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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
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呼び起こされし力

食事を終えた僕は博士に連れられ、部屋のドアにゼロと書かれた部屋の前までやってきていた。

「これを付けて、この部屋の中に入ってくれ。」

そう言って博士はヘルメットのような形をした奇妙なマシンを手渡してくる。

僕は言われた通りにそれを頭に装着し、部屋のドアを開けた。

「なんだこの部屋。」

中に入ると、そこは明かり1つない真っ暗闇の世界だった。ついでに物音の1つも無く、何かの香りがするというわけでもない。

まるで五感のうち視覚と聴覚それに嗅覚が奪われたようなそんな感じだ。

そしてさらにこの部屋に入った瞬間から僕自身の身体がいつもより軽く感じる。

まるで別の世界にいるようなとても不思議な感覚だ。

(資料には能力検査とは書いてあったけど、こんな所で一体何をするんだろう。)

「シュウヤ君、聞こえるかい?」

僕がそう疑問に感じているとそれに応えるように頭の中で博士の声が響いた。

「聞こえてますよ。」

「そうか、私はさっき君に渡したマシンを通して、君の脳に直接話しかけている。これから私が話すことをよく聞いてくれ。」

話の途中で耳を塞いでみても同じように博士の声が伝わってきたので脳に直接話しかけているというのは本当らしい。

僕は田舎の方の村に住んでいたため、最新技術や科学の力といったモノにはあまり関わる機会がなかった。

(知らないうちに人間の科学は随分と進歩したもんだな。)

