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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
30/63

sorrowful past

ひとまず戦闘は終了し、地下室の掃除&修復を始めることにした。

俺達(主にツルミさん)が派手にやらかしたせいで地下室はごらんのような有様である。

「はぁ…やりますか、」

「よろしく!」

「はぁ?」

そう言ってツルミさんは地下室の出入り口に向かって歩き始めた。

行動に迷いがない、明らかに面倒事を押し付けようとしている。

「えっちょっと、それはないですよ!?」

「おねが〜い、後でしっかりお礼するから、その身体にね。」

「はぁ!?」

俺の意見も聞かずにツルミさんは早々に地下室から退出した。

そうして1人ドデカイ部屋の中に取り残されてしまう。

「 」

数秒間を置いて辺りを見渡す

-荒れ果てた地下室-

「これを俺1人で…ツルミさんめ!!!」

俺はこみ上げてくる怒りの感情と共に体内エネルギーを爆発(解放)させた。

ノーマルフォルムのまま修復したのでは時間がかかりすぎるのでセカンドフォルムになっておく。

戦闘目的以外にこの姿になるのは初めてのことだ。

「万が一あの人にその気があんなら後でベッドに押し倒して乱暴してやる!」

こうして俺は遠吠えをあげながら地下室の修復に取り掛かかった。


〜10分後〜

「ふぅ…」

セカンドフォルムを解放したおかげでそこまでの時間は必要とせずに地下室を完全修復することができた。

これなら何とか2限には間に合いそうだ。

しかし

「ぐっ、いてて」

ツルミさんと丁々発止渡り合った後でセカンドフォルムになったために身体への負担がかなり大きかった。

(こんな状態じゃ結局今日の授業をまともに受けらんねぇじゃねぇか。)

そう思い、深くため息をついてから保健室へと戻る。


「ただいまー。」

「お疲れ様、悪かったわね全部やってもらっちゃって。」

「全くですよ、丸投げしやがって。」

「まぁまぁ、それと〜ハイこれ。」

ツルミさんは冷蔵庫を開けて中に入っていた飲み物を2つ取り出し、うち1つを俺に手渡した。

「おっと、コレは?」

「友人に作ってもらった回復ドリンク〜、味もいけてるわよ。」

「あ、ありがとうございます。」

(身体にお礼するってそういうこと?いや、やっぱり言い方…)

「それじゃあいくわよ!」

「「かんぱーい!」」

俺達は互いの容器を接触させた後、同時にその中身を口に運んだ。

(おぉ、コレは)

上手く説明できない不思議な味が口腔内に広がる。

未経験の味ではあったが、爽やかで喉越しもよく、とても美味しかった。

そして間もなくスタミナやエネルギー、身体の痛みが癒されていくのを感じた。

どうやらマジモンの回復系エネルギーで作られているらしい。

「心地いいですね。」

「でしょー、戦闘後の回復ドリンクは別格よ。」

俺はすぐに容器の中の液体を飲み干した。

その時には身体から痛みはすっかり引いており、エネルギー量もかなり回復していた。

「いいですねこのドリンク、だいぶ楽になりました。」

「それは良かった!また飲みたくなったらいつでもいらっしゃい。」

「はい、ありがとうございます。」

「ううん、こちらこそ今日は相手になってくれてありがとう。」

「いえいえ、それにしてもよくそんな格好で、あれだけの動きができますね。」

ツルミさんはワイシャツにスカートという、運動するには不向きな格好をしている。

そんな状態であれだけキレのある動きができるのだから流石と言う他ない。

「ん?まぁ私はパンツ見られたりおっぱい蹴られたくらいで取り乱したりはしないのよ。」

「…」ビクッ!

