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神に抗う者達の天地開闢物語  作者: ゼツボウ君
14/63

初めての1人暮らし

〜数日後〜

僕達が食事をしていてるとお母さんが深刻そうな顔をして話しかけてきた。

「シュウヤ、ごめんなさい。私達今日家を開けるわ。」

「え?」

突然のことだった。両親が2人とも突然上京の仕事を任され、家を空けなければいけなくなったらしい。

「そっか…でもお仕事なら仕方ないね。」

「それでね、そこにシュウヤを連れて行くことはできないの…」

連れて行くことはできない、つまり僕は今日から一人暮らしをしていかなければならないらしい。

両親がどのような仕事をしているのかはよく知らないが、仕事場に置かない子供を連れて行けないという考えは理解できる。

色々と不安なことはあるが。2人を心配させるわけにはいかないので僕は不安感を押し殺して「大丈夫大丈夫、任せといてよ!」と虚勢を張った。

それでもお母さんは心配でならないという顔をしている。

僕は横に座っていたお父さんにヘルプの眼差しを送った。

「大丈夫だよお母さん。シュウヤは強い子なんだから。」

そう言ってお父さんは僕の頭を撫でながら前方に座っているお母さんには聞こえないくらいの声で囁きかけてきた。

「本当にごめんね。」

僕の頭を撫でているお父さんの手は微かに震えていた。お母さんを励ましてはいたもののお父さんも心底不安なのであろう。

「僕は1人でも大丈夫だよ!2人が帰ってくるのとお土産を楽しみにしてるよ!」

僕がそういうと2人は少し安心したような顔をしてニッコリと笑ってくれた。


「そうだシュウヤ、はいこれ。」

しばらくして食事を終えるとお父さんはお財布の中から紙切れを5枚ほど手渡してきた。

「ん?なにこれ?」

「お金だよ。これを使って色々な物を購入するだ。」

(あぁ毎月お母さんがくれてるアレか。)

僕は毎月0が3つ書かれた紙蹴れを3枚もらっている。しかし今お父さんがくれたのは0が4つも書かれていた。

きっといつもより高級な引換券をもらったに違いない。

(そうか、今日から1ヶ月一人暮らしするからその生計を立てていかなきゃいけないんだ。)

「ありがとう。大事に使うよ。」

僕はそのお金を大事にお財布の中にしまった。


〜30分後〜

時間は流れ、2人が家を出発する時間になってしまったので僕は2人を見送るために玄関までやってきた。

「じゃあ後は任せたぞ。」

「少しの間寂しくなるけど、我慢してね。」

2人の言葉に僕は笑顔で答える

「うん、いってらっしゃい!」

そしてとうとう2人は家を出発し、僕の一人暮らしがスタートした。

(さて、まずはお金のことを色々と調べてみるか。)