そんな僕の関心を他所に博士は実験の内容を話し始める。

「これから君の頭に3種類の特殊な刺激を与える。君の心身がそれに反応すれば無意識的に体内のエネルギーが解放される。」

「ちょっと待ってください!」

俺は博士の実験を中止するよう求めた。

体内のエネルギーを放出するということは俺がまた昨日のように暴走する可能性があるということだ。昨日は何故か理性を取り戻せたが、今度は上手く行く保証はない。

もしかしたら、俺自身が己のエネルギーに飲み込まれて一生暴れ続けるかもしれない。

「大丈夫だ。このゼロルームはこちらの次元とは別の次元に存在する。つまり部屋に入った瞬間に別次元というわけだ。」

博士が言うにはこの部屋の中で何が起ころうと、向こうの次元には全く影響しないとのこと。まるで精神と時のの部屋みたいだ。

さらに、ある刺激によって俺の力が暴走した時にはその反対の刺激を送ることで事態を収束させることが出来ると考えているらしい。

「そんな簡単な話で済ませていいんですか?」

「理論上は問題ない。それに、どの種類の刺激を送れば君の暴走が止まるのかを知っておくことは今後の生活においてとても重要なことだ。」

博士の言っていることは何となく理解できた。

たしかにいつどこで僕が暴走するかわからない以上、早い段階でそれを止める方法を知っておくことは大事なことだ。

「分かりました。やってみましょう。」

僕は覚悟を決めた。目を瞑り、精神を集中させる。

「では行くぞ、これから3種類の刺激を加える。身体に何か変化があれば伝えてくれ。」

次の瞬間僕の脳内に刺激が送り込まれてきた。

しばらく刺激を受け続けていると頭の中に耳鳴りのような高い音が鳴り響くような感覚が生じた。しかし体には何の変化も起こらない。

「変化はありません、高い高音が生じてはいますが。」

「それは脳を刺激した際の副作用だね。ふーん…」

きっと博士は僕の様子を見ながら考え事をしているのだろう。しかしそろそろこの高音が鬱陶しくなってきた。

「とりあえず身体に異変はありません。頭が痛くなりそうなので次に行きましょう。」

「了解した。では次た。」

2つ目の刺激が頭に送り込まれてくる。

すると、体の中から何かが漏れ出てくるような感覚があった。

それは以前、マントのヤツに鍵を差し込まれた時の感覚とよく似ている。

「体から何かが漏れ出てくるような感覚があります。」

「そうか…」

しかし、その感覚は以前のモノに似てはいたものの僕の意識を奪い去るようなモノではなかった。

「博士、多少の感覚はありますがそれ以外はなんの変化もありません。」

「なるほど、ではシュウヤ君、一度出力を上げる。多少キツイかも知れないが頑張ってくれ。」

博士は頭に送る刺激の強度を強めるように部下の研究員に伝えた。

「ですが博士!これ以上の刺激を加えるのは危険ですよ。」

「大丈夫だ、あの子なら問題ない。」

「しかし…」

今僕に照射している刺激は本来人間に向けて良い強度のギリギリの強さだった。

普通の人間であれば、それ以上刺激を強めると脳が異常をきたしてしまう。

最悪の場合は脳死をも起こしかねないために研究員は刺激強度を高めることを躊躇った。

「責任は全て私が取る。」

「…分かりました。」

そうして少しずつ刺激の強度が高められていった。

しかしあまり僕の身体にはあまり変化がなかったので強度強度をMAXまで増強させた。

すると

「…ぐは!!」

次の瞬間体内の中で何かが壊れるような感覚が生じ、俺は意識を手放した。

俺の身体からは黄色いオーラが出現し、髪や瞳の色も変色した。それはまさに村の人達を襲った黄色い僕の姿そのものだった。

「これは…」

ゼロルームに設置されたカメラに映る僕の姿を見て、博士や研究員達は唖然とした。

「ラクセ ヲタニヨ ゾーヌ アニラト インフェラノーノ ハラーゼ 」

黄色い俺は誰も聞いたことのない言語を話し始めた。

「ここにある翻訳マシンでベテルの言葉に翻訳できるか試してくれ。」

とっさに博士は研究員に言葉の解析の指示を出した。

研究員の1人が翻訳マシンを起動させ、先程黄色い僕が話した言語を入力した。

「可能です!翻訳を開始します。」

<我ヲ外ニ出スナ マタ貴様ラ人間ヲ殺スカモシレン>

光のオーラはどんどん大きくなり、より強く輝いていった。

「博士、これを見てください!ゼロルームの空間が小さくなっていきます。」

「なにっ、どういうこどだ。」

ゼロルームは大昔に200人以上の空間を作り出すことのできる異能力者がエネルギーを合わせて作り出したモノだった。

黄色い僕の発するエネルギーがゼロルームを形作るエネルギー量を超えていたためにその空間内で光エネルギーの膨張を抑え込めなくなり空間の消滅が起き始めた。

<ハヤク…シロ>

「博士!もう限界です。ゼロルームが消滅します!」

「やむを得んな。実験中止だ。逆刺激を照射しろ!」

そうして僕の頭の中にエネルギー抑制の刺激が送り込まれてきた。

今度は最初からMAX強度の刺激が送られてきたので僕を取り巻く黄色いオーラはみるみるうちに消えていった。

