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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
3/63

極秘組織NEO

夜の8時半、眠りに入る前にセットしておいたアラームが鳴り始める。

「ふぅ、もう時間か。」

仕事の時間だ。

つまらないことをしている時の1時間は長く感じるのに眠っているとあっという間だな。

「ん…」

身体を動かそうとすると重みを感じる。

流行り1時間の睡眠では全然疲れは取れないな。

(あー、ダリ〜…)

ついアラームを止めて再び眠ってしまいたくなってしまう。

俺の心身からはもう少し休息を取れという危険信号が伝わってくる。

しかし残念ながら夜の仕事に休日はなく、俺だけがサボるわけにはいかない。

「よっ!」

俺はベッドから起き上がり、両腕で左右の頬を叩いた…割と強めにな。

「ふぅ…よし。」

頬の痛みで少しはシャキッ!としたので俺はタンスの中から動きやすい服を引っ張り出してそれに着替える。


「さてっ」

着替えを終え、仕事に行く準備を整えた俺はある人物に電話を入れる。

「準備が整いました。これよりアジトに向かいます。」

「了解した。待っているよ。」

もう日課となったこの短いやりとりが俺の仕事に対するスイッチのオンオフを切り替えてくれる。

昼間の平和ボケしたままの俺では命を落としかねないので、こういった切り替えは必須事項なのだ。

というわけで仕事にいく前の俺は目つきが鋭くなり、近寄りがたい雰囲気を纏う。

きっと昼間の俺を知っている人間からするとまるで別人に見えることだろう。

ではここで今朝から焦らしに焦らした夜のお仕事というものについてご説明しよう。

簡単に言うと人間を喰らおうとする魔物の手(まさに魔の手)から人間を守ることが俺の仕事だ。

中にはアニメの見過ぎだろ、と思っている方も居ることだろう。

しかし、この発言は決して厨二病に由来して起こったものではない。

現に魔物とはずっと昔から存在していて、低頻度ながら人前に姿を表している。

それを世間の人々が知らないだけだ。

俺はそんな何も知らず、平和に過ごしている人達を影で守るべく極秘組織NEOに所属している。

ここで現在NEOのアジトに残されている魔物に関する歴史の資料を提示しておこう。


話は1000年前、世界が今よりも荒れていた時代。

世界中のあちこちで戦争が勃発しており、人々は毎日のように敵兵との殺し合いを強いられていた。

当時世界には独裁的な思考を持つ国王が多く、戦争自体も国王が自らの領地を増やすために始めたものだった。


雨のように降り注ぐ爆発物


鳴り止むことのない銃声


至る所に散在する人々の解離血


日を重ねる毎に増えて行く人々の死体。


「世の中、なんでこんなことになっちまったんだ…」

「国王達の争いじゃないか!国民を巻き込みやがって!」

などと戦争に不満を感じない者はいなかった。


〜数週間後〜

明くる日も戦争は終わらない。

国民達は皆一刻も早い終戦を願い続けていたがそれは叶わぬ願いだった。

国王は何故国民の命を物のように扱い、長い間戦争を続けたのだよう。

その理由には国王が独裁者だったこともあるが、何より人々が増え続けたのが原因だった。

ある国では人の女性から生まれる子供の数が平均して8人にもなるところもあった。

世代を跨ぐごとに4倍近くになる人口をどうにか減らそうという考えがあったのかもしれない。

特に人口の多い大帝国の中には同時に2つの戦争をしている国も存在していた。

そのような国の死亡者の数は特に多く、中には億を超えるというケースもあった。

きっと相手国を屈服させれば戦争は終わる。そう思っていた人々は早く戦争を終わらせるために戦い続けた。

そして数年後、ある国でやっと1つの大きな戦争が終わりを迎えた。

「やっと終わった…」

「もう2度と戦争は起らないで欲しいな…」

人々は終戦の喜びを互いに分かち合い、国内では毎日のように宴が開かれた。

人々は長い間待ち続けてやっと訪れた平和な日常を心から満喫するのであった。


…しかしそれも長くは続かなかった。


終戦してから1ヶ月と経たないうちに国王から新たな国取り合戦の開戦が発表された。

そのニュースは瞬く間に国中に広まり、人々は再び恐怖のどん底に落とされてしまう。


それからというもの、多くの国では終戦と開戦を繰り返し、人々の心は深い闇に沈んでいった。

「もう嫌だ。」

「俺、もう戦いたくねぇ。」

どんなに時を待っても、どんなに敵兵を殺しても戦いは終わらない。

仮に終わったとしてもまた新たな戦いが始まるだけだ。

そうやって次々に引き起こされる戦争を前に人々は世の中に失望し、戦い、殺し、殺され続けた。


「じゃあ行こうか。」

「うん。」

中には他人を殺してまで生きたくないし、誰かに殺されるのも嫌だ!

