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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
37/63

お寿司パーティー

朝の10時 

俺はノゾムのお母さんを埋葬すべくノゾム家へとやってきた第2部隊の方々に今日起きた事故についての説明をしていた。

「…っという感じです。こんな朝早くからすみません。」

「問題ない。それで、被害を受けた方というのは?」

「こちらです。」


俺は軍隊の方々をリビングへと案内した。

彼らは遺体を運び出す前に全員で合掌した。

その後素早くノゾムのお母さんを棺の中に埋葬し、車の中へ運び去った。

「では火葬などはこちらで済ませておく。」

「よろしく、お願いします。」

この時俺は物凄く胸が痛かった。

親族の人がいない所で勝手に葬儀を済ませるだなんて最低最悪の行為だ。

しかし人間の死に能力者がからんでいる以上この葬式を表向きにすることはできない。

死後の後処理はNEOに任せるしかないのだ。


「…」

「そんな顔をするな、これは君の友人のためでもあるんだ。」

「は、はい…」

友人、ノゾムのため

ノゾムは今自分の力をコントロールすることができない。

そしてその能力を暴発させるトリガーが彼の負の感情であると考えられる以上、ノゾムをお葬式に参加させるわけにはいかない。

お母さんの死を再認識したノゾムが万が一にも正気を失って能力を発動させてしまい、NEOのメンバーを傷つけてしまったらノゾムはNEOの者に抹殺されてしまう。

勝手に話を進めて、今度こそ俺はノゾムに憎まれてしまうかもしれない。

しかしそれでもあいつを死なせてしまうよりかは何倍もマシだ。


「それでは我々は失礼させてもらう。また何かあればいつでも連絡したまえ。」

「ありがとうございます。」

こうして第2部隊の人達はアジトへと帰っていった。


この時シュウヤは何者かが物陰からこっそりと彼の様子を伺っていることに全く気付いていなかった。

「…」

(ごめんな、シュウヤ。本当に…)

その人物はシュウヤに悟られぬよう静かに妹の部屋へと戻った。

(これ以上親友に迷惑をかけちゃダメだ。)


俺はノゾムへの罪悪感でかなり暗い気持ちのままミヤちゃんの部屋へと戻ってきた。

すると俺の様子がおかしいと悟ったミヤちゃんがテクテクと歩いてきて上目遣い、というより思いっきり網を上に上げた状態で話しかけてきた。

「シュウヤお兄ちゃん、どうかしたの?」

「ううん、なんでもないよ。」

「そっか!じゃあみんなでコレやろ!」

そう言ってミヤちゃんは左手に持っていたトランプを俺に見せてきた。

「ミヤは全員でトランプしたくてずっとシュウヤを待ってたんだよ。早くやろう!」

「ノゾム…よし、やるか!」


それから俺達は5人で日がくれるまでトランプで遊んだ。

ババ抜きにポーカー、ダウト、神経衰弱、大富豪とありとあらゆるゲームをした。

意外にもミヤちゃんはトランプがとても強くて驚いた。

「またお兄ちゃんの負け〜」

「うがー!」

「ははは」

みんなで楽しく遊びまくったおかげでノゾムとミヤちゃんはいつも通りとはいかないまでも中々いい雰囲気になっていた。


夜6時半

「そろそろ夕飯にしますか。」

「「「「サンセーイ!」」」

こうして夕飯の時間になったわけだが、料理を作ることに若干のめんどくささを感じた俺はある提案を持ち出した。

「今日、何か頼みません?」

「「「「賛成!」」」」

(やった。)

みんなが反対するなら涙を飲んで自炊するつもりだったが、みんな先制してくれたので今日は外食をすることになった。

「みんなは何が食べたいとかってあるかな?」

「んー」

「ふむ」

「えっとー」

サトルさんの問いに俺達は頭を悩ませた。

俺の場合、夕飯のメニューは思いつきで決めているので具体的に何を食べたいか聞かれてしまうと返答に困る。

どうやらノゾムとミヤちゃんも今すぐに食べたいものはないらしい。

「あのー」

「ん?どうしたレミア?」

少し考え混んでいるとレミアが右手の掌を上げて小さくささやいた。

「私お寿司っていうの食べてみたい。」

「寿司かぁ、いいねぇ。」

「俺も久しぶりにお寿司食べたいなぁ。」

「じゃ、じゃあお寿司食べよ。」

お寿司なんて食べたことないであろうミヤちゃんも俺達の要望に合わせてくれた。

(ははは、家計の危機だぁ。)