<フ、ソレデヨイ…>

やがて僕を包み込んでいた光は消え去り僕は元の姿に戻った。


〜博士視点〜

「博士…」

「あー、この子はただの異能力者じゃないな。一体何者なんだ。」

実験終了後、私はすぐにシュウや君をゼロルームから救出し、再び白い部屋のベッドに運んだ。

ベッドの上で気を失っているシュウヤ君を眺めていると後ろから部下の研究員が話しかけてきた。

「博士、シュウヤ君が今見せた力は、紛れもなく彼の体内に存在する2種類のエネルギーのうちの光の力でした。」

「そのようだな。」

光の力はシュウヤ君の身体から漏れ出た僅かな量だけでも異能力者200人の総エネルギー量を超えていた。

仮にその全てが完全に彼の中から外に放出された場合、もしかしたらベテルの次元そのものが危ない状態になるかもしれない。

そして

「シュウヤ君の内にはもう1つ、闇の力も眠っている。仮にも光と闇2つの力が同時に暴走した場合…」

「考えたくもありませんね…」

博士ら一行はシュウヤの強大すぎる力を前に事の重大さを再認識するのであった。


「ん、んんっ、、」

数時間後、僕は目を覚ました。あの後一体どうなったのか全く覚えていない。

「気がついたようだね、気分はどうだい?」

声のした方に目をやるとベッドの横で椅子に腰掛けていた博士が心配そうに僕を見つめていた。

「はい。もうなんともありません。」

俺がそう言うと博士は安心したようにホッと一息ついてから話を続けた。

「実はシュウヤ君が意識を失っている間にちょっとした事故?が起きてね。」

博士はあの時何が起きたのかを嘘偽りなく教えてくれた。

話は10程度で終了したが1つ疑問に思ったことがあった。

それは黄色い僕が話していたという言語についてだ。

僕はまだ6歳だ、日本語ですらマスターしていない。にも関わらず何故自分でも知らない言語が話せたのであろう。

「その、黄色い僕が話していた言語った一体何語だったんですか?」

「それがわからないんだよ。1万近くある言語のどれにも当てはまらなかった。」

博士によると元々ベテルの生物が話す言語は1種類だった。その1種類から各地域の歴史や文化によって言葉に変化が生じて分化していった。その結果、今では1万近くの言語が存在する。

「じゃあ僕の中に居る黄色い僕は別次元の存在って事ですか?」

「そう考えるのが妥当だね。」

博士から聞いた話ではこの世にある世界は3つでその中からベテルを除くと後はゼラファーかラツェンテルのどちらかということになる。

「じゃあ、黄色い僕は魔物か神ってことか…」

「ともかく君の力は我々が考えていた以上に強大だ。これからはむやみに大きな力を使わないようにしよう。」

(しかし気になるのはベテルの言語ではない黄色いシュウヤ君の言葉を何故日本語に翻訳できたのかというとこらだ。)

博士は怖い顔で何やら考え事をしていた。

「博士、僕はこの力をコントロールすることができるんでしょうか。」

正直、僕は自分の力を完全にコントロールする自信が全く無かった。

そこのところは博士も不安に感じていることだと思う。

「確かに君の力全てをコントロールすることは難しいだろう。」

「ですよね…」

薄々感づいていたこととは言え、改めてはっきり言われると暗い気持ちになる。

しかし気を落としてうなだれている僕を励ますように博士は僕の背中を軽く叩いた。

「心配しなくても大丈夫だ、これを見てほしい。先程の実験の資料だ。」

僕は博士から資料を手渡され、言われるがままそれに目を通す。

そこには折れ線グラフのようなものが描かれていて、その数値は減少することなく右肩上がりになっていた。

「これは君から発せられたエネルギー量の変異を示しているんだ。」

グラフの終わりまで数値は上昇傾向にあった。つまり博士が逆刺激を与えていなければ、数値はさらに上昇していたと思われる。

「そしてこの赤い横線、これが君の意識が途絶えた瞬間を示しているんだ。」

つまりエネルギー量が赤い線を超えた時に僕は意識を失ったということだ。

「つまりはだね、赤い線を越えるまで君は意識を保っていられる。だからそこまでのエネルギー量ならコントールすることはできるはずだ。」

「な、なるほど…」

(体内エネルギーの全ては無理でも一部ならコントロールすることは可能って訳か。)

「分かりました、まずはそこまでのエネルギー量を完全にコントロール出来るように努力します。」

「その意気だ。だが今日はここまでにしよう。食事は用意したから少し休みたまえ。」

そう言って博士は軽く微笑み、部屋を出ていった。

「食事か…あまり食欲ないけど…いただくか!」


〜博士視点〜

(シュウヤ君の光の力の正体は少し分かったが、闇の力はまだ謎のままだ。そして光の力の持ち主であろう黄色い存在。)

「もっと徹底的に調べてみる必要があるな。」

博士は白い部屋を後にしてプロテクトルームへと向かった。

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