そう考える人も当然居て、そのような人たちは皆揃って自殺を図った。

恋人と手を繋いで一緒に崖から身投げする者、毒物を口にする者、国から盗んだ爆撃器で吹っ飛ぶ者など。


その一方で、実際に反乱軍を結集して国に抗おうとする者たちも現れ始めた。

彼らは反逆団体を形成し、戦争反対をスローガンに様々な反逆運動を企てた。


こうして戦争はvs他国の外部戦争とvs反逆団体の内部戦争の二重大戦へと変貌する。

しかし内部戦争の方は国側の方が遥かに軍力を持っていたため、反逆団体は次々に鎮圧されてしまう。

さらに反逆者の愛人や家族までも一斉に処刑されてしまった。

殺された反逆者の愛人や家族はさらなる反逆者になりかねないから、というのが理由らしい。

このままでは人類は絶滅してしまう、世界中の誰もがそう思った。


しかし、世界大戦は重いもよらない展開を迎える。


ある年の4月、なんの前触れもなく1つの国が滅んだ。

その国は戦争に全く関与していない国で、どこかの国から攻撃を受けたという情報も一切なかった。

その国と国際貿易で交流していた国々は原因を探るべく調査団をその国へ派遣した。

原因など分からずとも新たな支配領地が増えればむしろ好都合。

そう企む国王もいた。

しかし数時間後、派遣した調査団のメンバーから思いもよらぬ緊急着信が入った。

「こちらアルバート、本部聞こえますか!?」

その兵士はまるで何かに怯えているかのような怖々とした声を出しており完全に冷静さを失っていた。

「こちら本部、どうした。」

話を聞くと、現地で調査中に見たこともない化け物と遭遇したらしい。

それは5つの頭と4本の足、3本の尾を持つ化け物で、現地の国民だったであろう人間の肉を貪っていたという。

軍隊はその化け物を退治しよと一斉攻撃を仕掛けたが、化け物には通用しなかった。

その化け物は次々に兵士を襲っていき、軍隊も壊滅寸前とのことだった。

「直ちに応援を頼み、ぎゃいやー!」

通信中、兵士は魔物に捕まってしまう。

兵士は頭、左腕、右腕、左足、右足をそれぞれ1つの網にかぶりつかれる。

そしてそのまま食いちぎられ、5つに分離した兵士のパーツはそれぞれの頭に食された。

そのことを通信音声で聞いていた本部の人間達はあまりに非現実的な世界を前に、ただ呆然としていた。

結局、調査に出た軍隊の兵士は誰1人として生きて帰ってこなかった。


後日、国王は壊滅した国へ再び軍隊を派遣し、魔物に関する情報収集を命じる。

軍隊は戦闘機に乗り、上空からカメラを用いて魔物の様子を観察した。


翌日、国王は国に帰還した軍隊から魔物の映像を預かり、全国民の前でそれを放映した。

これが初めてベテル(人間の生活している次元)で観測された魔物の記録である。

これらの動画や画像により、魔物の存在が世界中に知れ渡った。

魔物とはゼラファー(ベテルとは別の次元)に生息する生物のことで、人間より大きな図体と強力な力を持つ。

さらに魔物の中にはエネルギー攻撃を仕掛けてくるモノもいるので普通の人間では到底太刀打ちすることはできない。

武力をほとんど持たなかったとは言え、たった一体の魔物に国が滅ぼされた理由である。


流石の国王達もこのまま魔物を野放しにしておくわけにはいかないと判断し、各々の戦争は一時休戦となる。

その後、特に武力のある国々が集結して対魔物連合会議が開かれた。

その会議では実に多くの討伐方法の案が出され、次々と実行されていった。

しかし、どれも望ましい結果は得られず、国王達は頭を抱えた。

これまでに入手した情報から魔物には通常兵器は通用せず、炎などを吐き出して遠距離攻撃を仕掛けてくることが明らかとなっている。

さらにその魔物は飛行や泳ぎといった動作は不得意とすることも判明した。

「しかし。我らの武器が効かないとなると奴を倒す方法は無いぞ。」

