悲しみの向こうに
〜午後1時〜
シュウヤは学校へ、サトルは仕事場へ、レミアは野暮用により遠くのショッピングモール(名目)へと出かけていき、家に残っているのはノゾムとミヤの2人だけとなった。
2人は家でお邪魔させてもらっているお礼にサトル家の家事を手伝うことにした。
1人暮らしをしているとは思えないほど大きいサトル家において仕事を見つけることは簡単だった。
ノゾム兄妹は朝から洗濯物や部屋の掃除などを始め、午後1時現在昼食を食べ終えた2人は午後の仕事に取り掛かろうとしていた。
「それじゃあミヤ、午後の部を始めようか。」
「はーい!」
「ひとまず俺は食器を洗うよ、割れたりすると危ないからミヤは他の場所を掃除してて。」
「他の場所って?」
「んーそうだなぁ、自分の部屋を整理しよう。ミヤの私物もたっくさん持ってきたからね。」
「了解であります!」
ミヤは笑顔で敬礼した後駆け足で子供部屋へと向かった。
「よし、俺もやるか。」
ノゾムは全ての食器を台所へ持っていき、食器洗いを始める。
そのすぐ後のことだった。
サトル家の玄関の扉が
カチャカチャと音を立て始める。
サトル家は空き巣に空き巣に狙われてしまったのである。
その空き巣はかなりの常習犯でロックが解除されるまでそう時間は掛からなかった。
とうとう玄関のロックが解除されて空き巣がサトル家の中へと侵入してしまう。
「さて初めるか…」
空き巣犯は完全に誰もいないものと思い込み、油断しきっていた。
しかし次の瞬間
「シュウヤお兄ちゃん?」
「うげっ!」
扉が開く音を聞きつけてシュウヤが帰ってきたものと勘違いしたミヤが子供部屋から現れた。
「おじさん、誰?」
「…」
(なんでこの時間帯に子供がいるんだよ、ここの主人は一人暮らしで今は仕事に出かけているはずだぞ!?)
その空き巣犯は空き巣を働く際にサトルに関する一通りの情報を調べ上げ、確実に家を開ける時間帯を狙ったはずだった。
故に油断しきっていた空き巣犯はマスクで顔を隠してはいたもののミヤと遭遇して軽いパニックを起こしてしまう。
「ねぇねぇどちら様?」
「え、えーと…」
(どうする、どうする?どうする!)
「もしかしてサトルおじさんのお友達?」
「いやぁ…」
(こ、こうなったらこいつを使うか。)
空き巣犯は念のために持ち合わせていた睡眠スプレーをバックの中から取り出した。
(でも待てよ、こんな幼女にかがせて大丈夫なのか、このスプレー…)
空き巣犯らしくもないことを考えている内にさらに追い討ちをかける出来事が起こる。
「ミヤ、一体誰と話しているんだ…え?」
「あっ」
ミヤの話し声を聞きつけて様子を見にきたノゾムが空き巣犯と対面する。
「誰だ!」
「くそっ!まだ他にもいたのかよ…こうなったら」
もう手段を考えている余裕はなかった。
空き巣犯はとっさに睡眠スプレーでミヤを眠らせて抱き抱える。
「この子を返して欲しかったら500万円用意しろ!」
そう言い残して空き巣犯はサトル家から飛び出した。
「ミヤー!!!」
ノゾムは慌てて後を追う。
力をコントロールできるようになるまで外出は控えるよう忠告されていたがミヤを攫われた今、なりふり構っていられなかった。
「待て!ミヤを返せ!」
「断る!ここで返すくらいなら最初から攫わねーよ!」
あろうことが空き巣犯は人通りの多い商店街の方へ逃亡した。
運が悪いことにこの日は特に利用者が多く、空き巣犯の姿を見逃しやすい状況に陥ってしまう。
「すみません!どいてください!」
ノゾムは必死に人混みをかき分けながら空き巣犯を追跡した。
