギーを両腕に集める。

「はぁあ!」

俺の両腕から発せられた闇のエネルギーは小さなブラックホールを作り出し、みるみるうちに魔物を吸い込んでいった。

魔物が死を迎えると人では嗅ぎ分けることのできない特殊な匂いを発する。

その匂いに他の魔物が刺激され、引き寄せられてその死骸を食い始めるという研究結果が報告されている。

したがって借り終えた後の死骸はきちんと処理しておかなければならない。

まぁ死んだ仲間を共食いするわけだからベテルのカラスと同じようなもんだ。

「はい、終了。」

ブラックホールに魔物の死骸を吸引させ、魔物狩りが完了する。

「さぁてお次は…」

狩を終えた俺は猪の骨のある場所に向かい、地面に穴を掘った。

「ごめんな、もう少し早くここについていれば、助けられたのにな。…でも仇は討ったからよ。」

深めに掘った穴の中に骨を入れ、上から土を被せて埋葬する。

その後両手を合わせて猪の冥福を祈る。

(安らかな眠りを)


俺はそれに応答する。埋葬を終えたと同時に携帯に着信があり、

あいてはまたしても総帥で他の場所に新たな魔物が現れたという。

聞くところによると魔物の現れた場所はすぐ近くにあり、レベルもそう高くはないらしい。

まぁレベルの低い魔物ではあるが、アジトの連中が狩りにくるよりも俺が行った方が数段早い。

「よし、いくか!」

俺は2体目の魔物を狩るためにその場を後にした。


〜6分後〜

本日2体目の魔物は裏山から少し進んだところの渓流に現れていた。

今度のヤツは足を持たず、細長い胴体から大きな腕と尾を生やした体の作りをしている。

少し前に流行っていた龍の探求というゲームでこいつによく似た感じのモンスターを見たことがある。

たしか名前はオル…何ちゃらミーラとか言ってたっけか。

まぉ今はそんな話どうでもいい。

当初その魔物はのんびり川で泳いでいたが、俺の存在を認識した瞬間、急に血相を変えて暴れ始めた。

「なんだこいつ。」

魔物は両方の腕から水の波動を創出し、俺を攻撃?してきた。

当てるつもりがあるのかないのか四方八方にガムシャラに攻撃している。

俺はヤツの背後に回回り込み、後頭部を殴りかかった。

「暴れるんじゃねえ!」

後ろから殴り飛ばされた魔物は森の中に吹っ飛んだ。

するとヤツの動きが急に鈍くなる。

オロオロと耐性を立て直す姿はまるで人間の高齢者のようだ。

(なるほどな。戦闘前に行動範囲を増やそうとしていたのか。)

おそらくその魔物は水の中でないと素早く行動することがて傍ない。だから自身の能力で辺りを浸水させようとしていたのであろう。

しかし川から引っ張りだしてしまったので魔物は現在思うように動けない。

俺は再び能力を解放する隙を与えずに次から次へと継続して殴り続けた。

ヤツは1体目の魔物より図体が明らかに小さく、感じられるエネルギー量も少ない。

はっきりいって歯応えのない敵だ。

(んー、ざっとレベル3ってところか。)


そうして殴り続けること10分、ヤツは既に気を失ってしまっていた、

「まだおねんねするには早えぞぉら!」

俺は魔物の尾を掴んで地面にガンガン叩かきつける…20回ほど。

ヤツを痛め付けている間に俺の中の何かが壊れたようだ。

今まで溜め込んでいたストレスが解消されていくのが分かり、喜びにも似た感情が溢れてくる。 


〜1時間後〜

もうとっくのとうに死んでいた魔物の死骸を痛め続けた後に俺はハッと我に帰った。

「ヤベェ…俺何してるんだ…?」

俺は自分でも気がつかない内に悪魔のようなことをやってしまっていた。

人間はストレスを溜め込み過ぎるとこんな恐ろしいことまでするのか…と自分でも怖くなった。

「すまない、少しやりすぎた。」

みるも無残な姿に変わり果てた魔物の死骸に頭を下げてブラックホールを作り出す。

(これからはあまりストレスを溜めすぎないようにしよう。)


2体目の魔物を討伐後、物思いにふけていると太陽が登り始め、空が明るくなってきた。

「ふぅ終わりか…」

魔物は日の光に弱い性質があるので基本的に昼間は現れない。

したがって夜の仕事は日の出を迎えると終了する。

今日はここまでだ。

「はぁ…早く帰って寝よう。」

俺は少しばかり重い足取りで我が家に帰宅した。

編集も元の話数でいうと2話までやってまいりました。

改めて内容を加えてみるとすごい文字数の変化…(汗)

今後とも編集の方を進めてまいりますので新しくなったノーマル&アブノーマルに興味がある方は改正版も読んでいただけると嬉しいです。

ではこの辺で、ありがとうございました。

(タイトル変えようかな笑)

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