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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
24/63

急展開 ランチタイム&アフターランチ

〜15分後〜

服を買い終えた俺達はこれといって他にやりたいこともなく、元いた駅へと戻ってきた。

「ふぅ、ようやく戻ってこられたな。」

「今何時かしら。」

フユミが現在の時刻を気にしていたのでケータイを取り出して時間を確認してみる。

現在の時刻は12時20分

「今は12時20分だ。」

「もうそんな時間?早いわね。」

(え?むしろまだ12時20分?)

フユミは時間が経つのは早いと感じているようだが、俺にとっては既に12時間は経過しているような感覚だった。

朝からフユミの足を揉んだり、無言の争いを目撃したり、服のセンスを確かめ合ったり…

正直言って午前だけでも中々の精神的疲労を感じた。これで昨夜夜更かしをしているというのだから別の意味で笑えてくる。

「はぁ…お昼にしよっか。」

「そう…ね、あそこにあるファミレスでいいんじゃないかしら。」

(お疲れのようね。少しいじめすぎたかしら。)

フユミは駅の奥の方に見える赤い建物を指差した。

「あんなところにファミレスなんてあったんだ。」

「最近新しくオープンしたみたい。」

「へぇ…」

普段こちらの駅に近づくことはほとんどないのでこの辺りに何があるのか全く把握していなかった。

そもそもファミレスなんて入ったこともないのでどんなところなのか皆目見当もつかない。

「よし、じゃあ昼飯はそこで食べよう。」

こうして俺たちは近くにあったファミレスへと入った。

「おぉ…!」

するとそこはなんだか外国の建物を連想させる作りの部屋だった。

特に天井でクルクル回転している扇風機の羽のような物(語彙力無くてすみません。)が特にそういった雰囲気を作り出している。

「何かオシャレな飲食店だな。」

「田舎者みたいなこと言うわね。」

「ま、まぁな俺の故郷はド田舎だし、ファミレスなんて近くになかったからな。」

そもそも両親がいる時は母さんの料理をいただくし、いない時は自分で作る、もしくはコンビニで済ませているのでファミレスは愚か外食ですら数えるほどしかしたことがない。

「へぇ、シュウヤ君ってこの町の出身じゃないの?」

「あ、あぁここからかなり離れた場所にある村なんだ。」

「へぇ、どんなところ?私村ってどんなところかよく知らないから一度行ってみたいわ。」

「いや、あそこは…」

ふと故郷の村の景色が頭をよぎる。

今現在あそこは村と呼べる姿ではない。

どんなところが説明しろと言われたら辺り一面がお墓だらけになっていると言う他ない。

(そういえばもうかなり長いこと故郷の村に帰ってないな。)

とてもよくしてくれたフランクフルト屋のおじさんや一人暮らしを始めたおかげで仲良くなれた近所のおばさん達、直接的な関わりはなかったが同じ村の仲間…

幼い頃の記憶とあの日起きた事件の光景がまるで走馬灯のように浮かんできた。

(皆んな…)

「シュウや君?おーい、大丈夫?」

「ん、あ!あぁごめん。」

つい物思いにふけてぼーっとしてしまっていた。

俺が我に帰った時には向かい側に座っていたフユミが上半身をテーブルの上方に乗り出して俺の顔の目の前で手を横に振っていた。

「どうしたの?何かすごい顔してたわよ?」

「ごめん、ちょっと考え事をしててな。」

10年以上俺の心に傷をつけた大事件なだけにふと思い出しただけで罪悪感を心の内で抑え込むことができなかった。そのせいで知らず知らずのうちに虚な感情が顔に出てしまっていたらしい。

「わりー、何でも無いんだ。」

「本当に?私でよければ話聞くよ?」

フユミはとても心配そうな顔でこちらを見つめてそう言った。

(なんだよ、めっちゃ優しいじゃんか。)