しかし人通りが多くなるにつれて空き巣犯との距離が遠のいていく気がしてノゾムの心に焦りと怒りの感情が芽生え始めた。
そんな時1人の男性と肩がぶつかってしまう。
「おっと、こら兄ちゃん、こんな人通りの多いところでダッシュしちゃダメだぜ?」
ノゾムは男性を無視して空き巣犯を追おうとした。
しかしそんなノゾムの態度に少々苛立ちを感じた男性は彼の腕をつかんで強引に引き止める。
「おいおい、人の話はちゃんと聞こうぜ?」
「話してください!」
「いいや、おめーが話を聞くまでは離さねぇ。」
「今はそんなことにかまっている場合じゃないだ!」
ノゾムは男性の腕を振り解こうともがいた。
「こら、兄ちゃん」
「く、ハナセッ」
次の瞬間ノゾムの身体が緑色に発光し、束縛エネルギーが微量に放出されてしまう。
表皮に漏れ出した束縛エネルギーはノゾムと接触していた男性に伝播し、彼の身体を束縛した。
「何じゃこりゃっ」
束縛された男性の腕からは力が抜けていき、ノゾムは男性の腕をふりどいた。
そして再び空き巣犯を追跡しようと振り返った。
しかし遅かった。
辺りを見渡してもこちらを眺める通行人ばかりで空き巣犯の姿はどこに見当たらない。
ノゾムはその場で膝をついて呆然とした。
「何で、こんな…」
しばらくして束縛から解放された男性が後方からノゾムに語りかける。
「お、おい…兄ちゃん…」
「くっ!」
空き巣犯を取り逃してしまい、八つ当たりだとは分かりつつもノゾムは強い怒りを感じた。
その時、今度は身体から高圧の電気エネルギーが放出された。
そして既にノゾムを取り巻いていた束縛エネルギーと電気エネルギーが互いに共鳴しあい、やがて同一物質として融合を始める。
そうして電気性束縛エネルギーが完成した。
そのエネルギーは実際に接触していない周囲の機械類に伝播し、ショートを起こした結果ノゾムの周辺は停電が起こった。
「な、なんだこりゃ、お、おい兄ちゃん!オメー何者だ!?」
「え?」
男性の呼びかけでノゾムはハッと笑に帰った。
周りの人達は全員ノゾムの姿を見て怯えている。
ふと己の状況を確認すると全身から青緑色のオーラが放出されており、バチバチと音を立てていた。
「ば、化け物!」
「助けてー!」
ついにノゾムの力を目の当たりにした人間達はパニックを起こした。
それは何も知らない一般人としては当然の反応なのだが、中にはノゾムの存在を否定する者もいて、心なしかノゾムは心に傷を負った。
「あ、あぁぁ」
ついにノゾムは自分の力が恐ろしくなりその場から逃げるように立ち去った。
情けない
俺は心の中でそう呟きながらおじさんの家へと全力疾走していた。
妹を守れなかった上に最終的にはシュウヤを頼ってしまう自分の無力さが本当に情けない。
(ごめんな、シュウヤ。いつも迷惑かけて…)
(ごめん、ミヤ。情けないお兄ちゃんで…)
家に到着するなり俺は一心不乱でシュウヤ宛にメールを打った。
~ミヤが攫われた、助けてくれ~
メールを送信するとその後自分が何をすればいいのか分からなくなり、その場に崩れ落ちた。
〜5分後、シュウヤ視点 サトル家にて〜
俺は一旦自分の家に戻ってレミアを元の姿に戻してからサトル家に帰宅した。
「ノゾム!大丈夫か!?」
「お、俺はなんともないよ。」
「そうか、詳しい話を聞かせてくれ。」
俺はノゾムから今日俺達がいない間に何があったのか、その一連の説明を受けた。
「クソッタレが、なんてタイミングの悪さだよ。」
昨日あんなことがあって急遽サトル家へとやってきた2人。
俺としては2人とももう少し家の中でゆっくりしていた方がいいと思っていたので開校記念日でミヤちゃんも休日だったというのは嬉しい誤算だった。