(事故でパンツ覗いてたのバレてた。)

「でもなんでセカンドフォルムにならなかったの?」

「そ、そーっと…」

ツルミさんはおそらくカオス チェックメイトを使えばあのエネルギー を破れると言いたいのであろう。

カオス チェックメイトは高密度の光と闇のエネルギーを同量融合させて放つ技だ。

光に有効なのは闇だけであり、闇に有効なのもまた光だけなのだ。

つまりそれらを融合させたカオスエネルギーに対して有効なエネルギータイプは存在しない。

おそらく俺がカオス チェックメイトを放っていた場合、ツルミさんのエネルギーはそれと同じタイプに変化する。

しかしタイプが同じ場合にはエネルギー量がものを言うためツルミさんはカオス チェックメイトから身を守ることができないというわけだ。

「本気で私を倒そうとしたらできなくもなかったでしょ?」

「ま、まぁ…でもそれでは一歩間違えたら大変なことになりますし、それにほらツルミとの戦闘は楽しかったですから。」

「ふふふありがと、私もとっても楽しかったわ!」

「それじゃあ、、、」

何となく保健室から退出する流れになったが、ふと時計に目をやると1限終了の10分前だった。

休憩時間を含めるとまだ20分ほど時間の余裕がある。

今から1限に参加してもアレなので時間潰しを兼ねてもう少しツルミさんとおしゃべりをしよう。

「そのぉ、まだ少し時間があるので1つお伺いしてもよろしいですか?」

「あら、何かしら?」

俺の質問とはずばりツルミさんは何故保健室の先生をやっているのか、ということだ。

100%の偏見だが、ツルミさんに保健室の先生は似合わない。

個人的には毎晩満面の笑みで魔物を痛めつけているイメージだ。

それに魔物との戦闘はいいストレス発散法になる。

戦闘好きなツルミさんなら尚更実戦部にいるべきだと思うのだ。

「んー、理由はやっぱり遠目からでも妹の事を見守っていたかったから、かな。」

「い、妹?」

なんとこの高校(現在は2年生らしい)にはツルミさんの実の妹がいた。

「知らなかった。」

(でも遠目からでもってことは…)

