〈エピローグ〉
第三章終了しましたm(__)m
ただ、雄叫びを上げただけなのに、見えない何かが襲いかかってきた。
風……違う、これは波動だ。魔波かーー。
さすが、Aランクの魔物。それもただのAランクじゃない。
『『大丈夫ですか? 主様』』
セッカとナナが心配そうに声を掛けてくる。
『大丈夫。これくらいの魔波なら、全然平気』
立っていられるし、息も出来る。目を閉じる必要もない。
『『さすが、主様です! 突っ込みますか?』』
『そうだね。接近戦にもち込まないといけないしね。……それじゃ、行きますか?』
『『はい!!』』
元気のいい声が返ってくる。
それだけで、安心出来る。不思議なことにね。でもそれが、仲間ってものなんだろう。
笑みを浮かべ、私は地面を勢いよく蹴る。
ーー早い!!
今までとは比べものにならない。
滑り込むように、ミノタオロスの懐に入り込む。
考えるより先に体が動いた。
ミノタオロスは体の大きさに似合わず、瞬時に対応する。
しかし、それよりも先に、私は低い体勢から霊刀を振るう。左手に握ったセッカを上に向かって。
八つに分かれた腹筋に、赤い線が斜めに走る。
ーーまだ浅い。
目の端で傷を捉える。
一旦距離をとろうと思った瞬間には、ミノタオロスが持つ金棒が目前にまで迫っていた。
「「ムツキ(さん)!!!!」」
サス君とココの悲鳴が草原に響く。私にはその声が届かない。
シュリナとヒスイは黙って見詰めている。何かを見極めようとするかのように。
避けられないのなら、受け止めるしかない。
通常の力勝負なら、圧倒的に私が不利だ。絶対に、力で競り合えることなど始めから無理に決まってる。
でも、不思議と……この時、私は無理だとは思わなかった。
思うより先に、体が防御の体勢をとる。顔と頭を防御するように、手首を交差させた。
その時だった。
私は防御魔法を唱えていないのに、目の前に一メートル程の防御壁が浮かび上がる。
と同時に、ミノタオロスの攻撃が防御壁にクリンヒットした。
衝撃に備える。
「えっ?」
思わず、声が漏れ出た。
防御壁を張っていても、攻撃が当たれば、それなりに衝撃が伝わってくるはずだ。備えていたのに、一切、衝撃が伝わってこない。まるで何かに吸収されたかのようだ。
ーー高度な防御壁。
防御壁を張ったのは私じゃない。勿論、サス君やシュリナでもない。
だとしたら、セッカとナナが張ったものなの?
そんなことを考えながら、少し距離をとる。
ダメージが一切ない私を見て、ミノタオロスは一層興奮した。再び、雄叫びを上げる。
だが、次の攻撃を繰り出すことは出来なかった。
雄叫びを上げている途中、ミノタオロスの背後に回り込んだ私は、背中に深々と霊刀を突き刺していたからだ。
鈍く、固い感触が手に伝わってくる。
嫌な感触だ。この感触だけはなれない。
それでも私は、持てる力を振り絞り、突き刺した霊刀を押した。
「ーーーー!!!!!!」
気が付けば、ミノタオロスは倒れ、その場に大きな魔石とドロップアイテムの金棒が転がっていた。
「お疲れ様、ムツキ」
ココが足下から声を掛ける。
「…………」
倒したの……?
「まさか、ミノタオロスの筋肉に刃が突き刺さるなんて、驚きだよ」
「…………え?」
呆然としていたが、少し正気に戻る。
「ミノタオロスの筋肉は鎧でもあるんだよ。普通の刀じゃ、あの鎧に傷は付けられないね」
「……じゃあ、それが、セッカとナナの新しい力?」
答える私の声は、とても小さかった。
「それだけじゃねーだろ」
「戦ってみて分かったのではないか」
ヒスイとシュリナの言う通りだ。
瞬発力の凄さ。
鎧を切り裂く刃の切れ味。
そして、攻撃の衝撃をも吸収する、高度な防御壁。
全てが、以前より遥かにレベルアップしていた。
ミノタオロスを倒し、一旦、宿屋に戻ろうとした時だった。
一際、声高な動物の鳴き声が上空から聞こえた。
声がした方向を向く。顔を上げると、上空に、一羽の緑色のキャリーバードが旋回していた。
もう一度、キャリーバードは鳴くと、私に向かって飛んできた。
キャリーバード。
僅かな相手の魔力を感じて、どんな距離でも、どんな場所でも飛んでいき、手紙を運ぶ鳥だ。
青色は以前、ホムロ村で見たことがあったけど……
「緑色のキャリーバードは、翠の大陸の王国保有のものだよ。ムツキ」
ココの言葉に、私は眉をしかめる。
ーー翠の大陸、王国保有のキャリーバード。
中身を読まなくても、内容が分かった。
お待たせしました(〃⌒ー⌒〃)ゞ
これにて、第三章終了しました。
第四章まで、少し時間を頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m