しかしよりによって今日サトル家が空き巣犯に狙われて愚然見合わしたミヤちゃんが誘拐されてしまうだなんて悪い方向に偶然が重なり過ぎている。
「力が暴発した時、誰も傷つけなかったのが不幸中の幸いかしら。」
「そうだな。」
「…く、うぅ」
ノゾムは身体を震わせながら両の手を額に当てて涙を流している。
ミヤちゃんを追いかけたい気持ちが強いが故に人を傷つけてはいけないという気持ちが邪魔をして結果的に何もできない自分が情けないのだろう。
俺はノゾムの肩に手を当てて宣言する。
「ノゾム、俺に任せろ。必ずミヤちゃんを取り返してきてやる!」
しかし
「待って、ここは私が行くわ。」
俺がミヤちゃん探しに繰り出そうとしたその時、レミアが待ったをかけてきた。
「私人探し得意だから私に任せて。シュウヤは怪しまれないように学校に戻って。」
そう言って俺を見つめてくるレミアの瞳は黄色く変色していた。
その瞬間俺はレミアが何かの能力で効率よくミヤちゃんを見つけ出してくれるのだと直感した。
こういう時のレミアは本当に頼りになるので俺は彼女に全てを託すことにした。
「分かった、じゃあ任せるわ。」
「えぇ、絶対にミヤちゃんを取り戻してみせるわ。」
レミアはそう言い残して玄関の方へと向かった。
「シュウヤは協力してくれないの?」
「レミアが任せろっていったからな、俺は学校に戻るぜ。怪しまれのも面倒だしな。」
「そんな…」
ノゾムは失望か、はたまた絶望か、とにかく希望の持てていない真っ青な表情になった。
「なぁノゾム、お前は俺のことを信頼してくれているか?」
「え?う、うん。当たり前だよ。」
「なら、その気持ちと同じくらい俺が信頼しているレミアのことを信じてやってくれ。」
「………ふぅ、分かったよ。」
「そうと決まったら行くわよ!」
レミアはノゾムの手を引いて走り出した。
「え、俺も行っていいんですか?」
「当たり前でしょ。」
2人の背中を見つめながら俺は「全てが片付いたら2回の連続したメールで知らせてくれ」と伝える。
それを聴いてレミアは頼もしい笑顔で振り返り、右目でウインクした
その姿を見て不覚にもレミアのことを魅力的な女性だと思ってしまった。
(…行くか)
俺は1人で学校へと戻った。
〜ノゾム視点〜
サトル家を飛び出し、ミヤの救出に向かった俺とレミアさんは大通りを避けて人通りの少ない細道を走り抜けていた。
レミアさんの背中を背後から見つめながら10分ほど走ったが、彼女の行動に若干の違和感を覚えつつあった。
(何故だろう、レミアさんの足取りがやけにはっきりしている。まるでミヤを探しているんじゃなくてミヤの所へ真っ直ぐ向かっているみたいだ。)
よくよく見てみると周りにミヤの姿がないか見渡している仕草もない。
「レミアさん、一体どこへ向かっているんですか?」
「この先にある公園っていう場所よ、そこにミヤちゃんがいるわ。」
「え?」
俺はレミアさんの言っている言葉の真偽が分からなかった。
ミヤが連れ去られたことを今さっき知ったばかりの人がどうしてミヤの何所を知っているのだろうか。
正直本当にミヤが公園にいるだなんて10%も信じてはいなかった。
しかし横断歩道を渡り、公園の中に入るとミヤは本当にそこにいた。
「ミヤ!」
「げ、もう追いかけてきやがった。」
空き巣犯はとっさにミヤを抱き抱えて「来るな!」と大声を上げる。
空き巣犯の様子からして武器になりそうなものは所持していないようだが、ミヤはまだ6歳の子供だ。
大人の力で命を脅かすことなんて簡単にできる。