もはやいつもの性格悪い系女子を演じているフユミの姿ではなかった。

フユミのありがたい誘いについ口を滑らせて全てをゲロっちまいそうになる。

だが…

「本当に何でもないから。大丈夫だから。」

「大丈夫なように見えるわけないでしょ!?デート中にあんな絶望したような顔されたら!」

フユミは急に声を荒げ始めた。

普段静かでクールな印象しかないフユミが突然血相を変えて怒鳴り出したので心底驚いた。

「いやだから、その…」

「何?一体何があったの?」

普段は俺のことなど眼中になしといった感じなのに今に限って人が変わったようにグイグイ迫ってきた。そんなフユミの態度に何故か腹立たしさを感じてしまう。

「早く言いなさいよ。言って楽になりなさい!」

「いや、何もないんだって!」

「まだ言うか!」

「何でもないって言ってるだろ!!」

はっ!と思った時にはもう遅い。

公共の場であることも忘れてつい怒鳴り声を上げてしまった。

「あ、いやその…わりー。」

「ううん、私の方こそ無理に問い詰めたりしてごめんなさい。」

ゆっくりと周りに目を向けると俺の怒鳴り声に驚いた他のお客様やウェイターの人達が何事かとこちらの様子を伺っていた。

「シュウや君、やっぱりお昼は私の家で食べましょう。」

「そう…だな。」

(とりあえずこのままここにいるのはまずい。)

俺達はこれ以上周りの人達に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、速やかにその場から立ち去ることにした。

「「皆さんお騒がせしてしまい大変申し訳ございませんでした。」」

俺達は出口付近で頭を下げて謝罪した後ファミレスから退出した。


〜10分後〜

こうして駅を離れた俺達は住宅街の少し入り組んだ細道を進んでいった。

すると10分ほど歩いたところに1つのそれほど大きくはない白アパートが見えた。

「私ここのアパートの部屋を借りて一人暮らしをしているの。」

「へぇ、その年で一人暮らしなんてすごいな。」

といった短い会話の後、気まづい雰囲気のままフユミの部屋にお邪魔した。

「お、お邪魔しまーす。」

中に入ると玄関から廊下の奥の方まで綺麗に掃除が施されているとても綺麗な部屋が現れた。

これまで何人かの友人や知り合いの自宅にお邪魔したことがあるがその中でも1番綺麗な部屋だった。

(おぉ流石女子…じゃなくて、一人暮らしの女子のアパートに上がり込んじゃって大丈夫なのか?)

戸惑う俺の気持ちなど知る余地もなくフユミはリビングまで俺を案内した。

「まずは昼食をとりましょ、たしか先日お隣さんからいただいた肉じゃがが残っていたはずだから。」

「なんかごめんな。」

「気にすることではないわ。」

俺はせめて食事の準備くらいは手伝おうと思ったのでフユミのいる台所へと向かった。

「何か手伝うよ。」

「気にしなくていいからじっとしてて。」

「はい。」

これまでにないフユミのガチトーンを前に俺はなすすべなく跳ね返された。

ここは大人しく席に座って待つことにしよう。


〜数分後〜

机の上に料理が出揃いフユミは俺の向かい側の席に腰掛けた。

「いただきます。」

「い、いただきます。」

こうして気まづい雰囲気は消えることなく、俺達は無言のまま食べ物を口の中へと運んでいった。


〜40分後〜

少しの時間の後俺達は食事を終え、フユミは後片付けを開始した。

ここまで昼飯をご馳走になるだけなって何もしていないので後ろめたい気持ちになった。


〜食器洗い終了後〜

「紅茶を入れようと思うのだけれどセイロンでいいかしら。」

「えーと…はい。」

(セイロンって紅茶の名前なのか?)