僕はお父さんの部屋にあるパソコンを起動し、インターネットにてお金のことを色々と調べてみる。

「あっ出た出た。」

そこにはお金の使い道やどの商品がどのくらいの価格で販売されているのかということが示されていた。

お肉 450円

お魚 600円

野菜の盛り合わせ 450円

ジャガイモ1個あたり 40円

食パン8枚カット 75円

などなど

「ほとんどの食材は3桁〜4桁の値段で買えるなぁ。」

これらの食材を購入して調理していくわけだけど、調子に乗って買いすぎるとお金がすぐになくなりそうなので1回で買う物の金額合計を設定することにした。

「えーと、多めに考えて1ヶ月が5週間、それを5万円でやっていくわけだから1週間で1万円…」

こう考えてみるとお父さんにもらったお金だけでもかなりの余裕がある。

「そうだ、普段から貯金していた分はどれくらいあるかな。」

ふと自分の貯金している分のお金がどのくらいなのか気になりタンスの左角の引き出しに入っている青い箱の中を覗いてみる。

「なんか、すごいことになってるな…」

毎月お金は貯めるだけで使うことがないので気がつかなかったが、箱の中には大量のお金で溢れかえっていた。数えることなんと218枚。

「21万8000円もある…」

先程の1ヶ月5万円の食費で考えるとこれだけでも4ヶ月は生きていける計算となった。とても6歳の子供が持つような金額ではない。

「うちの家庭って意外と裕福だったんだな。」

僕はそのまま一人暮らしをする上で必要とされる物事や家事について色々と調べてみた。


〜1時間30分後〜

調べごとを一通り終えると既に10時を過ぎていた。

今家にどんな食材があるのか確認してみると砂糖や醤油などの調味料はまだたくさんあったが、冷蔵庫の中は少し寂しい状態だった。

「これは買い出しが必要ですな。」

まだお昼ご飯にするには時間が早いので食材の買い出しを済ませることにした。


ものの数分で身支度を整え、玄関へと向かう。

「行ってきまーす。」

僕は家に鍵をかけ、隣町に行くためのバス停へと向かった。


「ん?シュウヤ君?」

しばらくして僕が1人で歩いているとご近侍のおじさんとすれ違い、声をかけられた。

「あ、おじさん。おはようございます。」

「おはよう。1人でお出かけかい?」

「うん、実はね…」

僕は両親の仕事のことや今日から一人暮らしをしていかなければいけないことなどをおじさんに話した。

「へぇそれは大別だね。それで今から買い物に?」

「うん、とりあえず1週間ほどの食材を買い出しにね。」

「なるほど…」

(たしかに色んなことを経験するいい機会ではあるけど、さすがに1人で隣町に行かせるのは心配だな…)

おじさんは少しの間真剣な顔で何やら考え事をしていた。

「よーし、僕もちょうど買いたい物あったし、ついていくよ。」

「ほんと?じゃあ一緒に行こう。」

こうして僕はご近所のおじさんと共に行動することになった。


〜隣町にて〜

「よぉ、坊っちゃん。いらっしゃい!」

「こんにちわ!」

隣町に着いた僕達はうちの家族が通い付けているお肉屋さんへとやってきていた。

「おや?坊っちゃん、今日はご両親とは一緒じゃないのかい?」

「うん、知り合いのおじさんと一緒。適当に見て回っていくね。」

「おうよ!今日もいいもん仕入れてるから好きなだけ見ていきな!」

店内のお肉を軽く流し見するような感じでさらってと見渡す。

僕は完全なる素人なので良いお肉というのは分かりかねるが、 たしかにどのお肉も綺麗な色をしているように見えた。

「んー、アレを作るには…」

僕は今後作る予定の料理に合わせて豚バラ、豚こま、鳥モモ、牛豚合挽き肉などを購入した。

「合計で、1890円ね。」

「はい。」

「まいど!ありがとうね!」

僕は買い物を終えたのだが、おじさんの方はまだ悩んでいる様子だった。

(んー、急がせるのも悪いよね。)

僕は店の中にいても邪魔になると思ったので外でおじさんを待つことにした。


「ごめんね、お待たせ。」

「ううん、何買ったの?」

「俺は固まりの豚ロースをね。」

おじさんによると数日後に控えた祭に備えるため、事前にフランクフルトを作って味見をしてみたかったらしい。

このおじさんの作るフランクフルトは本当に美味しい。一言で言い表すならバリッとジューシーだ。

僕はもちろんのこと家族全員がおじさんのフランクフルトを気に入ってしまい、祭において毎年のように家族で購入している。

「そっか、おじさんのフランクフルト楽しみだな!」

「おう、ありがとう。今年も販売する予定だから顔出してくれよな。」

「うん、絶対に行くよ!」


〜1時間後〜

その後僕達はお魚や野菜などを手に入れるためにいくつかお店を周り、食材を購入た後に故郷の村へと帰ってきた。

「おじさん、今日は買い物に付き合ってくれてありがとう。」

「いえいえ、これからの一人暮らし頑張ってね。また何か困ったことがあったら言ってね。いつでも相談に乗るよ。」

「うん、ありがとう。バイバーイ!」

僕はおじさんと分かれて真っ直ぐ家に帰宅した。 


「ただいま〜」

家に着くと既に昼の12時を過ぎていた。

「さて、始めるか。」

少し予定よりも遅くなってしまったので急いで昼飯の用意をする。

僕は今手元にある食材でも作れるものでお母さんの得意料理の1つでもあるミネストローネを作ることに決めた。

そしてキャビネットから包丁を取り出した。

「…」

時として人を殺す時にも使用されているこの刃物をいざ手に取ってみると、緊張して掌が湿ってしまった。

(これで人も殺せる…何か怖っ」

一瞬めっちゃ動揺したがすぐに冷静さを取り戻す。

(そっと、そーっと…)