「よーし、決まりだね。」

初めの方は難しい顔をしていたサトルさんも致し方ないといった感じで渋々了承してくれた。


「あの、注文する前に場所を移動しませんか?」

お寿司の出前を頼む前に食事する場所の移動を提案する。

理由は言わずもがなである。

当然反対する人はおらず、俺達はひとまずサトルさんのお宅へと移動した。


〜サトル家〜

「それじゃあ注文するものを決めよう。」

サトルさんはカバンの中からタブレットを取り出し、お寿司屋さんのメニューを表示した。

「好きなものを好きなだけ注文したまえ!」

(こうなったらやけくそでい!)


俺達は早速自分の注文したいもののリストアップにとりかかる。

「そういえばシュウヤはお寿司で何が好きなの?」

「んー、主に白い子たちかなぁプリとかカンパチとか。ノゾムは?」

「俺はサーモンとかマグロとかカツオとかウニとか…とにかくたくさんあるよ。」

「ふむふむ。」

チラッとノゾムの方へ目をやる。

好き嫌いがほとんどないだけあってノゾムが注文するお寿司ネタの種類は数多かった。

普段俺はそこまでの種類に手を出さないのだが今回は初体験のネタも何種類か注文してみよう。


「こんなもんかな。」

「こっちも終わったよ。」

「「ん?」」チラッ

「「…」」ジー

俺達がリストアップを終えた頃、女の子2人は未だに1つとして注文するものを決められていなかった。

この2人に限ってはお寿司を食べたことがないので、何を注文すればいいのか分からないのであろう。

注文リストを作り始める前にそのことに気づくべきだった。

「…」

「…」

俺とノゾムは同時に立ち上がりサトルさんを連れて部屋から退室する。

「どうしたの?2人とも。」

「もしよかったら、なのですが…」


〜話し合うこと10分〜

「分かったよ、僕も色々と食べておきたかったからね。」

俺達の無謀な交渉はまさかの成功で幕を閉じた。

「ノゾム、このことを2人に説明してやってきてくれ。」

「りょーかい。」

ノゾムが部屋に戻ったところで俺はサトルさんに3万円手渡した。

「え?」

「結構な額になると思うので自分が払いますよ。」

「いや、でも…」

「いいんですよ、俺が言い出したことです。お礼がお金というのは些か不本意ですが、今日と11年前のお返ということで。」

「…分かったよ、僕としてもありがたいお心遣いだ。」

(遠慮しすぎるのも相手に失礼だっていうしな。)