「せめて弱点さえわかればな…」

通常兵器は通用しないということで、最も有効だと思われる攻撃手段は核だった。

しかし魔物が現れたのは小さな島国で近くには海を挟んで多くの国が存在していた。

したがって核を用いて島ごとぶっ飛ばすということもできない状況にあった。

「…」

「…」

そうして会議室にはしばしの間沈黙が流れた。


「あの…」

そんな中ある国の国王補佐官が話を切り出す。

「眉唾物の話ではありますが、我が国に不思議な力を持つ人間が居るという噂を聞いたことがあります。」

補佐官の言葉に、国王達の数名が反応した。

「そういえばバルトディウスでもそんな噂があったな。」

「私も耳にしたことがあります。」

なんと、その噂は世界中に知れ渡っていた。

「どうせデマであろうと鷹を括っていたが…」

「はい、私もです。しかし実際にあのような化け物まで現れたとなると…」

「信じてみてもいいかもしれんな。」

その後、各国で異能力者の情報が洗い出され、能力者捜索が行われた。


〜数日後〜

再び国際会議が開かれ、各自の調査結果が報告される。

「で、どうだったかね?」

「私の国で発見された能力者は彼1人でした。」

なんと実際に能力者の発見に成功した国があった。

「私の国でも発見されました。」

結果、いくつかの国で能力者が発見されていた。

「では君たちの能力を見せてもらえるかな?」

国王に命じられ、彼らは各々の力を発動させる。

彼らはそれぞれ異なった能力を持っていたが、どれも常人には理解しがたいモノだった。

「これはすごい…是非その力を貸してくれ!」

国王達は魔物の存在を明かした上で、能力者達に協力を仰いだ。

「話は分かりました。しかし条件があります。」

能力者達は魔物の討伐に力を貸す代わりに3つの条件を出した。

それは一般人に彼らの存在を明かさないこと、整体実験などと言って、能力者を捉えないこと。

そして最後にさっさとこのくだらない戦争を修繕させることだった。

「人間同士が殺し合うなどとても愚かなことです。」

「あなた達のやっていることは魔物のやっていることとなんら変わらないのですよ。」

「…」

能力者のセリフに国王達は皆言葉を失い、己の愚かさを自覚した。

今自分たちが己で滅ぼそうとしている国が他の何かに滅ぼされそうになると、必死にそれを阻止しようとしているのだから。

国王達は自分達の勝手な判断で国民達を戦争にまきんだことを深く反省した。

「分かった、その条件全てをのもう。よろしくたのむ。」

交渉は成立し、能力者達は魔物が現れた国へと向かう。

「こいつか…みんな行くぞ!」

「yes!」

「entendido」

国王達は能力者達の戦いを固唾を飲んで見守っていた。

ひょっとしたら倒せないかもしれない。そう考える者も多かったが、能力者達の力は魔物を圧倒していった。


「よし、これで決めるぞ!」

「noted」

「daccord」

束縛性能力を持つ能力者数名が魔物の動きを封じている間に攻撃役の3人がエネルギーの融合を行う。

「「「アミリティス・ビッグバン」」」

彼らの放った融合技は魔物に触れた瞬間に大爆発を起こし、魔物は跡形もなく消し飛んだ。


「これで魔物は消え去りました。約束です、早く戦争を終わらせてください。」

「あぁ、本当にありがとう。」

その後国王達は約束通り互いに和解し、世界中で勃発していた大戦争は次々に終戦していった。


しかしそれからというもの、新たな魔物がしばしば現れるようになった。

そこでベテルの国々は能力所達に協力を仰ぎ、対魔物用極秘組織NEOを設立する。

それから1000年間、ベテルに平和が戻り、人々の中から魔物の存在は消え去っていった。

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