俺はそれ以上空き巣犯に接近することが出来ず、いかにしてミヤを奪還するか戸惑っていた。
「このっ…」
時間がたつにつれて徐々に焦りと怒りが込み上げてきた。
「落ち着いて、彼からは殺気が感じられない。今は焦る状況じゃないわ。」
レミアさんは俺の心が怒りに飲まれないようにフォローを入れながらゆっくりと空き巣犯の元へ歩を進めていった。
「ち、近づくなっていっただろ!それ以上気がづいたら…」
「あら、近づいたら、なんなのかしたら?」
「近づいたら…」
「そんな小さな子供を殺す気?」
空き巣犯は人生で初めて子供を誘拐した。
レミアの囁きによってそんなことをしてしまったことへの罪悪感や後悔が生まれつつあった。
「…」
レミアさんに見つめられて空き巣犯はついに彼女から目を逸らす。
「はっ!」
レミアさんは空き巣犯が見せた一瞬の隙をつき、腹部に強めの一髪を入れた。
「うがっ!」
空き巣犯は気を失い、その場に倒れ込んだ。
「ミヤー!」
俺はミヤの元へと駆け寄る。
しかし
「怪異空間」
レミアさんは右手を上空に上げ、赤黒い発光物を放出した。
その発光物は四方八方に広がっていき、やがて公園全体を包み込む。
「こ、これは…」
エネルギーのフィールドが公園を覆い隠したせいで太陽光が妨げられ、昼間だというのに辺りは薄暗い。
しかしそんな状況下でも奥の方では子供達が公園の遊具で楽しそうに遊んでいる。
「一体何が…」
「これで誰にも邪魔することはできない…悪いけど、このままミヤちゃんを返すわけにはいかないわ。」
レミアさんはそう言ってそれ以上の俺の進行を阻止してきた。
レミアさんの謎の力に謎の言動、そしてこの謎の緊迫感。
自然と嫌な予感が脳裏に浮かぶ。
「どういうつもりですか。」
「ふ…はぁあ!」
突如レミアさんが白い光に包まれた。
日光のような強い光を前に反射的に目を閉じてしまう。
少しして目を開く。
すると光の中から現れたのは赤紫色の長い髪と悪魔のような翼を生やした女性の姿だった。
その姿は1年前、シュウヤと戦っていた魔物と少し似ている。
あの時は異能力に目覚めていなかったので相手の力を感じ取ることも出来なかったが、今は違う。
彼女からは今にも押しつぶされそうな圧倒的な力を感じる。
何となく1年前の奴よりもさらに強いと悟った。
(こんなのありかよ…)
俺の膝はガタガタと震え始め、無意識の内に彼女から距離をとっていた。
あまりの急展開に理解が追いつかないが、彼女の正体がレミアさんであることだけは理解できる。
できればそんなこと信じたくないが、もはや他の可能性など考えられない。
「レミアさん、あなたは魔物、だったんですか?」
「そう、私はこことは別世界からやってきた魔物、あなた達人間の敵よ。」
俺の脳裏にはミヤと遊んで楽しそうに微笑むレミアさんの姿と1年前自分を襲った魔物の姿とが入れ替わり浮かんでいた。
「そんな、レミアさんがあんな、人間を食らって暴れているだけの化物だったなんて…」
「そうね、魔物は人間を食べ物にする悍ましい化け物よ。…それじゃあそこにいる小娘もいただくとしようかしら。」
そう言ってレミアさんはミヤの方へと歩を進めた。
このままではミヤが食い殺されてしまう。
そう思った瞬間、俺は何も考えず無我夢中で走り出した。
「やめろー!」
「ふん」
しかしレミアさんは華麗な動きで俺の攻撃を避けた。
その直後左の頬に彼女の蹴りがめり込む。
「うぎゃああ」
猛烈な痛みが頬を襲う。
今の今まで親切な女性というイメージしかなかったレミアさんに蹴られたという事実が別の意味でも俺にダメージを与えた。
「ぐ、ぐはっ」
(気絶しちゃ、ダメだ…!)