マグカップに紅茶が注がれるとほのかに花のようないい香りが部屋中を包み込んだ。

なんどかこの環境すごく心が落ち着く。

「どうぞ。」

「ありがとうございます。」

手渡されたマグカップを口元に運ぶと紅茶のいい香りがより強く感じられた。

「いただきます。」

カップの中の紅茶を少し口にすると少し渋みのあるとても美味しい味だった。

「…」

(普段あんまり紅茶って口にしないけど美味しいなぁ。)

「さっきの話だけど…」

しばらく黙って紅茶を味わっているとフユミが口元にあったマグカップを机に置いてファミレスでの会話について話し始めた。

「自分でも差し出がましいことをしているのはわかっているけれど、やっぱりあの時何があったのか話してほしいわ。」

「…話したくないことを言えっていうのか。」

フユミはまたも俺の過去について探りを入れてきた。

何故そこまで俺の弱みを握ろうとするのだろうか。またからかいの道具にでもしようとしているのか?

…いやそれはちがう。フユミは他人が本当に気に病んでいることを罵るような人間ではない。

おそらく本気で俺の心の闇を少しでも払おうとしてくれているのだろう。

しかし俺はその優しさに甘えることはできない。

NEOのおきての事もそうだが、せっかく仲良くなった人間に関係を切られるのが怖い。たとえそれが今日仲良くなったばかりの人間でもだ。

みんながみんなノゾムのように大きな心で俺を受け入れてくれるわけではない。俺の過去を知った者は俺の存在が怖くなって関わりを絶ってしまうに決まってる。

だから俺は自分の過去については語りたくない。

「…ダメだ、言えない。」

「もしかして訳を言えない理由私にあったりする?」

「…」ギクリ

「あるのね。」

俺は俯いたまま黙ってうなずいた。

(しまった…)

黙ってスルーするつもりだったのに無意識のうちに身体が反応してしまった。

「い、今のは寝落ちしそうになってうなずいたように見えただけだよ。」

「あんなにはっきりと目を見開いたまま寝落ちしそうになるわけないでしょ。」

慌ててうなずいた事を誤魔化そうとしたが、フユミを欺くことはできなかった。

もうここまできてしまうと正直に言うしかないようだ。

「言いたくない理由は俺の過去を知ったらお前が俺のことを嫌ってしまうからだよ。」

「そんなことない!…ごめんなさい、私もロボットではないから100%の約束はできないわ。」

「あぁ。」

できればそこは「嫌いになどならない!」と言い切って欲しかったが、どんな類の話なのかもわかっていないのでそのような返答になるのも無理はない。

「でも過去を知ったら嫌われるって言ったわよね?」

「あぁ言ったよ。」

「ファミレスであなたの様子が変わった時私達はあなたの故郷の話をしていたから幼い頃あなたの故郷で何かあったのね?」

「将来探偵にでもなったらどうだ?」

またやってしまった。

思った事を即言ってしまうのが俺の悪い癖なんだ。

「シュウヤ君、私は今あなたの事を友人だと思っているわ。」

「え?あ、あぁ俺もそう思ってるよ。」

フユミの気持ちは嬉しいが脈絡なく友達宣言されて少し同様してしまう。

「私は友人が過去にどんな酷い人間だったとしても気にしないわ。大事なのは過去ではなく現在だから。」

「どんな酷い人間でも…?」

「えぇたとえ友人が人を殺した経験があったとしても改心して真人間になったというのであれば殺人鬼だったという過去には目をつぶるわ。」

そのようなすごい事を言っているフユミの表情は嘘をついている人間のそれではなかった。

たとえ話に殺人鬼を出してきたところを見ると既にマインドスキャンされて全てがバレているような気もしてくる。

どちらにせよもう限界だ。

「分かった、言うよ…」


俺は6歳の頃に俺の故郷で起きた大事件の全てを嘘偽りなくありのままフユミに伝えた。

「そ、そんなことが…」

「とても信じられない話だろ?中二病だと思ってくれていいよ。」

いやむしろそう思われた方がいいのかもしれない。

アニメ好きの変質者と思われた方が恐ろしい殺人鬼と思われるよりよっぽどありがたい。

「か、可哀想…」

フユミは両手を手に当てて涙目になっていた。

俺の心には涙目になったフユミの姿を見て驚きの感情とこんな信じがたい話を真面目に聴いてくれて喜びの感情の2つが同時に起こった。

「そ、そうだよな。俺みたいなのがいたせいで皆んな…」

「ううん、可哀想なのはあなたよ。」

あ、アレ?