「うん、シュウヤ君が考えているように妹の方は私が実の姉だってことを知らないの。」

嫌な予感が的中してしまった。

話の内容を察するに俺なんかが聞いていいような話ではない、よりによって暇つぶしを目的としたトークで。

「えーと、すみませんでした。それ以上は…」

「いいのよ、シュウヤ君の話ほど辛いモノじゃないから。」

そうは言うもののツルミさんは少し悲しそうな表情を浮かべていた。


〜ツルミの誕生時〜

24年前ツルミは両親の第一子としてこの世に産み落とされた。

外見上は何の変哲もない可愛らしい赤ん坊だったが、彼女の身に起きた、というより彼女が引き起こした怪奇現象は周りの人間達を驚愕させた。

母体内からつるみを引き出した後、臍帯を切断したその時、ツルミの全身からなんとも言えない色のオーラが放出されたのだ。

周りの人間がフリーズする中、助産師の内の1人が行動を起こした。

彼は両手を水色の膜で包み、そっとツルミを抱き上げた。

すると次の瞬間、激しい閃光と共に彼の両手が小爆発を起こした。

「な、なんだ今のは!?」

「おい!大丈夫か?」

軽いパニックを起こした周りの助産師達は慌てて男性の元へと駆け寄る。

「お、おい生きてるか?救急車呼ぶか?」

「大丈夫ですよ、ご心配なく。」

命の危機さえ心配されたが、予想に反してその男性は何事もなかったように平然と振る舞った。

そして

「はぁぁ!」

男性は不適は笑みを浮かべた後、再び水色のオーラを放出した。

「お、おい何を…」

「あなた方には少し眠っていてもらいます。」

そう言って男性はツルミの両親を除く全ての人間の後頭部に一撃入れて意識を奪い取ってしまった。

「な、何がどうなって…」

「突然で恐縮ですが、お2人にはご相談しなくてはならないことがあります。」

男性は己の正体とツルミの力について説明を入れた後衝撃的な一言を切り出した。

「娘さんを僕に下さい。」


〜20年後 ツルミ視点〜

私は生まれて間もなく当時助産師だったおじさん(育ての親)に引き取られた。

おじさんはまだ幼かった私に異能力者のことや本当の親のことについて色々と教えてくれた。

まず異能力者についてだが、私は生まれてから間もなくしてNEOにやってきたので異能力者以外の人とは面識がない。

だから何の能力も持たない人間の存在の方が奇妙に思えて、むしろ信じられなかった。

しかし社会から見ればそれが普通で私達が異常なのだとおじさんは言う。

ということで表の世界に身を置く際、人前では絶対に能力を解放してはいけないと厳重注意を受けた。

そして私の生みの親についてだが、それはおじさんのことではなくちゃんと他に存在するらしい。

本来はその両親の元で一緒に生活していたところなのだが両親は一般人なので異能力の存在を知ってはならない。

だからおじさんは私を引き取り、育ての親となったようだ。

その時の話の流れを簡単に説明しておこう。

まず先天性の胃能力者として生まれた私を一般社会で育てていくのは不可能だと判断したおじさんは私を引き取らせてもらえるよう両親に提案した。

当然2人はおじさんの提案を拒否した。

この時の両親の気持ちとしては「たった今生まれてきたばかりの我が子を他人に預けてたまるか。」といったような気持ちだったのだろう。

さらにおじさんから「お2人はもう2度と娘さんとは会うことができなくなります。」などと言われたので尚更だ。

両親はおじさんの話を無理矢理中断させて私を家に連れて帰った。

しかしその3週間後私を育てていく中で私の力の恐ろしさを知った両親は再びおじさんの元を訪れ、私を引き取ってもらうことを決意する。

それはまさしく苦渋の決断だった。

本来胃能力者の存在は一般人に知られてはならない。

つまり私が胃能力書であった情報は全て闇に葬らなくてはならないので私に関わった人間の私に関する記憶は1つ残らず消去しておく必要があるのだ。

おじさんは私が1人でやっていけるようになるまでつきっきりで面倒を見ることを約束し、両親の記憶を消去した。

それ以来私は育ての親となったおじさんと2人でアジト暮らしをしてきたという流れだ。


そんなある日、珍しくおじさんが私の部屋を訪れて話しかけてきた。

「どうしたの?」

「ツルミ、お前はもう完全に自身の力をコントロールできるようになった。そろそろ表の世界に身を置いてもいい頃合いだろう。」

何の前触れもなく、そんな話を切り出されて頭の中が真っ白になってしまった。

「わ、私が!?そんな無理ですよ、ここまで力のコントロールしかやってきてないのに。」

たしかに外の世界を全く知らないというわけでもないし、自分の力が暴発して誰かを傷つけてしまうという危険性ももうない。

でも私は独り身だ。

今社会に出ても帰る家なんてないし、そもそもお金を稼ぐことができない、

とても生計を立てていくなんて無理だ。

しかしおじさんは「まずはこれを見てくれ。」と言って束になった紙媒体の資料を私に手渡した。

-明来高校教員募集要項-

「教員…ですか?」

「あぁ、この高校の最高権力者はNEOのメンバーでね、君が教員採用の合格ラインを超えてくれさえすれぼ最優先で採用してくれるそうだ。」

詳しい話を聞いたところ、明来高校の養護教諭の方が来年結婚することになり、2年後にはその仕事を辞める予定でいるらしい。

つまりあと2年間真剣に勉強すれば私も職を手に入れ、表の世界で社会貢献していくことができるかもしれない。

しかし

「私が保健室の先生なんて、そんな…」

「まぁ、50ページ以降のリストも参考にして考えてみるといい。」

「え?」

渡された資料の50ページを開いてみると今後明来高校を受験することが決まっている異能力者達がリストアップされていた。

まず先頭に挙げられていた人物の名前があのシュウヤ君であったことにはいささか驚いた。

どうでもいい話だが、シュウヤ君とは私が今最もお手合わせ願いたい人物で、13歳とは思えない戦闘力を兼ね備えていると評判の子だ。

(シュツヤ君の高校生姿か…少し気になるかも。)

ていう感じで明来高校の教員になることに少し興味が湧いてきた。

しかしそれも決定打にはなり得ず、やるかどうか非常に悩ましかった。

とりあえず他のメンバーにも目を通してみる。

「…えっ…」

リストアップされ最後の人物の名前を見て私の時が止まった。

「な、なんであの子の名前がここに…」

そこにはお父さんとお母さん、2人の間に生まれた女の子の名前が記されていた。

私の、妹にあたる子の名前が…

(なんで?だってここに書かれている人間は…)

