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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
25/63

激怒(受け身)

〜10分後〜

「どう?少しは落ち着いた?」

「あー、もう大丈夫。かっこわりぃ姿見られちまったな。」

フユミは俺が落ち着くまで何も言わず側に寄り添っていてくれた。

元はと言えば無理矢理言わされたことだが故郷で起きたことを知って尚俺の全てを受け入れてくれたフユミにとても感謝している。

いつもは罵倒されたりからかわれたりするばかりで正直微妙なイメージしかなかったのでこいつにここまで感謝する日がやってくるとは思いもしなかった。

そう、今の状況は言うならばコンクリートの上にバラが咲いたような感覚だ。

(やっぱりフユミ、根っこは優しい性格の子なんだな。)

そう思っていたのだが…

「あっでも惜しいことしたわね。」

「ひょっ?」

(なんか、やな予感…)


緊急地震速報が発令されました


「シュウヤ君の泣き顔を写真に撮っておけばよかったわ。」

「んな!?」


せっかく咲いたバラの花は突然の巨大地震に襲われてひどく傷んでしまった


俺の調子がある程度回復したと認識するや否や今までの性格悪い系女子に逆戻りしてしまった。

いやそれよりもむしろ今日のデートで仲良くなったせいか悪い性格の種類がより悪い方向に変化したように感じる。

せっかくフユミに対しての好感度が物凄く上昇したというのに僅か2秒で考えを改めてしまいかねなくなってしまった。

「ねぇねぇ、もう1回泣いてみせてよ。」

「…アホヌカセ。」


大地震によって大地に地割れが生じ、バラの花はプレートの中へと消えていった。


なんでそういう方向に進んでしまったのであろう。

「あのー…フユミさん?」

「何かしら。」

「その励まし方では基本的に逆効果だと思うのですが。」

(んま、これもフユミの優しさなんだよな…なんだよな?)

一応俺もそこまで愚か者ではないのでフユミの思考が俺を元気づけるために働いてくれていることくらいは理解している。

しかしもう少し他にやり方というものがあると思う。


まぁここはバラは安全な場所に花の種を残していた。ということにしておこう。


「できればもっと普通に元気づけてもらえるかな?」

「え?普通にだなんて無理よ。」

「なんで」

「あなたが変質者だから。」

変質者

それは犯罪者予備軍やストーカー気質な人間に宛られる呼び名である。

「俺のどこが変質者なんだよ。」

「涙目になっている女の子の足を揉んだり服屋でレディースコーナーを1人でうろうろしてたわよね?」

「たしかにやったけどそれは形上であって変態的思考による行動じゃない!」

モノは言いようとは言い得て妙だ。良心を持ってやった行動のはずなのにフユミの表現を聞いてたしかに変質者のようなことをしていたように思えてきた。

「それでもお前、せっかくの人の行為をよくもそんな…」

「あ、それとこの前小さな子供達を見てニヤついてたわね。」

俺にはフユミの言っていることが理解できなかった。

俺の人生においてそんなことをした事実は一瞬たりともないからだ。

これはこれで問題ありげな話だけどな。

「お前適当なこと言ったな?」

「いいえ、あるはずよ。体育をしていた子供とかおひるご飯を食べている子供とか。」

やけに見覚えのある光景が脳裏に浮かんだ。

しかしアレは…

「お前まさかそれって卒業アルバムのこと言ってるのか?」

「幼児を見でニヤついていたことに違いはないでしょ?」

(つーか、卒アルみて微笑ましく思ったのは普通にノーカンだろ。)

そもそも俺がアルバムを見たのは中学3年生の時の話だ。

その頃フユミとは何の面識もなかったはずなのでこいつが知ってるわけがない。

「なんで中学時代の俺の行動をお前が知ってんだよ。」

「ふふふ、あなたがいつどこで何をしているかなんて全てお見通しよ。」

(本当はノゾム君からこっそりと教えてもらったんだけどね。)

「あぁなるほど。」

たしかにノゾムには中学の話とかよくしてたからあいつならなんらかの情報を持っていても不思議ではない。

しかしかと言って俺の知らないところで俺の情報を集めていた理由それつまり

「お前の方が変質者じゃねーか!」

「そう私はあなたのストーカーよ!」

「うわぁ…肯定しちゃったよ。」

今度はストーカーか、ヤンデレになったりツンデレになったりやっちゃ優しくなったり…キャラ変わりすぎだろ。

「ふふ、でも大分元気出てきたみたいね。」

「元気と一緒にドン引きという感情も湧いてきたけどな。」

何はともあれ俺は今日本当の意味で信頼できる友人をもう1人作ることができた。

これから先フユミとも色んな話をして仲良くしていけると思ったら悪い気はしなかった。

(これから先もっとこの謎の女のことも知っていければいいな。)