今の話に俺が可哀想な点あったか?

もしかして俺のことを中二病だと思って可哀想って言ったのか?

いやたしかにさっきそう思われた方がありがたいとは思ったけど同情して涙目になるって流石に酷くね?

「今のは紛れもない事実なんだ。」

「うん分かってる。だから可哀想だと言ってるのよ。」

もうフユミの言いたいことが分からなかった。

ひょっとして妄想を現実と思い込んでいる俺が可哀想だと思っているのか?

「だってそれあなたも被害者の1人じゃない。」

「え?」

フユミは俺も被害者だと言い張った。まさかそんなことを言われるとも思っていなかったので驚きで一瞬思考が停止する。

「だってそれ誰がどう聞いても悪いの黒いマントの人じゃない。」

「え、う、うん。うん?」

「だってそうでしょ?その人のせいであなたが暴走したんだから。」

「た、たしかにあいつに何かされて暴走したことは間違いないけど。」

フユミは本当の黒幕は黒いマントのヤツだと考えているらしい。

たしかにあの事件より前に俺は暴走したことないし、マントのやつに意識を奪われたことも紛れもない事実だ。

しかしそんなふうに言われたら俺だって「あの時ヤツが現れなかったら何も起こらなかったんじゃないか?」などと考えてしまう。

「でもそれって自分の犯した罪から逃げているだけじゃないか?」

「それは違うわね。あなたは何も罪を犯してないもの。」

「まさかそんなふうに言ってもらえるとは思わなかったよ。」

あくまでもフユミは俺の味方をしてくれるらしい。

「多分シュウヤ君が強いエネルギーを所持していたからそれを利用されたのね。」

「でも、やっぱりそれって俺がいなければ村の皆んなは…」

俺がそう口走ってしまった瞬間、フユミは呆れたような顔をして小さなため息をついた。

「あなたね、それはご両親やフランクフルトのおじさん、ご近所のおばさん達に失礼よ。」

フユミに指摘を受けて自分がいかに罰当たりなことを言っていたか気づかされる。

「あ、あぁそうだよな。ごめん…」

俺は本心から深く反省した。本当に愚かなことを言ってしまったと思っている。

「…」

「いい?あなたは何も悪くないわ。他人に利用された挙句、心に深い傷を負わされてしまった被害者よ。」

フユミは今までにないほど真剣そうな顔でそう言った。

「し、しかし…」

「も〜ぅ」

次の瞬間椅子に座っていた俺の首元にフユミの腕が絡みついてきた。

そして後ろから抱き抱えるような態勢をとったフユミが俺の耳元でささやきかけてきた。

「別に罪悪感を失くせって言ってるわけじゃないわ。心の優しいシュウヤ君にそんな事は不可能だもの。」

「…」

「でもね、せっかくご両親に貰った命なんだからいつまでも過去に囚われてないで自分の人生を楽しんで欲しい。それがあなたと関わってきた村の人達やジャーナリストの男性、そして私の願いよ。」

「…くっ」

気がつけば俺の頬や顎の下に添えられていたフユミの腕が濡れてしまっていた。

「ふふ、今言ったこと全てが正しいかどうかは分からないけど今は私の言葉に流されておきなさい。」

「あぁ、ありがとな。フユミ…」

最後まで読んでいただいて誠にありがとうございます、

予想外にデート期間が長くなってしまいました。

いい加減話を進めろと自分でも思うのですが今しばらく編集期間とさせてください。

今後ともよろしくおねがいします。

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