誤って自分の指を切るまいとつい包丁を持つ手の動きがゆっくりになってしまう。

(お母さんはよくあんなにトントントントンってすらすら切れるなぁ。)

こうして実際に自分で料理を作ってみると大変なことばかりで日頃から料理を作っているお母さんにはリスペクトすることしかできなかった。


〜2時間後〜

「よーし完成。」

こうしてなんとか初チャレンジのミネストローネは完成した。

包丁を使うのに慣れていなかったために通常50分ほどで作れる物に

2時間も消費してしまった。

本当は他にも作りたかった料理はあったがもう2時を過ぎているので新たなチャレンジは断念し、パスタを湯がくことにする。パスタソースもまだ残っていたし、ミネストローネに入れてスープパスタにしても美味しいと思うのでグッドアイデアだと思う。

だがしかし

(でも今お昼食べたら夕飯遅くなりそうだな…)

この時既に2時を回っていたのでこのままお昼にするか悩みが生じた。

(んー、お腹空いたしなぁ…)

少し考えた結果、今お昼ご飯を普通に食べて夕飯を軽めにすれば良いという考えに至った。


「それではいただきまーす。」

ミネストローネとパスタを机に並べていざ実食!

僕は恐る恐るスプーンを口元へ運んだ。

「…」

初めてのミネストローネは普通に美味しかった。

しかし

(…なんだかなぁ、お母さんのを食べ慣れてるとなぁ。)

6歳の子供が初めて作った物なのでお母さんの味に敵わないのは当たり前のことなのだ。

しかし100%満足することはできなかった。

「…でもまぁこれはこれで…」

なにはともあれ初めて作ったにしては上出来だったので僕は黙々とお皿に乗った料理を食べていった。


「ふぅ…ご馳走様でした。」

結果的に作った量の3分の1を消費した。

別に無理して1回で食べきる必要もないので残りの3分の2は鍋に蓋をして冷蔵庫にぶち込んでおく。

「さぁてお次は…」

僕は調理に使用した包丁やまな板、食事の際に使用した食器などをシンクの中に入れる。

(こうしてみると、食後のこの動作ってなんか面倒くさいなぁ。)

お腹いっぱいで少し休憩したいという願望が高まっていく中、僕は渋々食器洗いを始めた。

(どうせ夕飯の時も洗い物は出してしまうのだから今はやらなくてもいいのではないか?)

洗い物をしていてついそういう考えになってしまう。

(お父さんはいつもこんな気持ちだったのかな…)

うちの家庭では食器洗いはいつもお父さんが担当している。

お父さんは鼻歌を歌いながら楽しそうに食器洗いをしていたが、毎日3回、それも3人分の食器洗いをしていて面倒にはならないのだろうか…いや絶対に面倒だと感じているはずだ。

(2人とも毎日こんな面倒なごとを分担してやってくれているのか…)

この時僕は親のありがたみを初めて痛感した。

洗い物を終えた後は洗濯物を回したり自分の部屋やお風呂場などの掃除などをした。


「ふわぁ〜これでひと撮り済んだかな…」

こうして1人であれこれと家事をやってみると意外と大変で思ったより時間がかかった。

「ん?6時か…」

気がつくと家事をやっている間に日が暮れてしまい、外は暗くなり始めていた。

1日中家の中で活動したのは初めてだったが思いの外疲れた。なんなら趣味でやっている山登りよりも疲れた気がする。

「そういえば今日は行けなかったなぁ山…」

普段親がやっていることを自分でやってみると遊ぶ時間などは確保することができなかった。

(2人が家事をやってくれてたから僕は思う存分遊んでいられたんだな…)

僕は改めて親のありがたみというモノを実感した。

(2人が帰ってきても家事は手伝おう。)

こうして僕の中にある両親に対する感謝の気持ちはこの1日でより一層高まったのであった。

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