この時の俺はそう思っていたし、まさかこの後あんなことを告げられるとは思っていなかった。


「そうだ忘れてた。フユミ、はいこれ。」

俺はバッグの中から小さな小包を取り出してフユミに差し出す。

「あら?何かしら?」

フユミが小包を破り中身を確認するとそこには紺色のブレスレッドが入っていた。

「え?何これ?」

「んー、今となっては俺の友人になってくれたお礼って感じかな。」

「なるほどね、私こういうの結構すきよ、ありがとう。」

そう言うとフユミは早速そのブラスレッドを手首につけて「えへへ」と素敵な笑顔を向けてきた。

クレーンゲームで取った物なのでプレゼントとしてどうなのかとも思っていたが意外と喜んでくれたので良かった。

「友達になってくれたお礼って言うのなら私も何かしなくっちゃ。」

「それはいいよ。」と言いかけたがフユミの性格を思いだし発言を寸止めした。

「んー、じゃあフユミの部屋見せてくれよ。」

「部屋って寝室とか?」

「そうそう、女友達ができたら見せてもらいたいと思ってたんだよね。」

男子友人の部屋には何度か入ったこともあるのだが女子の部屋は入ったことないのだ。

きっと男子とは物の価値観とかが違うので部屋のデザインとかもかなり違うはずだ。

女子の部屋に興味があるなんて少し如何わしいことを言っているように感じるかもしれないが3時間前に説明した通り、俺は一度気になったモノはどうしてもその正体を知りたくなる性格なのだ。

だからこの際せっかくフユミと仲良くなったので女という生物がどういうところに住んでいるのか知っておきたい。

「私の部屋か…」

「かなりプライベートな場所だし、無理にとは言わないよ。」

「別に構わないわ。見られて困る物とかも置いてないしね。」

と言うわけで俺はフユミに案内されて彼女の寝室へとやってきた。

「どうぞ。」

「失礼しまーす…おおぉこれは。」

部屋のドアを開けると先ほどのファミレスと同等レベルにオシャレな部屋が現れた。

「おぉ、これが女子の部屋かぁ、ピンク色の壁紙とか初めて見た。」

「こっちの方がなんか可愛らしいじゃない?若いうちはこういう所も楽しんでおこうと思って。」

たしかに女子は可愛い物には目がないというし、男子とは人生におけるこだわりポイントが違うのであろう。

「んー、よくわからないなぁ。」

失礼ながらこの部屋を見て「落ち着けなさそうな部屋だな…」という感想しか出てこなかった。

たしかにオシャレで可愛い部屋だとは思うけれどここまでカラフルな部屋だと精神的にリラックスすることはできそうにない。

俺個人の意見としては自室なら殺風景な部屋の方が落ち着く気がする。

「まぉそこは性差的価値観の違いよね。」

「あぁなるほど。」

(俺はこの部屋を落ちつかない部屋だと思ったけど逆にフユミが俺の部屋を見た場合、きっと退屈な部屋だと思うんだろうな。)

自分とは別の価値観を持つ人間と関わってみて少しだけ一般常識というものを知れた気がした。

これまでは魔物狩りと勉学に時間を費やしてきたのでそこら辺の知識は他の人より不足してしまっている。

「普段友人が来た時とかもこの部屋で遊んだりするの?」

「えぇ、よく中学の友人とファッションショーを開いたりするわ。」

「へぇ、ザ・女子の遊びって感じだな。」

中学の友人って高校の友人は?と質問しようと思ったがやめておこう。

「でもその子集まる度にセーラー服着てみて!ってうるさいのよね。」

「え?セーラー?フユミってもしかしてそっち側の人間?」

「なわけないでしょ。」

前方から俺の頬を掴んでそう言ったフユミの笑顔は可愛いどころか怖かった。

「す、すみゃせぇん。」

「ったく…そのセーラーは卒業前のお別れ会で友人から貰ったものよ。」

フユミによると中学校でとても仲の良かった友人がフユミのためにわざわざ手作りのセーラー服をプレゼントしてくれたらしいのだがあろうことかその友人の前ではまだ一度着たことがないらしい。

「着てあげればいいのに…俺もみてみたいなぁ。」


キマシタネ!

フラグカイシュウノトキガ!


(おだまり!)

「それはダメよ!あんな恥ずかしい姿見せるわけにはいかないわ!」

急に顔を真っ赤に染めて焦りだすフユミ

その姿を見て俺の欲望はより一層かきたてられてしまった。

もうこの好奇心を押さえ込むことはできそうにない。

(どうしよう…人の嫌がることをするのは良心が痛むけど今回ばかりは好奇心が強すぎる。)

俺はなんとかフユミにセーラー服を着てもらうための口述を必死に考えた。

(どうする…これといって弱みを握っているわけでもないし、武器になりそうな恩を売ったわけでも、、、いや待てよ?)