いや、この際理由はどうでもいい。

とにかく私が赤来高校の教員になることができれば、今よりももっと長い時間あの子を見守っていてあげられる。

もう私の心は決まっていた。

「私、やります!」


〜現在〜

「これが私がこの高校で養護教諭をやっている理由よ。」

「なるほど、その妹さんのために。」

「だけど、とても切なかったわ…血の繋がった姉妹であるはずの子に他人のような接し方をされるのかと思うと。」

気づくとツルミさんは目に涙を浮かべていた。

そんなつもりは無くともツルミさんの心の傷を掘り返すだなんて俺は人として最低なことをしてしまった。

「すみません、まさかそんな事情があったとは。」

「うんうんいいの、いつかシュウヤ君の過去についても教えてもらったしね、それに実はこの間…」


〜3週間前のこと〜

「失礼します。」

「…」ビクッ

ある日突然妹が保健室を訪ねてきた。

今まで遠目から見つめるだけで話したことは全くなかったので全身から汗が噴き出しそうになるくらい緊張した。

(なんでこの子が、あわわわわわわわ」

「あの…」

「あ、あーごめん。どうしたの?」

「実は少し体調悪くて、ベッドで休まさせてもらってもいいですか?」

「う、うん。」

私はとりあえず妹をベッドに寝かせてカーテンを閉じた。

「それじゃあこれから体調に関するアンケートを書くから質問に答えてね?」

「はい。」

私はベッドで眠る妹の様子を伺いながらアンケート用紙を埋めていく。

よく夢に見ていた光景、妹をベッドに寝かしつけるという場面が現在進行形で実現していた。

こんなにも近くで妹と話しているのだから嬉しくないはずがない。

しかしその反面、妹にとって私はただの先生であるという事実が強く胸を刺した。

信じてもらえなくてもいい、気味悪がられてもいい、私が実の姉であることをこの子に伝えたい。

そんなことを考えていると私はアンケート用紙を書き終えてしまった。

もうこれ以上ここにいることはできない。

「それじゃあ、とりあえず1限が終わるまでは眠っててね。」

そう言い残して私はカーテンに手をかけた。

すると

「お、お姉ちゃん。」

「え、ええ、え?」

いきなり妹が私のことをお姉ちゃんと読んできた。

あ、ありえない。

私は生まれてまもなくNEOにやってきて、両親は私の記憶を消されている。

妹がそのことを知る余地などあるはずがない。

「ど、どうしたの?私がお姉ちゃんだなんて、」

「あ、ごめんなさい、私ったらつい。先生がまるでお姉ちゃんみたいに見えたから。」

「そっか…」

(そうよね。)

色んな感情が同時に沸き起こる。

一体私はどの感情に正直になればいいのだろう。

コンマ1秒で正解なんてないという答えが出た。

しかし今私がするべきことは他人を装うことだと自然とそう思った。

「もし本当にそうだったら随分と頼りないお姉さんね。」

「いえ、そんなことはないです。先生みたいなお姉ちゃんがいたら楽しかっただろうなぁって思います。」

もう限界だった

これ以上私は冷静さを保つことができない。

「…もう寝なさい。」

私は少し強引に掌で妹の瞼を閉じた。

あれ以上目を開けられていたら私の泣き顔を見られてしまっていたから

私はカーテンの外側に出て洗面台へと向かった。


〜現在〜

「ってことがあったの。」

「あれ、おかしいなぁ涙液の分泌が止まらない。」

「ふふ…ってあら?もう1限終わる頃合いじゃない。さぁいってらっしゃい。」

「はい、今日はありがとうございました!失礼します。」

俺は保健室を後にし、教室を目指した。

お久しぶりです。

とは言ってももうほとんど読まれてない(涙)

最近大学の講義が忙しくてあまり時間が取れないので投稿する速度が遅くはなりますが、いつか完結するのでとうかよろしくお願いします。

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