痛みを堪えながら必死に上体を起こすとレミアさんが少し遠くに見えた。
5メートルほど蹴り飛ばされたのであろう。
俺の口元を押さえると手のひらが液体に浸っていくのが分かる。
それなりの量の血液が流れ出ているらしい。
そんな俺の姿を見てレミアさんは悪魔のような笑みを浮かべていた。
「レミアさん、何でこんなことするんだ!」
「…」
「あなたはこんなことをするような人じゃない!」
「…」
レミアさんは無言のままゆっくりと近づいてくる。
(きっとこれはドッキリだ、シュウヤもレミアさんは悪戯好きだって言ってたし。)などと薄い希望を持ちたいところだが、そんな楽観的になれる状況ではない。
レミアさんの正体は魔物で俺はこうして殺されかけているのだから。
「レミアさん…何故この世界にやってきたんですか。」
「それはもちろん人間を食らいつくすためよ。」
「それならどうして昨日俺達を助けたんでさか。」
俺のすぐ目の前までやってきていたレミアさんは無表情のままゆっくりと俺に顔を近づけてくる。
「それはねぇ…」
(はは、悪魔フェイスになるフラグ、たってるじゃないか。)
数秒後、そのフラグは回収された。
「私のことを良い人だなんて思った滑稽な人間を絶望に落としてから食べた方が面白いからよ。」
昨日見せたあの優しい笑顔や俺たちが困った時にいつも助けてくれた頼もしい姿は全部嘘だった。
昨日初めて会った人を安易に信用していた俺が悪いのか…
「くっ…」
とても冷たい涙が頬を伝う。
まるで心の奥底から溢れ出る悲しみが結晶になったかのに。
今まで涙を流した時は自分を含め誰かに対して怒りや憎しみの感情を痛沸いていた。
しかし今回そう言った感情はない。
100%の悲しみでできた冷たい涙だ。。
「さて、あなたを食ってしまいたいところだけれどまずは妹の方からよね。」
「…」
レミアさんがミヤの方に向かって再び歩き始めた。
「止まれ」
「!?」
その瞬間俺の身体から再びエネルギーが放出された。
今までは一度放出したら勝手に暴れだして手がつけられなかった。
しかし今回のエネルギーは静かでまるで自分に寄り添ってくれるように俺を包み込む。
そしてそのエネルギーは俺の願いを聞き入れてくれるようにレミアさんの動きを束縛した。
俺は今まで自分の力を憎み続けていた。
母さんを殺し、無関係の人を束縛する。
こんな、人を傷つけることしかできない能力なんてできることなら消してしまいたい。
そう思っていた。
「だけど頼む、妹を助けるために協力してくれ。」
気がつくと俺の右腕には黄色く光り輝く雷エネルギーを具現化した刀が握られていた。
~守りたいものを守るために戦わなければいけない時もある。行け~
雷のエネルギーが俺にそう語りかけてきたような気がした。
「はぁああ!」
俺はその雷刀を手にレミアさんの元へ突撃した。
「…ふふ」
持てる力の全てを込めた雷刀で背後からレミアさんの胸部を貫く。
辺り一帯にレミアさんの血液が散財する。
「ぁああああ」
明らかにダメージを与えられている。
少しして刀を引き抜くとレミアさんは力なくその場に倒れた。
「はぁ、はぁ、はぉ」
「くっ…」
公園の地面に赤い水たまりが広がっていく。
彼女自身が作ったエネルギーフィールドのおかげで周りの人達にこの光景は見えていない。
それも彼女を殺してしまえばとかれてしまうだろうから大騒ぎになることは間違いないだろう。
それでも俺の意思は揺るがなかった。
レミアさんは地面を発いながら俺と距離をとろうとするが逃しはしない。
雷刀を握る手に再び力を入れる。
「うぉおああ!!!」
俺はフルパワーで勢いよく雷刀を振り下ろした。
「!?」
俺の攻撃がレミアさんを捉える前にとても硬いものにぶつかって刀の進行を妨げられるような感覚が生じた。
それと同時に鋭くて硬いもの同士が衝突するような鋭い音が鳴り響く。
「ふぅ、ギリギリ間に合った。」