次の瞬間俺の頭に稲妻が走った。

(これだー!!!)

「?」

「ふふふ、フユミよ、たしかお前人に貸しを作るのが嫌いだったよな?」

「まぁね、恩知らずっていう言葉大っ嫌い。」

「ならさ、今朝俺がお前の足を揉んでやったお礼にセーラー服を着て見せてくれよ?」

「んな!?」


ナイス!

ウマイデスヨシュウヤサン!


フユミはいかにも「しまった!」とでも言いたげな表情になった。

へへへ、これでこの女を思うがまま操ることができるぜ(セーラー服姿を見せてもらうだけです。)

「ほらほら早く着て見せてくれよ。」


ナニゴトモアキラメガカンジントキキマスシ、アキラメマショウ


「むぐっ…」


「さぁ!」


サァ!


「もう!分かったわよ!着ればいいんでしょう着れば!」

すると次の瞬間怒ったフユミが俺の目の前で自分の着ていた服を脱ぎ始めた。

俺は慌ててフユミに背中を向ける。

「ななな、何やってんだよ!男の目の前で。」

「あなたも少しは恥ずかしい気持ちを味わうがいいわ。」

俺自身は別に恥ずかしくもないのだが、後ろではフユミが下着姿になっていると思うと緊張して落ち着かない。

(ったく、何でセーラー姿は恥ずかしくて下着姿は恥ずかしくないんだよ。)

ひょっとしてフユミはマジもんの変態なのか?と思ったのだが目の前で女子が着替えを始めたというのに部屋から出て行っていない俺も大概なのでフユミを強く言える立場ではない。

(ま、目の前で着替えをしても大丈夫と思える程度には信頼されてるってことか。)


ズイブントダイタンナコトシマスネ


(うるさい、この裏切り者。)


ソンナニ オコラナイデ クダサイヨ。

カレニハ オワビシナケレバナラナイ コトガアルノデ シッカリトシャザイスルマデハ デキルダケ カレノミカタデイヨウト オモッテイルダケデス。


(え?あなた達面識あったの?知らなかったわ。)


イエ、チョクセツアッテイル トイウワケデハナイノデスガ


(でも謝罪って…一体彼に何したのよ。)


アマリイイタクハアリマセンネ


(ふーん…まぁ深くは聞かないわ。)


シュウヤサンニハイワセタクセニ…


「はい、こっち向いていいわよ。」 

少しして後ろにいるフユミから合図が出されたので俺は恐る恐る振り返ってみた。

「 」

そして俺の時間がとまった。

「何よ…感想とか何か言ってみなさいよ。」

「俺の感想聞いても怒らないって約束できるか?」

その瞬間フユミは昨日自分の心に宿る何かから昨日言われたを思い出して嫌な予感しかしなかった。

結局のところお決まりなのでその予感は的中することになる。

「な、なによ。」

「いや…まさに氷の女王っ感じの見た目だなぁっと。」


ゼンリョクデドウイイタシマス!


「…」

俺の感想を聞いてフユミは口を少しだけ開けた状態で今にも怒りを爆発させるんじゃないかというようなオーラを纏った。

このままではまずいと思ったのでアフターフォローを入れておく。

「で、でもさスンゲェ似合ってるぜ。今までの服装の中で1番似合ってんじゃないかって思えるくらい!」


オドロキマシタ…

マサカココマデカンソウガリンクスルトハ。


「…はは」


「あ、あれ?フユミさん?」

フユミはまるで心が壊れて頭がおかしくなった人間のような笑みを浮かべた。

その姿を見て火に油を注いでしまたということは言うまでもなかった。

「フユミ落ち着け!なぁ?」

「あなた達ね…私の女心を貶すのも大概にしなさいよ。」

「お、女心?っていうか達?」

フユミは一歩、また一歩とゆっくりじわじわと俺との距離を縮めてくる。

ここまで負のオーラを纏ったフユミを見るのは初めてだった。

(怖い怖い怖い!なんか赤紫色のオーラ出てるしこのままここにいたら危険だ!)

俺は慌てて立ち上がり部屋から出て行こうとドアノブに手を伸ばす。

そうして少し部屋のドアが開いたところで俺の左肩に重みを感じた。

「ひっ!」

振り返ってみるとフユミが言葉では言い表せない表情で俺の肩をガッチリと掴んでいた。

「逃すわけないでしょ?」

「や、やめて、やめてくれー!!」

「あはは!」


ギィャヤアー!!!!

その日カラフルだったフユミの部屋は全体的に赤一色に染まった。

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