「2人とも、ノゾムから説明してもらった通りなんだけどそれで大丈夫?」

「オッケー」

「いいよ。」

「それじゃあ連絡しますか。」

こうして俺達はお寿司の出前を依頼した。


〜15分後〜

デーブルの上には色とりどりのお寿司で埋め尽くされていた。

今回注文したお店には計50種類ほどのお寿司ネタがあり、それを全種類3貫ずつ購入したので合計150貫(お寿司の個数で言うと300個)くらい)の量となる。

「すごいね、コレ。」

「あぁ。」

「僕も生まれて初めてだよ、この量は。」

俺達男3人、今更ながらやり過ぎてしまった感を感じていた。


しかし


「うわ〜、美味しそう!」

「これは美しい食べ物ね。」

お寿司を目の前にして目を輝がせている女の子2人のあんな笑顔を見てしまったら後悔する気になんてなれない。


「それじゃあまぁ」

「「「「「いただきまーす!」」」」」

俺達は一斉に食事を開始した。

正直ネタが多すぎて目移りしてしまうがまずは好物であるブリをいただこう、と考えたその時

「ねぇシュウヤ、その緑色の物体と黒い液体は何?」

「これはわさびと醤油、どっちもお寿司と一緒に食べるんだ。」

「へぇ…」  

レミアは小皿に乗った醤油とわさびをそれぞれほんの少しだけ口にした。

「わさびってなんていうか、不思議な食べ物ね。」

「まぉ好みは人それぞれだからな。つけたりつけなかったり、色々試してみると良いよ。」

俺は一例としてレミアの前でどちらもつけてお寿司を食べてみせる。

中には何もつけずに食べるのが好きという人もいるらしいが、俺は基本的にどちらもつける派だ。

「うん、美味い!」

そのブリはかなり美味しかった。

ここ最近お寿司を食べていなかったから余計に美味しく感じるのかもしれない。

そんな、お寿司をおいしそうに食べる俺の姿を見てレミアもハマチを1つ口に運んだ。

「美味しい!たしかに醤油とわさびってお寿司に合うわね!」

「だろぉ。」

どうやらお寿司の味はレミアのような魔物の口にも合ったらしい。


「ほらほらお寿司はたっくさんあるんだからじゃんじゃん食べて。」

「ほらミヤも、どれが食べたい?」

「んーとね、あれー」

ミヤちゃんはエビを指さした。

ノゾムは取り皿にエビを乗せて尻尾を取り外してからミヤちゃんの口元まで持っていった。

「はいあーん。」

「お、お兄ちゃん!自分で食べられるよ!」

「まだ箸使い慣れてないだろ?頑張ってはいちるけどいつも失敗しているじゃないか。」

「食べられるもん!」

ミヤちゃんはまるでフォークを扱うみたいに直角に箸をお寿司に差し込んだ。

当然塊をなしていたご飯は崩れてしまう。

「………………………」

(お、おいノゾム!)

(は、早くフォローを。)

「ミ、ミヤ、その…」

「うっ」

ミヤちゃんの大きな瞳から涙が溢れてしまう。

事態を収束させる方法が分からずあたふたしているとレミアが行動を起こした。

「よっ」

レミアは後ろからミヤちゃんを抱き抱えて自分の膝の上に乗せ、ミヤちゃんの頭を撫でながらささやきかける。

「泣かないの、ちゃんと食べられるってところをお兄ちゃんに見せつけてやりましょ。」

「うん!」


レミアは後ろからミヤちゃんの手を握って新しい方のエビを掴ませる。

「こうやって力を入れすぎないようにして挟むように持ち上げるの。」

「ん。」

レミアのサポートがある状態なら何の問題もなくエビをつかむことができた。

「それじゃあ今度は1人でやって見て。」

ミヤちゃんはレミアの教えた通りに箸でエビを掴む。

ほんの少し手が震えているがエビを落としてしまうような事はなく、ミヤちゃんは1人でエビを食べることができた。

「やったね!どう?美味しい?」

「うん!すっごく美味しい。ありがとうお姉ちゃん!」

「「おぉ」」

上手く箸を使って食事できて満面の笑みで喜ぶミヤちゃんとその姿を見て同じように笑うレミア、

そんな2人を見ていたら次にノゾムが発するこのセリフにも自然と共感することができる。

「あの2人って歳の離れた姉妹みたいだね、名前も似てるしさ。」

「うん、分かる,。」

きっとミヤちゃんが大きくなってもレミアとは仲のいい友人でいることだろう。

その時レミアがまだベテルにいれば、の話だけどな。


「ほらほら寿司は山ほどあるんだから君らも食べた食べた。」

「は、はい。」

「よーし、食うぞー!」

サトルさんに仄めかされて俺とノゾムも食事を再開した。


食事を開始して40分ほど経った頃、あれだけあったお寿司達は半分くらいにまで減っていた。

俺やノゾムはもちろん、レミアとサトルさんも食べる時はかなりの量食べるのでまだまだゆとりはあった。

しかし6歳の可愛子ちゃんだけはとっくに限界を迎えていた。

「ミヤ、すごく眠たそうだぞ?あんまり無理するな?」

ノゾムが心配そうに話しかけるとミヤちゃんは大きく首を横に振る。

「大丈夫、みんなとご飯食べるの楽しいから今は寝たくない。」

とは言うものの、ミヤちゃんのまぶたは8割ほど閉じているし、眠気で手がふらついてお寿司を上手く掴めてもいなかった。

こんな状態ではみんなで楽しく食事、なんて無理だと判断するしかない。

「な、なぁミヤちゃん?食べたいものがあるなら残しておくからさ、今日は休みなよ。」

「や、やだ…」

「俺もレミアもすぐ近くにいるからいつでも一緒に食事できるんだぜ?」

「本当?」

「本当よ。だから今はゆっくり休みなさい。」

「はーい…」

ミヤちゃんはレミアに抱きつく形で眠りについた。

「こ、これは流石にこれは食事しづらいわね。」

というレミアの嘆きもミヤちゃんには届かなかった。

しばらく眠気と闘っていたせいで相当深い眠りについたらしい。

「ま、こりゃあガマンするしかねぇな。」

「むむむ。」

こうして俺達はミヤちゃんの分を残して残りのお寿司を消化するのであった。

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